ブラジル地理統計院(IBGE)の発表では、2019年第2四半期のGDP伸び率は前四半期比0.4%増加を記録、Valor Data社の金融機関を対象とした調査結果であるGDP平均伸び率の0.2%増加を上回り、予想以上の伸び率を記録していた。
しかし今年7月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.3%を記録、Valor Data社の平均予想の0.6%増加を大幅に下回る結果となって、第3四半期の鉱工業部門の生産は下方修正される可能性が濃厚となっている。
今年初め7か月間の鉱工業部門生産は5カ月間でマイナスを記録、今年5月~7月は3か月間連続でマイナスを記録して累積生産はマイナス1.2%を記録、2008年9月のリーマンブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機発生直後の2009年1月の水準まで低下している。
今年7月の過去12カ月間の鉱工業部門生産はマイナス1.3%を記録している一方で、2017年の鉱工業部門生産は2.5%、2018年は1.0%とそれぞれ増加、過去3年間の経済リセッションのマイナスから反転していた。
今年7月の鉱工業部門の平均生産は、経済リセッションに突入する前の2014年の水準よりもマイナス13.5%と二桁台減少の水準に留まっているとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)では指摘している。
今年7月の自動車を除く輸送装置セクター生産は、2014年の平均水準のマイナス45.8%に留まっており、機械・抗地セクターはマイナス15.8%、電気材料セクターはマイナス22.4%、繊維製品セクターはマイナス19.9%、衣類セクターはマイナス15.0%を記録している。
イタウー銀行では、7月の鉱工業部門生産がマイナス0.3%を記録したために、第3四半期のGDP伸び率をマイナス0.2%に下方修正、今年第2四半期のGDP伸び率は前四半期比0.4%増加していた。
サフラ銀行では第3四半期の鉱工業部門生産をマイナス0.2%、第3四半期のGDP伸び率を0.2%増加、LCA Consultores社は引き続き0.5%増加を予想している。
アルゼンチンの為替危機でブラジルからの自動車輸出が壊滅的なダメージを受けているが、自動車以外にもタイヤやエンジン、自動車パーツなどの中間財輸出も影響を受けており、また国内市場では食品工業や繊維工業が国内経済停滞の影響を受けている。
また継続する米中貿易摩擦で世界経済の減速を招いており、ドル高の為替で輸入品価格高騰で、価格競争力のないブラジルの鉱工業部門生産は2020年も影響を受けると予想されている。
7月の鉱工業生産で唯一回復傾向を示しているのは、鉱工業部門生産で前月比6.0%増加、しかし前年同月比ではマイナス6.3%を記録している。イタウー銀行は8月の鉱工業生産は前月比マイナス0.4%、MCM Consultoresは0.1%増加、LCAは1.1%増加を予想している。(2019年9月4日付けヴァロール紙)