連邦警察によるSelic金利情報漏洩「流星」作戦開始

サンパウロの連邦検察庁(MPF)並びに連邦警察は、「流星」作戦と命名された2010年~2012年にかけて、中銀の通貨政策委員会(Copom)による政策誘導金利(Selic)の決定情報が漏洩していた事件の捜査を開始した。

「流星」作戦と命名されたSelic金利漏洩事件は、労働者党(PT)政権の中核的人物でルーラ政権時の財務相並びにジウマ政権時の官房長官を務めたアントニオ・パロッシ氏の報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)に基づいた証言で捜査が開始された。

流星」作戦と命名されたSelic金利漏洩事件の発端は、実業家Andre・Esteves氏が率いるBTGパクツアル銀行傘下の投資ファンドの収益を上げるために、当時のギド・マンテガ元財務相が仲介していた。

パロッシ氏の証言によると、2011年8月に当時の中銀のアレシャンドレ・トンビーニ元総裁並びにジウマ大統領、マンテガ元財務相が会合を持った時に、大半の金融市場関係者の予想に反して、2年間継続していたSelic金利上昇サイクルに反して、Selic金利の引き下げを要請していた。

この会合の直後にマンテガ元財務相は、Selic金利の引き下げ決定をAndre・Esteves氏にインサイダー取引に相当する密告をした結果、BTGパクツアル銀行傘下の投資ファンドは膨大な収益を上げる結果となった。

パクツアル銀行傘下の投資ファンド名は、インドネシア語で「星」を意味するBintangで2010年に設立された。2012年4月に発表された資料では、2011年の投資ファンドBintang社の収益率は、Selic金利の不当な情報漏洩で402%に達していたが、他の投資ファンドの平均収益率は僅か25%であった。

2011年7月~9月の投資ファンドBintang社の資産総額は、Selic金利の不当な情報漏洩が功を奏して2,000万レアルから一挙に3,800万レアルに倍増、莫大な不当利益を上げていた。

また2011年8月31日の中銀の通貨政策委員会(Copom)によるSelic金利は、大半の金融市場関係者の予想に反して12.5%から12.0%に引き下げられた。また同年7月の中銀の通貨政策委員会(Copom)によるSelic金利は、大半の金融市場関係者は0.75%の引上げを予想していたにも関わらず、0.5%引上げに留まっていた経緯があった。

2014年のジウマ大統領候補の大統領選挙キャンペーン中にEsteves氏は、950万レアルの政治献金を献上、また投資ファンドBintang社の純益の10%相当は、ルーラ元大統領に献上されていたとパロッシ氏は証言している。

連邦警察によるSelic金利情報漏洩「流星」作戦開始のニュースの影響で、昨日3日のパクツアル銀行の株価は一時10%下落したが、終値は大幅に買い戻されて3.78%の下落に留まった。(2019年10月4日付けエスタード紙)

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