ブラジルの穀物栽培農家にとって米中貿易摩擦の継続は、2019年/2020年度の大豆栽培で増産若しくは減産かの選択で疑問符がついており、悩ましい選択を迫られている。
米中両政府は10月中旬にワシントンで行った閣僚級の貿易交渉で、知的財産権の保護や中国による農産品の輸入拡大などに関して第1段階の合意に至ったと発表したにも関わらず、正式な合意文書は交わしていない。
農業コンサルタント会社AgRural社では、今月24日までに2019年/2020年度の大豆栽培では35%に相当する3,657万ヘクタールで既に種蒔が終了していると指摘している。
国家配給公社(Conab)では、2019/2020年度の大豆生産は前年比4.7%増加の1億2,040万トンを予想しているが、中国向け大豆輸出は米中貿易摩擦の行方に左右される。
今年初め7か月間のブラジルの海外向け大豆輸出は5,193万4,000トン、そのうち中国向けは輸出全体の75%に相当する3,898万3,000トンであったが、中国で発生しているアフリカ豚コレラの影響で、家畜向け飼料のなる大豆輸出が前年同期の4,391万7,000トンを大幅に下回っている。
米中貿易摩擦の緩和の影響で、米国産大豆の中国向け輸出が拡大すればブラジルの大豆輸出は減少を余儀なくされる。またアルゼンチンの2019/2020年度の大豆の増産が予想されている。(2019年10月31日付けエスタード紙)