総務委員会安全対策チーム主催の家族向け「安全対策セミナー」は、2019年9月24日午前10時30分から正午過ぎまで30人が参加して開催、司会は安全対策チームの吉田茂則リーダーが担当、讃井慎一総務委員長は、毎年安全対策チームは企業向けの安全情報を発信しているが、今回は午前の第一部として家族向けセミナー、また午後は第二部として企業関係者向けセミナーには60人が参加して開催した。
在サンパウロ日本国総領事館の菊田 祥広領事は、「サンパウロの最近の治安情勢と対策」と題して、今回の家族向けセミナーは、駐在員夫人の目線の違いもあると思うが、ピンポイントでサンパウロの治安状況や被害防止について説明すると前置き、昨年邦人被害は30件に達しており、サンパウロ滞在中は一回は被害に遭う確率は高いと釘を刺し、被害のリスクを最小限に抑える方法は未然防止だけでは不足で、被害に遭った時の対処の重要性を指摘した。
2014年から殺人事件発生件数は減少傾向にあり、サンパウロ州全体の殺人件数は5000件から3000件に減少、サンパウロ州強盗事件は40万件から32万件に減少したにも拘らず、日本の500倍以上、また強盗事件はサンパウロ市などの大都市での発生件数が高く、大半がピストル強盗で、過敏になっている強盗犯人を刺激しない慎重な対応の必要性を強調した。
また昨年の邦人被害は30件、そのうち強盗事件は12件、窃盗事件18件、今年は既に殺人事件が1件発生、強盗事件6件、窃盗事件3件、スリ事件2件、特に駐在員居住区であるジャルジンス区やパライゾ区で多発している。
防犯に対する心構えや対策として、きょろきょろ動作による警戒心維持、ラフな服装と最小限の所持品の分散所持、ダミー財布の所持、通勤や通学路変更による日常行動の非パターン化、犯罪被害に遭遇した時の対処として、犯人の指示に従い、犯人の顔を見ない。抵抗などと誤解される素早い動きの禁止が特に重要と指摘。被害届の重要性として、警察は被害届を基に状況把握や分析、犯罪地域や拠点、犯罪発生地域の地図作成や防犯対策や捜査支援に役立つために、インターネットによる被害届や大使館・総領事館への連絡の重要性を強調した。
質疑応答では、ブラジルでは顔認識は犯人の重要な有罪判決に繋がるにも拘らず、犯人を刺激しないために班員の顔を見ない重要性。母の日やクリスマスを控えた数万人単位の囚人の一時帰宅による犯罪増加傾向、子供連れ時の対応、防弾車の利点並びにリスク、UBERやタクシー利用の注意点など菊田 祥広領事の貴重なアドバイスで、防犯に対する心構えの再認識に繋がる素晴らしい講演会であった。
在サンパウロ日本国総領事館の菊田 祥広領事
左から讃井慎一総務委員長/安全対策チームの吉田茂則リーダー
Fotos: Rubens Ito / CCIJB