ゲデス経済相のAI5発言でドルが4.24レアルに高騰

パウロ・ゲーデス経済相は、25日米国ワシントン市でのフォーラムでエクアドル並びにボリヴィア、チリ、コロンビアで継続している激化する民衆デモに対して、軍政令第5条(AI5)擁護発言を導火線となって26日の為替や株価に引火した。

昨日26日のレアル通貨に対するドルの為替は一時R$4.27を記録したが、中銀による2回の為替介入で終値は前日比0.61%増加のR$4.24と前日に続いて記録を更新している。今年のレアル通貨に対すドルの為替は9.52%高騰、今月だけで既に5.76%高騰している。

25日のゲーデス経済相は、今後ブラジルは低率で推移する政策誘導金利(Selic)の一方で、高止まりするドルの為替と共存する習慣になれなければならないとの発言が引き金となって、ドルの為替が一気にR$4.27を記録した。

多くのエコノミストはドルの為替高止まりの影響で、2020年の中銀による政策誘導金利(Selic)の引下げサイクルに歯止めがかかると指摘、Factor銀行のジョゼ・フランシスコ・リマ・ゴンサルベス氏は、現在5.0%のSelic金利は4.5%以下には下がらないと予想している。

終焉が見えない米中貿易摩擦の影響で、大半の新興国のドルに対する為替は下落しているが、ブラジルのレアル通貨の下落の要因は米中貿易摩擦に加えて、ジャイール・ボルソナロ政権による構造改革の遅れが影響しているとゴンサルベス氏は指摘している。

中銀のロベルト・カンポス・ネット総裁は、昨日ドルに対するレアル通貨下落阻止で2回に亘って為替介入を行ったが、今後も短期的にドルの為替高騰阻止のために為替介入を示唆している一方で、マクロ経済に悪影響を与えるために長期的な為替介入は否定している。

昨日の為替市場では一時R$4.28に届くほど高騰したにも関わらず、中銀による2回の為替介入で終値は前日比0.61%増加のR$4.24に留まったが、ドル高はガソリンやディーゼル燃料価格の上昇、年末の海外旅行に悪影響を及ぼし、また来年のSelic金利の引下サイクルの中止に繋がるとエコノミストは指摘している。

自動車パーツの輸出入にとって安定したドルの為替は最良であるが、為替のボラティリティは製造業界にとって最悪であり、今年のドル為替はR$3.85でオペレーションしているとラテンアメリカ地域で最大の自動車パーツメーカーBOSCH社のBesaliel Botelho社長は変動の激しい最近の為替に困惑している。

オリーブ油やワインの輸入商社Sicilianess社のオーナーは、ドル高の為替でも最終消費者に対して価格転嫁できないために、収益性が圧迫されている。またプラスティック樹脂を輸入するKovacs Industria e Comercio社のJose  Kovacs共営者は、常時120日の在庫を抱えているものの、ドルの為替がR$4.00突破すれば8.0%値上げをしなければ赤字になるために、価格転嫁を余儀なくされている。

またドル高の為替は株式市場にも大きな影響を与え、昨日26日のサンパウロ平均株価(Ibovespa)は前日比1.26%下落の10万7,059.40ポイントを記録した。(2019年11月27日付けエスタード紙)

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