【「左派による人権侵害を目の当たりにして我々は沈黙してなどいられない」とブラジル社会党(PSB)のニカルロス・シケイラ党首】

PSBのシケイラ党首が、党内と社会から、ベネズエラに対する態度を表明するよう強い求めがあったと明らかにした。

ベネズエラのマドゥロ政権による人権侵害に対して公然と非難するというブラジル社会党(PSB)の決定は、党内及び社会から出された強い要求に対する答えだったと、同党のカルロス・シケイラ党首がエスタード紙とのインタビューで明らかにした。同党首によると、ベネズエラは独裁政権と位置付けられる特徴を備えている。同党首が単なる寄り合いだと話す超党派で非政府組織(NGO)なども参加するサンパウロ・フォーラム(FSP)からの公式脱退問題では、既に直近の3回の会合に同党はそもそも参加していなかったという。今回のインタビューでシケイラ党首は、外にも、ジャイール・ボルソナロ大統領を持ち出しベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領と比較、ブラジルの大統領も同じく民主主義を尊重しないとコメントした。以下は、エスタード紙によるシケイラ党首のインタビューの抜粋である。

 

エスタード紙: PSBがベネズエラにおける人権侵害を容認しないという方針に転じた理由は何でしょうか?

カルロス・シケイラ党首: PSBは民主社会主義、換言すれば、多元主義という理念を基礎にしている。スターリン主義とは異なり、党設立時の私たちの理念は、強権社会主義に対して批判的だった。我々は、ウーゴ・チャベス大統領とその政権、あるいは、ニコラス・マドゥロ大統領とその政権と関係を構築したことはなく、ベネズエラ統一社会党との会合を1度でも持ったことはない。同時に、党が同国の問題について何らの声明も発表していない理由について糺す声があった。私は、人々が正しいと考えた。(マドゥロ政権は)、社会主義とは何らの関係もない。

エスタード紙: ベネズエラが独裁下にあるとお思いですか?

シケイラ党首: 選挙で選ばれた大統領を戴いてはいるが、実施は避けられないにしても選挙をしたというだけでベネズエラが民主的な体制だと保証するものではない。現在の同国には独裁政権に特徴的な状況がある。すなわち、政治家の逮捕と、表現の自由の欠如だ。私たちブラジル国民にとっても、このリスクがわずかながらも存在する。なぜなら民主主義を尊重せず、拷問官を称賛し、報道機関を追い出す人を大統領に選んだからだ。

エスタード紙: サンパウロ・フォーラムを脱退した理由は何でしょうか?

シケイラ党首: 3回前の会合から、PSBは参加していない。ラテンアメリカの社会主義政党はこのフォーラムを批判的にみている。参加当時、我々はIDを持っていなかった。結果的に我々は、実質的に部外者なのだから公式に脱退するほうが良いだろうと判断した。

エスタード紙: フォーラムに対する批判にはどのようなものがあるのでしょうか?

シケイラ党首: フォーラムの活動は非常に中央集権的で、ラテンアメリカの局面に関するより開かれた協議を認めなかった。我々はそこに落胆し、長らく距離を置いてきた。我々はこれまで、そこにとどまることのなく広範囲に関係を構築してきた。我々は、ドイツ社会民主党がコーディネートする社会主義政党と社会民主主義政党が連携する団体、プログレッシブアライアンスに加盟した。ブラジルからの加盟では、我々が最初の政党だった。また我々は、ラテンアメリカ社会主義者連帯(CSL)にも参画しており、これはPSBが長らく調整役を務め、ラテンアメリカの社会主義政党で構成されている。

エスタード紙: ベネズエラに対して何らかの立場をとるべきだという要求はありますか?

シケイラ党首: 党内外、そして社会からも、この政権と我々が無関係だということを示せと求める声があった。人権が誰か、左翼を名乗る人物により蹂躙されていることに、私たちは沈黙していいはずがない。人権が尊重されていない時には、誰がそれを欲しているのかには関係なく、我々は人権を擁護しなければならない。同じ理由から我々は、フアン・グアイドを大統領として認めなかった。また同じく、ベネズエラ国内の危機的状況についても、ジャイール・ボルソナロ大統領が示唆したようにブラジル、あるいはアメリカのような外国によって解決されるという意見にも賛同できない。ベネズエラ社会こそが、これらの問題に関する決定を下す必要がある。

エスタード紙: 労働者党(PT)はその反対の行動をしており、同党のグレイジ・ホフマン党首は、繰り返しマドゥロ体制を支持しています。これについてどのようにお考えでしょうか?

シケイラ党首: 我々は左派政党であるが、別の性質を持つ。私はPTについての意見は差し控える。これは、彼らの問題だ。

エスタード紙: ボルソナロ大統領は既に自身が再選に向けて立候補すると表明しています。それについてはどうお考えでしょうか?

シケイラ党首: 2020年に予定される大統領選について言及するのは時期尚早だと思う。というのも、それまでに別の選挙も控えている。ボルソナロは、大統領として立ち向かうべきただ一つの問題に取り組み終えることなく、この前振りを宣言するという取り組みを終えた。私は否定的に受け止める。なぜなら政党は、国家の問題に対する一つの解決法を見つけ出すことに専念すべきだからだ。(2019年9月4日付けエスタード紙)

 

「人権が誰か、左翼を名乗る人物により蹂躙されていることに、私たちは沈黙していいはずがない。人権が尊重されていない時には、誰がそれを欲しているのかには関係なく、我々は人権を擁護しなければならない」

 

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