アルゼンチン予備選のキルチネリズム勝利で金融業界はパニック

10月27日にアルゼンチンの第1次大統領選を前に、今月11日の大統領予備選挙で野党のクリスティーナ・キルチネル前大統領が副大統領として立候補しているアルベルト・フェルナンデス候補が現職のマウリシオ・マクリ大統領を予想以上の大差で圧勝した。

予備選挙の野党のアルベルト・フェルナンデス候補の圧勝の影響でアルゼンチンの金融業界はパニックに陥り、またブラジルも波及効果でサンパウロ平均株価やレアル通貨が下落している。

アルゼンチンの中央銀行は政策金利を10%引き上げて74%、ブエノス・アイレス証券取引所のMerval平均株価は37.9%下落、アルゼンチンペソはドルに対して8.8%下落の1ドル52.1ペソとなった。

昨日のサンパウロ平均株価(Ibovespa)は2.0%下落の10万1,900ポイント、ドルに対するレアル通貨は一時4.00レアルを超したにも拘らず、終値は1ドル3.98レアルに戻している。

11日の大統領選の前哨戦となる予備選挙が実施され、左派のフェルナンデス側の得票率約47%は、現職で中道右派のマクリ大統領の約32%に大差をつける勝利と予想以上の大差がついている。

10月27日にアルゼンチンの第1次大統領選では、45%以上の得票率を確保した候補が大統領に就任するが、大半の金融関係者はキルチネリズムの勝利を予想している。

キルチネリズムのアルベルト・フェルナンデス候補が大統領に就任すればアルゼンチンペソの暴落や海外投資家の信頼感の下落を招くと予想されているが、マクリ大統領の要請による国際通貨基金によるアルゼンチン財政再建のための融資560億ドルの返済条件の再交渉を行うと予想されている。

国際通貨基金(IMF)との合意や6月27日にベルギー・ブリュッセルにおいて政治合意に至ったEUメルコスールの自由貿易協定(FTA)の推進を見直す方針を掲げており、また労働組合や低所得者層が支持しているアルベルト・フェルナンデス候補が大統領に就任すれば、大きな政策変換の可能性が否定できない。(2019年8月13日付けエスタード紙)

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=46222