ペトロブラス石油公社は、過去5年間に亘ってラヴァ・ジャット汚職事件の捜査で連邦警察に協力をしているが、増加傾向にある石油パイプラインからの盗油対策を強化している。
2014年のブラジル国内での盗油件数は1件であったが、2016年の盗油件数は72件発生、2018年の盗油発生件数は、犯罪組織による盗油件数の上昇に伴って261件と急上昇、そのうちサンパウロ州は151件、リオ州は69件発生している。
ペトロブラス石油公社の小規模の暴力組織や麻薬組織カルテル、貧困層住民による石油派生品などの盗油による損害額は、年間1億5,000万レアルに達し増加傾向を示しており、早急な盗油対策に迫られている。
盗油件数の40%はペトロブラス傘下の輸送ロジスティック会社Transpetro社の原油パイプラインからの盗油であり、盗油後は修理のために度々パイプラインの操業中止を余儀なくされる。
またパイプラインから漏れ出ていた石油を採集する住民は火災発生による危険にさらされる。同社では盗油対策として50人に従業員を充てており、年間の盗油対策費用は1億レアルに達している。
メキシコ石油公社(PEMEX)のパイプラインに穴をあけての盗油による年間平均の被害総額は30億ドルに達している。ペトロブラスでは盗油対策に経験の深いPEMEX社並びにコロンビアのEcopetrol社と盗油対策で協定を締結する。
ペトロブラスの盗油対策強化に伴って、今年7月までの盗油による損害は前年同期比33.0%減少している。またペトロブラスは、傘下のTransportadora Associada de Gas(TAG)の株式の90%をフランス資本Engie社並びにカナダの年金ファンドCaisse de Depot e Placement du Quebec(CDPQ)で構成されるコンソーシアムに86億ドル(330億レアル相当)で売却したが、TAG社でも盗油対策を強化している。(2019年9月21日付けエスタード紙)