世界的な貿易収縮並びに米中貿易摩擦の影響で、2019年のブラジルの貿易は輸出入ともに前年割れを記録、昨年の貿易収支は前年比19.6%%減少の467億ドルの黒字計上に留まった。また1日平均の貿易収支は前年比20.5%減少を記録している。
昨年の輸出総額は前年比7.5%減少の2,240億ドル、輸入総額は3.3%減少の1,773億ドル、貿易総額は5.7%減少の4,014億ドルと経済省通商局(Secex)では発表している。
昨年のブラジルの貿易総額はGDP 比24.0%とメキシコのGDP比70%、チリの30%以上を大幅に下回っていると経済省通商局(Secex)では指摘している。今年は景気回復に伴って輸出入ともに増加が予想されている。
昨年の貿易収支では、為替危機によるアルゼンチン経済の停滞で、ブラジルからの資本財輸出は52億ドル減少に繋がっており、また中国国内の豚ペストによる大豆輸出も67億ドルの減少を記録した一方で、牛肉輸出が増加してある程度カバーしている。
英国の欧州連合(EU)脱退や米中貿易摩擦の継続など世界経済にとっては不透明感が継続しているものの、2020年のブラジルのGDP伸び率は2.3%増加、一般消費拡大や民間部門の投資拡大で、2020年の貿易収支は394億ドルの黒字が予想されている。
2020年は7月末までのカナダとメルコスールの自由貿易協定、年末までには韓国とメルコスール、シンガポールとメルコスール、メキシコとブラジルの自由貿易協定締結を経済省貿易担当局のルッカス・フェラス局長は予想している。
またルッカス・フェラス局長は、連邦政府は2002年以内に米国との貿易関税交渉、日本並びにインドネシア、ベトナム、インドとの自由貿易交渉開始を予想している。
2019年のブラジルの輸出先トップは、中国並びに香港、マカオ向け輸出総額は前年比3.1%減少の653億8,900万ドル、輸出比率は全体の29.2%と前年の27.9%に続いてトップを維持した。
中国に次いで米国向け輸出は1.8%増加の295億5,600万レアル、輸出比率は13.2%と前年の12.0%から増加、アルゼンチンは35.6%減少の97億1,400万ドル、輸出比率は前年の6.2%から4.3%と大幅に後退している。
前記同様にヨーロッパ向け輸出総額は13.5%減少の422億7,000万ドル、輸出比率は前年の20.2%から18.9%に減少、中近東地域は9.1%増加の107億8,700万ドル、輸出比率は前年の4.1%から4.8%に増加、アフリカ地域は9.1%減少の75億3,500万ドル、輸出比率は前年並みの3.4%を占めている。
2019年の第一次産品輸出は全体の52.8%と過半数に達し、1997年に統計を取り始めて初めて50%を突破、2018年の第一次産品輸出は全体の49.8%であった。また完成品輸出比率は前年の36%から34.6%に減少、半完成品輸出は前年並みの12.7%であった。
昨年の第一次産品輸出総額は、国際コモディティ価格減少の影響で前年の1,192億ドルから1,182億ドルに減少、完成品輸出は11%減少の775億ドル、半完成品は8.0%減少の284億ドルであった。
昨年の大豆派生品の輸出比率は全体の11.8%と前年の13.8%から減少の263億ドル、牛肉輸出は中国向けが牽引して前年の2.3%から2.9%に増加して輸出総額は65億ドルに達している。豚肉輸出は前年比35.8%増加の15億ドル、鶏肉輸出比率は2.5%から2.8%に増加している。
また昨年のトウモロコシ輸出は前年の1.6%から倍増の3.3%、輸出金額はドル高の為替も追い風に86.4%増加の74億ドル、鉄鉱石輸出は8.4%増加の222億ドル、原油は7.1%増加の237億ドル、石油派生品輸出は92億6,800万ドルに達している。
一方昨年のトラックやバス輸出は、アルゼンチンの経済危機やラテンアメリカ地域の景気後退の影響で前年比35.3%減少、乗用車は27.5%減少、ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、ブラジルの第一次産品輸出好調は歓迎できるが、ブラジルの製造業部門の競争力低下を憂慮している。(2020年1月3日付けヴァロール紙)