ブラジルの政策誘導金利(Selic)が1年半以上に亘って過去最低の6.5%を維持しており、ブラジルのファミリー企業は国債や銀行預金による金利低下に伴って、スタートアップ企業への投資を模索しだしている。
インターネットを通じて不特定多数の人々に比較的少額の資金提供を呼びかけ、一定額が集まった時点でプロジェクトを実行することで、資金調達のリスクを低減することが可能になるクラウドファンディング規制が2017年に有価証券取引委員会(CVM)で承認された影響で、昨年からプラットフォーム企業数が急増している。
ブラジルのスタートアップ企業でユニコーン企業に化けたのは、Nubank社並びに Movile社、 Stone社、 99社、 Pag-Seguro社、 Gympass社でそれぞれの市場価格が10億ドルを突破している。
Nubankは、2018年10月に中国資本テンセント社から1億8,000万ドルを調達、同社の時価総額は評価額は40億ドルに達し、ブラジルで最も有名なユニコーン企業の同社の出資元には、セコイア・キャピタルやKaszek Ventures、Tiger Global Managementが名を連ねている。
ブラジル国内のスタートアップ企業は海外の投資ファンドから資金を調達していたが、ブラジル国内のファミリー企業がハイリスクハイリターンにも拘らず、国内のスタートアップ企業への投資を開始している。
個人資産が10億ドルと予想されている不動産業界最大手のCyrela社の創業者Elie Horn氏は、6カ月前に不動産関係のスタートアップ企業CashMe社に投資している。
またKlabin社経営審議会会長のLafer Piva氏は、今年4月にSergio Mascarenhas氏が創業した脳波関連テクノロジーのBrain4care社に500万ドルを投資している。Lafer Piva氏は教育並びに医療、インフラ関連投資を模索している。
VRグループを擁するSirotskyファミリーは、米国ですでにベンチャーキャピタル市場に投資しており、2013年に1億レアルの投資ファンドを設立して16社のスタートアップ企業に投資、また新たに2億レアルの投資ファンド設立して13社のスタートアップ企業に投資している。
元Amil社を擁していたBuenoファミリーでDasaラボラトリー網のPedro Bueno社長は、DNA Capital社を設立して医療関係企業に投資しているが、スタートアップ企業に投資を開始して2017年に亡くなった父親のEdson Bueno氏は80億レアルに達する遺産を残している。
中国資本Didi Chuxing社は2018年に99社を約10億ドルで買収した一方で、99社に投資をしていた投資家にとっては60倍に達するリターンを記録している。(2019年7月7日付けエスタード紙)