ゲーデス財務相は中国との貿易フリーゾーン構想を語る

パウロ・ゲーデス財務相は、昨日13日にブラジリア市で開催されているロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)首脳会議で、中国との貿易拡大を加速する目的で二国間の貿易フリーゾーン構想を語った。

しかしブラジルはメルコスール加盟国(アルゼンチンとパラグアイ、ウルグアイ)の承認を得なければならず、中国との二国間協定締結による関税撤廃などはメルコスールの規則を無視した言動と捉えられている。

現在メルコスールは韓国並びにカナダ、レバノン、シンガポールとの自由貿易交渉を行っているが、ブラジルが中国との自由貿易協定締結を進めるのであれば、メルコスールと中国とのFTA交渉手続き開始となる。

今年6月末に20年間に亘って交渉を続けてきたメルコスールとヨーロッパ連合(EU)のFTA交渉が政治合意に達したが、7月末にトランプ大統領は「米国に高関税を課しているものの、ブラジルは偉大な貿易パートナーであり、両国の関係は非常に良好」と強調して、米国はブラジルとの二国間貿易協定締結を目指して交渉開始を発表していた。

ブラジルにとって中国は貿易相手国トップであるにも拘らず、ブラジルから中国向け輸出の第一次産品が大半であり、大豆派生品は中国向け輸出の34%を占め、原油は24%、鉄鉱石は21%を占めている。

中国の習近平国家主席は、我々はブラジルとの両国間関係強化を欲しており、輸送部門並びに保健部門、安全、通信、農業部門協力で調印、ブラジルから中国にはスイカ、中国からブラジルには西洋梨の輸出が可能となる。

今年初め10カ月間のブラジルから中国への輸出は215億ドルを記録、輸出総額の27.8%を占めており、また中国からの輸入は20%を占める重要な貿易相手国となっている。

ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、ゲーデス経済相の貿易フリーゾーン設立に理解を示しているが、中国からの輸入の大半は完成品であり、ブラジルの製造業部門は貿易フリーゾーン設立では益々苦しい立場に追い込まれると警告、ブラジル国内での中国企業との付加価値製品のジョイントベンチャーを推奨している。

ブラジルは中国企業に対して国内市場を開放して、付加価値の高い大豆加工品生産で輸出拡大を図る計画が過去に存在していた。(2019年11月14日付けエスタード紙)

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