中国企業は公社民営化やコンセッションでブラジルに再上陸か

2018年の大統領選挙キャンペーン中のボルソナロ候補は、「中国はブラジル国内の企業買収ではなく、中国はブラジルを買っている」と中国企業による基幹産業部門買収を警戒していた経緯があった。

しかしボルソナロ大統領は、大統領就任後に一転して中国企業に対して投資歓迎を謳っており、今年は連邦政府主導による公社民営化や大型インフレ整備向けコンセッションが目白押しとなっている。

特に中国企業は、2005年から電力エネルギー部門を中心にブラジル国内の基幹産業部門に対して、ハイリスク・ハイリターンにも関わらず、積極的に企業買収などで総額570億ドルに達する投資を継続しているが、2017年の電力部門を中心に90億ドルを投資していた。

しかし2018年は大統領選挙を控えて、ボルソナロ候補の中国政府に対する否定的な発言、昨年はボルソナロ新政権による公社民営化やコンセッション向け投資が停滞、中国企業の投資は70%減少の30億ドルまで落ち込んでいた。

ブラジル中国企業評議会(CEBC)のエドアルド・セントラ取締役は、今年の中国企業のブラジル国内の対内直接投資は70億ドルに上昇すると予想、今年の中国企業のブラジルへの投資は、アンゴラ並びに南アフリカ、モザンビークで行った道路や鉄道、水力発電所建設と同様の投資を見込んでいる。

サンパウロ州内の2,800万人向けに上下水道設備を提供する売り上げが160億レアルのサンパウロ州水道公社(Sabesp)の持株の50.3%はサンパウロ州政府であり、時価総額が400億レアルと見込まれている株式の半分を中国鉄建(CRCC)が交渉中と予想されている。

連邦政府は今年中に道路建設コンセッション入札で420億レアル、鉄道建設コンセッション入札で520億レアルの資金調達を予定しているが、中国企業は電力エネルギー部門以外にも天然ガス部門への参入を目論んでいる。

2017年~2019年11月までのペトロブラス石油公社は、天然ガス輸送向けパイプライン事業分野でNova Transportadora do Sudeste(NTS)社並びにTransportadora Associada de Gas(TAG)の株式放出、また一般家庭用プロパンガス配給会社Liquigas社を37億レアルで、イタウー銀行の投資部門のItausa社並びにUltraグループに売却して約300億ドルの資金調達をしている。

2020年のペトロブラスは都市ガス配給会社並びに所有する岩塩層下(プレソルト)原油・天然ガス開発鉱区の売却、BR Distribuidora社の持株売却などで200億ドル~300億ドルの資金調達を予定している。

3年前には中国資本State Grid Corp of China社はCPFL Energia社、中国の民間最大の電力エネルギー企業China Three Gorges(CTG)社は、世界投資の18%に相当する投資をブラジル国内の電力エネルギー部門に投資していた。

このState Grid Corp of China社並びにChina Three Gorges(CTG)社は、エレトロブラス電力公社(Eletrobras)及びミナス・ジェライス電力公社(CEMIG)の民営化部門の売却に注目している。

また中国企業は、風力発電所の買収以外にも風力発電向け機械・装置供給分野への進出を目論んでおり、交交通建設(CCCC)は、2016年11月にブラジルのゼネコン企業Concremat Engenharia社の80%の株式を3億5,000万レアルで取得、またWTorre社傘下のマラニョン州サン・ルイス港湾の51%の株式を取得している。

昨年12月に中国資本の交交通建設(CCCC)とCR20社は、バイア州サルバドール市と対岸のヴェラ・クルース市を結ぶサルバドール‐イタパリカ大橋案件を落札。投資総額は53億レアルが見込まれており、このプロジェクトには総延長距離が12.3キロメートル、契約期間は35年となっている。

中国資本の交交通建設(CCCC)は、今年中に入札が予定されている投資総額が数十億レアルに達するトカンチンス州とバイア州沿岸部を結ぶ1,500キロメートルの東西統合鉄道(Fiol)、Ferrogrão(フェログラン)と命名されているマット・グロッソ州シノップ市とパラー州ミリチツーバ市を結ぶ1,142キロメートルの鉄道建設の大型プロジェクト入札に参加する。

2018年の中国資本のブラジルへの投資内訳では、グリーンフィールド投資は全体の47%、企業買収・合併は43%、ジョイントベンチャーは10%であった。

中国の重機械メーカーXCMG社は、先週サンパウロでミナス州ポウゾ・アレグレ市での工業団地設立計画を発表、現在は中国から輸入する CKD 部品による組立製造を行っているが、グループ傘下のサプライヤーを呼び寄せて、コストダウン並びに生産効率を向上させる。

75年の歴史を誇る中国の重機械メーカーXCMG社は、2020年からのブラジル経済回復に伴って、グループ傘下の部品サプライヤー進出を促すために、ミナス州内の製造基地は同社最大の海外製造基地であるだけでなく、建機工業団地を建設する。(2020年1月12日付けエスタード紙)

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