経済相は雇用創出のための減税政策を模索

ブラジルの税制改革で中心的な役割を担ってきたマルコス・シントラ連邦歳入担当次官が金融取引暫定負担金(CPMF)をモデルとする低率の金融取引税の導入案を頑なに策定していたが、ボルソナロ大統領は特にCPMFの復活など税制改革法案を巡る「見解の相違」のためにシントラ次官は解任された。

パウロ・ゲーデス経済相は、評判の悪い金融取引暫定負担金(CPMF)の導入に替わって、雇用創出に繋がる企業経営者の負担を軽減する減税政策を模索している。

ボルソナロ大統領は、大統領選挙キャンペーン中の公約として個人所得税の免税上限を1,903.98レアルから最低サラリーの5倍に相当する4,990レアルへの引上げを公約、しかし国庫庁にとっては年間390億レアルの歳入減少に繋がり、非現実的な減税政策を謳っていた。

ゲーデス経済相は、連邦税の工業製品税(IPI)並びに社会統合計画賦課金(PIS)、社会保障賦課金(Cofins)、州税の商品サービス流通税(ICMS)、市税のサービス税(ISS)を包含する商品サービス税(IBS)に相当する付加価値税(IVA)の税率は25%に達する可能性がある。

連邦政府では企業の従業員に対する社会保障費負担の軽減として、現在企業が負担している給与支払額に対する20%の負担率を8.5%への引下を含めるとこの付加価値税(IVA)は32%に達し、世界でも最も高率の付加価値税(IVA)になる可能性があると経済省は指摘している。

付加価値税(IVA)の税率が25%を上回っているのは、ノルウエーやハンガリーなど極わずかな国しかないが、付加価値税(IVA)の税率が25%を超える国の教育や医療保険などの公共サービスはブラジルと比較できない程の高度な公共サービスを提供している。

現在の個人所得税申請の医療保健に関する税控除では、税控除金額や比率などの規定がないために、富裕層は無料の統一医療保険システム(SUS)の代わりに治療代や診察料金が高額な個人医師や私立病院を利用しており、連邦政府は特に富裕層が恩恵を受けている医療保健に関する税控除に対して、上限を設けることを検討している。

また教育分野では扶養家族の一人当たり3,561.50レアルの控除枠を設けているが、所得の高いほど恩恵を受けており、連邦政府は上限を設けることを検討している一方で、免税が適用されていた慈善団体に対する税徴収開始も検討されている。

経済省は「基準を簡素化するとともに、コストを削減し、家計と企業の税負担を軽減するため」税制改革に取り組んでいるが、企業の従業員に対する社会保障費負担の終了に替わって、法人税並びに個人所得税の変更と単一連邦税に付随する新たな税金の仕組みを検討している。2019年9月18日付けエスタード紙)

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