4段階での税制改革案を国会に提出か

廃止されていた金融取引暫定賦課金(CPMF)と同様の金融取引に対する課税を基本モデルにした新税導入を支持していたことからジャイール・ボルソナロ大統領から批判を浴び、連邦収税局のマルコス・シントラ特命局長が罷免された経緯のある金融取引暫定賦課金(CPMF)を放棄した税制改革案に対して、パウロ・ゲーデス経済相は国会提出にゴーサインを出した。

この税制改革案は今月11月以内に国会に提出され、2020年中頃まで4段階に分けた税制改革案であり、第1段階として社会統合基金(PIS)並びに社会保障賦課金(Cofins)の税率を11%~12%の間で統一され、全てのサービス財に適用される。

第2段階の税制改革案は2020年初めから工業製品税(IPI)の見直しであり、工業製品税は付加価値に対して課せられ、仕入税額控除との差額を納付。税率は製品により異なり、たばこやアルコール飲料など嗜好品など高い税率が適用される製品もあり、税率の大半は0~20%であるが、税率の見直しが予定されている。

第3段階の税制改革案は、2020年第1四半期から個人所得税(IRPF)並びに法人所得税(IRPJ)の見直しが予定されており、法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)は、34%から20%に5年から8年間かけて減税される。

現在の個人所得税申請の医療保健に関する税控除では、税控除金額や比率などの規定がないために、富裕層は無料の統一医療保険システム(SUS)の代わりに治療代や診察料金が高額な個人医師や私立病院を利用しており、連邦政府は特に富裕層が恩恵を受けている医療保健に関する税控除に対して、上限を設けることを検討している。

また教育分野では扶養家族の一人当たり3,561.50レアルの控除枠を設けているが、所得の高い富裕層ほど恩恵を受けており、連邦政府は上限を設けるなど見直しを検討している。

また個人所得税(IRPF)に対する免税金額の引上げ並びに富裕層に対する個人所得税(IRPF)の最高税率の35%への引上げ、最後に法人所得税(IRPJ)では税制改革による国庫庁の大幅な歳入減少を補填するために、上場企業の純利益に対する株式配当金の支払い義務などが生じる可能性がある。

第4段階の税制改革案は、2020年中頃から経済省の「基準を簡素化するとともに、コストを削減し、家計と企業の税負担を軽減するため」の税制改革に取り組んでいる企業の従業員に対する社会保障費負担の終了などを検討している。

国庫庁のジョゼ・バローゾ・トステス・ネット特別長官は、第1段階から第4段階の税制改革案の国会での承認を足踏みすることなく、スムーズに運ぶことが肝要と強調している。

財政再建途中の現在、国庫庁の歳入はGDP比35%維持を余儀なくされるが、経済回復後は経済成長に伴って個人向け並びに法人向け税率を自動的に調整するとパウロ・ゲーデス経済相は説明している。

社会統合基金(PIS)並びに社会保障賦課金(Cofins)の税率を11%~12%との間で統一される税は、財・サービス納付金(CBS)と呼ばれ、世界180カ国で適用されている商品サービス税(IBS)に相当する付加価値税(IVA)モデルを適用する。(2019年11月18日付けエスタード紙)

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