3月5日開催の2020年上期の業種別部会長シンポジウムのPDF発表資料掲載
① 金融部会
② 貿易部会
③ 機械金属部会
④ 自動車部会
⑤ コンサルタント部会
⑥ 化学品部会
⑦ 電機・情報通信部会
⑧ 食品部会
⑨ 運輸サービス部会
⑩ 生活産業部会
サイト記事: http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=20550
2020年上期の業種別部会長シンポジウムテープ起こし記事掲載
2020年上期の業種別部会長シンポジウム
テーマ:「2019年の回顧と2020年の展望」
副題:「ビジネス環境改善に期待、いま為すべきこと」
日時: 2020年3月5日(木曜日)
金融部会
東邦彦 部会長
皆さん、こんにちは。今年度金融部会長を務めておりますブラジル東京海上の東でございます。よろしくお願いいたします。本日はブラジルの経済動向、銀行業界動向、それから保険業界動向、それらにつきまして簡単にご説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
先程村田会頭からお話しがありました通りですね、私どもはこの1ヶ月間ぐらいかけて資料を準備して参ったんですけども、この1ヶ月間で劇的に経済動向、市場動向が変わっておりますので、必ずしもこの資料と足元の状況がですね、何と言いますか、ぴたっと一致していないといいますか、認識のずれがあるということをご了解いただければと思います。その都度、口頭にててですね、補足をさせていただきたいというふうに思っております。
まず冒頭のスライドでございますけれども、このスライドの左側で2019年のブラジル経済の振り返り、それから右側で2020年の見通しについてポイントをまとめております。それから右側で2020年の見通しについてポイントをまとめております。
2019年は2018年に続き、アルゼンチン危機や米中の通商問題等にブラジル国内も影響を受けまして、経済成長は鈍化しましたけれども、各種改革では年金改革の承認など重要な成果が上げました。今後の経済に期待が持てる年となったというふうに総括をしております。
一方、スライドの右側でございますけれども、2020年の見通しでございますが、先程から話題になっておりますコロナウィルスや、2020年に予定されている米国大統領選挙、それからブラジルは引き続き、こういったブラジル国内外のリスク要因にさらされている状況であります。
しかし一方で、ブラジル国内では税制改革や省庁再編などの各種改革案の進展や、それから歴史的低水準の政策金利が追い風になって、経済は、基調としましてはですね、好転するものと予想しております。
それでは、ここから具体的なケースを追いながらご説明させていただきます。
こちらのスライドは2012年以降の主要経済指標の推移と予測についてまとめております。特に表の右の方ですね、の2020年予想値を中心にご説明を申し上げます。
まずGDP成長率ですが、年金改革法案の承認や歴史的水準の金利が追い風となりまして、2020年は2.3%の成長と予想しています。これは中央銀行のFocusを使っていまして、直近ではなくてちょっと古いデータとなっていまして、現在の予想としてはだいたい下がってきているということをご了承ください。
2020年の前半は昨年と同程度の緩やかな成長となって、政権による追加の各種改革の実現可能性が明らかになる年度半ば以降ですね、に経済が回復してくるというふうに、まあ基調としては回復するというふうに考えております。
貿易収支につきましては、黒字幅は前年に続きまして縮小していくというふうに予想しています。
また、インフレ率ですけれども、基調としては景気回復局面にあるものの、まだ生産余力がありますので、3.25%のインフレというふうに予想しております。
政策金利は、インフレがターゲット内の水準で制御をできていますことから、中銀に政策金利を引き上げるインセンティブは低い。今後、コロナウィルスの状況を踏まえますとですね、より金融緩和の方向というのが強まるということを考えますと、低利で安定するというふうに考えております。
次のスライドはGDP成長率でございます。年金改革の承認や歴史的低水準の政策金利を背景に、2020年はブラジル経済が勢いを取り戻す年になると期待しております。
年金改革に加えまして、ブラジル国内の政治動向は過去数年に比べ安定しておりますし、経済政策を推進しやすい環境であるということもブラジル経済にとって追い風となると見ております。
次のスライドは経常収支でございます。貿易収支の黒字幅の縮小が予想されています事から、経常赤字が、まあ結果としまして、拡大していくというふうに見込んでおります。
こちらのスライドは基礎財政収支を示したものです。義務的経費が政府財政の負担となり、基礎財政収支は赤字となっております。しかし裁量支出の削減や、義務的経費の増加の抑制、これらを図る政策が見られますことから、赤字幅は減少傾向にあると見ていますが、財政赤字の状態は最低でも2021、このぐらいまでは続くと予想しております。
次のスライドは労働市場の状況を示した失業率の推移でございます。労働市場の改善は緩やかであり、経済も停滞している状況下、企業も従業員の長期雇用に関しては慎重な姿勢を見せております。この傾向は今後も継続すると予想しております。
こちらのスライドは消費者信頼感指数を示したものですけれども、スクリーンの方では見にくいかもしれませんけれども、濃い緑線で示されたグラフが消費者信頼感指数です。
各種改革案の進展、それから政策金利の切り下げと経済政策の結果により、消費者信頼感指数は改善しました。今後は雇用市場および個人貸付の回復により個人消費や経済活動が下支えされると見ております。あくまでも基調としてはということですね、見ております。
続きまして、ブラジルリスクの増減を表す指標である5年物のcredit default swap、それから対USドルのレアル為替相場の推移をご説明いたします。
為替相場につきましてはですね、ちょっとこちらのグラフはアップレートの状態になっちゃっているんですけれども、まあ方向性としましてはレアル安方面へ引き続き推移すると。それからブラジルのデフォルトリスクですけれども、こちらに関しましては依然として低い状況であるというふうに認識しています。CDSのスプレッドは右肩下がりで下がっているということで、これは現在の経済政策がですね、正しい方向に進んでいることを反映しているというふうに評価をしています。
次にサンパウロ証券取引所の株価指数の推移です。Bovespaの指数は2016年のジルマ大統領の弾劾訴追以降上昇傾向にありまして、2016年以降に実施された経済政策の結果を反映していると言えると思います。
インフレ率ですね。物価等を含む経済指標は引き続きブラジルが緩やかなインフレ状況下にあることを示しており、サービス業のインフレ率等は引き続き問題ない水準であります。2020年、2021年につきましても、現在のインフレターゲットである4%を下回る水準と予想しております。
政策金利ですね。ブラジル経済の本格的な回復はしばらく先になるというふうに予想していますが、引き続きドル=レアルはレアル安方向、インフレ率に関しては低位な水準で安定に推移していくことが見込まれます。これによりブラジル中銀は金融緩和を長期にわたって維持するというふうに予想しております。
次のスライドはブラジル中銀が発表する外国直接投資の推移です。ブラジルの資金需要、相互の外国直接投資が流入し続けておりますので、今後数年間この傾向が続くというふうに予想しております。また、民営化等ブラジル国内のビジネス環境が改善している中で、外国直接投資は増加傾向にあるというふうに見込まれています。
さて、次のスライドでは金融部会所属の各金融機関にご回答をいただきました2020年、2021年の予測数値について、予測最大値と最小値というレンジで表記をさせていただいております。あわせまして、Focusと呼ばれる100以上の金融機関の予測をブラジル中銀がまとめた市場トレンドにつきましてもご参考までに表示しております。
先程も申し上げましたけども、予測数値につきましては2月中旬以降の世界的な金融マーケットの混乱を織り込む前の数値でありますので、いまだ沈静化しない環境や全世界的な金利引き下げを勘案しますと、今後ブラジルにおいても各種数値の見直しが避けられないものと考えています。
まずGDP成長率でございますけれども、2020年が2.2~2.5、2021年が2.4~3.5と、この時点のFocus同様、各行とも緩やかな成長の継続を見込んでいます。
インフレ率は、2020年が3.1~4.3、2021年が3.5~3.75%と、おおむね政府が定めるインフレターゲットを下回るレンジの中に収まるものとみております。
為替レートは2020年が4~4.1レアル、2021年が3.9~4.07レアルと、このアンケート時点ではそういう予測をしておりました。この足元の状況の変化を踏まえますとですね、為替レートにつきましては予断を許さない状況にあるというふうに認識しております。
それから年末の政策金利ですけれども、2020年は4~4.25、2021年は4.25~6.5と、緩やかに金融引き締め局面に向かっているものと予測しておりますが、これも、足元の金融緩和の継続が見込まれるという状況を踏まえますと、不透明感が出てくるというふうに言えるかと思います。
続きまして、次のスライドをご覧ください。このスライドは金融部会の各金融機関の今後の見方についてコメントをサマリーしたものでございます。
まず1項目目。ブラジルにおけるビジネス環境改善のために2020年最も期待することは何か、という問いに対する回答でござります。
まずは構造改革の実行ということで、税制改革、政府および公有企業の民営化、公務員セクターの改革、これらをどこまで具体的に前に進めることができるかがポイントとなります。かかる取り組みを着実に実行に移すことを通じて、内外マーケットの信頼を勝ち取り、低インフレ、安定的な低金利環境を構築するとともに、本格的な個人消費の回復や企業の投資活動の活発化へつながるものと考えております。
次の項目ですけれども、2020年にブラジル経済に影響を与える外的要因は何か、またどのような影響かという問いかけです。
コロナウィルスの拡大をはじめとしまして、アメリカ大統領選挙、それから中東情勢等の問題を背景に世界経済の見通しが急速に不透明になってきております。実際に足元の経済成長の速度が減速しております。国際社会の不透明な状況は2020年以降も続くことが想定されています。かかるリスクが顕在化した場合には、ブラジルへの影響も避けられないというふうに考えます。
個別国で申し上げますと、貿易、直接投資ともにきわめて重要な役割を担う中国の動向は、今般のコロナウィルスの影響、それから米中貿易戦争の動向等引き続き注視が必要と考えています。
また、アルゼンチンをはじめとする中南米諸国の左派政権の先鋭化は隣国で関係の深いブラジルにも相応の影響が出る可能性があると思われます。
一方でEUとの関係においてはメルコスルとのFTAによりブラジルをはじめとする南米4カ国の経済を押し上げるプラスの要因になるものと思われます。
最後の項目は、かかる変化に適応するために、日系企業あるいは日系金融機関としてどのような準備、戦略が必要かという問いかけであります。
主な準備、戦略は以下2点というふうに考えています。
ひとつは、ブラジルへの投資タイミングを逃さないために、本社経営陣との密なブラジル関連の情報の共有、戦略策定。ブラジルは昨年の年金法改正、それから税制改正等ですね、各種の改革に本格的に取り組む姿勢が続いておりますので、改革を着実に実現していくことができれば、短期的には市場の信頼を得て、経済環境が安定次第、本格的な景気回復へ移行することが期待できますので、中長期的にはインフラ等への資金が適切に配分されることで潜在成長率が引き上がっていくと。持続可能かつ力強い発展につながるものと考えます。
そのようなブラジルの成長可能性、景気回復動向に注視し、為替の変動も踏まえつつ、潮目が変わった際には迅速かつ集中的に人、モノ、金といった資源を投下できるように準備し、投資戦略を本社とともに描いていくことが重要かと思います。また、中国、欧米企業もブラジルを注視していますので、先を越されないためにも迅速に動けるよう準備が重要であると考えています。
二つ目ですね。三つ目のポチになりますけども、ビジネス環境悪化に備えた社内体制のスリム化によるコスト構造改革です。
一つ目でお伝えしました通り、ブラジルの景気改善の可能性はあるのか、ブラジルを含む世界経済が極めて不透明な状況が続いておりますので、通常時においては引き続き筋肉質な組織体制を築いていくことが重要な準備、選択となっております。
私ども金融機関としましては、適宜適切にお客様のお役にたてるように世の中の変化を注視すること、それとともに、安定的な資金の供給、的確な金融商品の提案、サービスのご提供、情報発信に努めていくことが必要と考えております。
ブラジル経済動向の説明につきましてはこちらで終わらせていただきます。続きまして2019年の銀行業界の動きについてご説明いたします。
最初に貸出残高の推移でございます。2011年以降毎年二桁ベースで増加していた融資残高合計が、2015年には6.7%と一桁の伸びとなり、2016年以降はマイナスになっております。2018年以降にやっとプラスに転じているという状況であります。
2019年の貸出状況ですが、個人向けの貸出は堅調に増加、11.7%の増加で、一方で昨年に引き続き、景気の本格的な回復は依然として不透明であり、法人向けの貸出は微増という結果になりました。
内訳を見ますと、農業、それからサービス業は好調であったんですが、鉱工業で大きく減少しているという状況にあります。
2020年は個人向け貸出のみならず、法人向けの貸出も回復に転じて、金利の低下にも助けられ、貸出は緩やかながらも回復基調になると予想しております。
こちらのスライドは業界全体における平均貸出利鞘となります。2017年以降は政策金利の引き下げ、それから金融機関による審査の厳格化、クレジットポートフォリオの改善等、これらを背景にしまして、貸出の利鞘は縮小しているという状況になります。
次は不良債権比率になります。2015年以降、景気低迷による企業の資金繰り悪化等の影響を受けまして延滞債権が増加していましたが、2017年6月以降は景況感の回復に伴い企業業績も改善に向かい、法人向け、それから個人向け、特に不良債権比率は改善傾向にあります。不良債権比率の低下により、金融機関の貸し出し余力が出てきておりますので、各行とも積極的な融資スタンスを示し始めているということから、2020年は本格的にクレジットの回復が期待されております。
引き続きまして、2019年保険市場の動向につきましてご説明をさせていただきます。
まず保険料収入ですが、ブラジルの保険監督庁でありますSUSEPの統計データによりますと、2016年の1.5%を底にしまして、2017年は4.2%、2018年が6.6%、2019年は少し下がりまして4.8%。少し下がりましたが、まあ成長トレンドが続いているということが見て取れるかと思います。
続きまして保険種目別の保険料収入でありますが、生命保険分野、こちらではこのグレーのところでございますけれども、10%を上回る高い成長を維持しています。生命保険へのニーズが高まっている事、また銀行セクターにおける個人融資の回復に伴い、団体信用保険等の保険が伸びていることが主な要因と考えられます。
また、2018年はプラス成長を記録した自動車保険は、2019年はマイナス成長に転じております。これはちょっと事情がございまして、強制保険であるDPVATという保険がございますが、こちらの保険料率、これは政府が決めることになっていますけれども、政府が決める料率が引き下げられたこと、それから市場の競争激化。それから代替市場ですね、公債市場等の保険代替市場への流出等の減少が2019年は見かけられました。
次のスライドは保険種目別の損害率のデータでございます。損害率と申し上げますのは、保険料に対していくらの保険金をお支払いしたかという比率でございますが、全体では損害率は45.4%と、昨年対比で0.6ポイントの悪化となりました。
自動車保険、マリン、具体的には貨物保険ですね、では治安状況の改善による盗難事故の減少が寄与しまして、損害率は改善したんですけれども、火災、新種その他の保険ではですね、年初の大雨や大規模災害により悪化したということです。ちなみに2020年は年初から大雨が降っていますので、今年は火災・新種につきましてはかなり損害率の悪化が今見込まれております。
最後のスライドでございますが、主な保険市場の成長見通しについてご説明いたします。
2020年のブラジル保険市場の成長見通しは、損害保険、生命、傷害保険ともに引き続き高い成長が予想されています。ブラジルにおける保険の普及率は日本や欧米と比べますとかなり低い状況にございます。これが中長期的には、経済回復に伴う企業投資や中間所得者階層、ここが厚くなりますと保険商品に対するニーズは高まって来るというふうに思っています。
最後になりますが、ブラジル経済は循環的な回復基調にあるものの、引き続き先行きに不透明感があり、かつ変化の絶え間ない環境ではございますので、難しい局面に直面するリスクは常にあると認識しております。かような環境ではございますが、ブラジルの金融セクターの健全性はブラジルの強みのひとつと考えておりますので、私ども金融機関といたしましては目先の環境変化に右往左往することなく、お客様の事業の発展を一貫してご支援させていただくべく、不断の努力を行って参りたいと考えております。
ご清聴ありがとうございました。
司会
はい、ありがとうございました。皆様よろしければ、ご質問のある方挙手いただけますでしょうか。よろしいですか。お願いします。
発言者
保険市場についてなんですけども、生命保険の伸び率が高いというところですが、例えば日本と比べて生命保険に入っていらっしゃる加入者の割合だとか、それから伸び率が高いのは、まあA層、B層、C層とか色々あると思いますけども、どの辺が伸びているか、これから成長の余地がまだまだあるのか、それともどうなのか、このあたりが分かれば教えていただきたいと思います。
東部会長
はい。すみません、ちょっと生命保険に関してはですね、今覚えていないんですけれども、例えば自動車保険で申し上げますと、日本での自動車保険の加入率が7割から8割ぐらいに対して、ブラジルでの自動車保険の普及率が大体3割でございます。ですので、街の中で車とぶつかったと、まず7割の確率で保険に入っていないとお考えください。
保険の普及率なんですけれども、元々保険といいますのは中間所得層ですね、に一番ニーズがあるというふうに言われております。お金のある人はですね、あまり保険に入る必要がない、お金がない人はですね、保険に入れないということでですね、中間所得層が厚くなれば厚くなるほど保険の普及率が高まると考えられておりますので、そういう意味でブラジルもその中間所得層が厚くなっていけばですね、この今の3割という保険の普及率がですね、5割、6割、7割というふうに上がっていくものと期待しております。
発言者
分かりやすい説明をありがとうございました。
発言者
マイクを渡されましたので質問させていただきます。もし分かったらということなんですけども、ちょっとコロナウィルスの影響がやはり関心がありましてですね、カーニバルの時まではですね、株価とブラジルの通貨レアルが同時におそらく安くなってきたトレンドだったと思うんですけども、今日ちょっと株価下がっていますけども、そのあとレアルは引き続き安くなっていて、株はかなり戻してきているという、金利が下がるという観測があると思うんですけども、他にこの乖離している、トレンドがちょっと変わったんじゃないかなと思っていて、この辺の要因についてもし分かれば、もしその5年物のCDSですか、これのトレンド何か変化があればですね、ちょっと教えていただければと思います。
讃井副部会長
みずほ銀行の讃井です。本年度の金融部会の副部会長を仰せつかっています。非常に鋭いご質問だと思うんですけども、ブラジルの株式の外国人の比率というのは大体20%から30%ぐらいだと言われておりまして、そういったなかで基本的に株価を動かしているのはブラジルの中の方というのが大きいのかなという、その中で不動産であったり預金であったりという中でお金が動いているというのが一つの流れだと思います。それとあとは、直接リンクするかどうか、ブラジルの金利が非常に低下してきているところでございまして、これ外国から見ると高金利通貨であると、10数パーセント利回りがあったという、非常に魅力的だった、そういった要因がひとつ剥落してございますので、こういった要因でまあレアルが売られているということかと思いますので、その力加減といいますか、方向性に踊らされているということなんじゃないかなというふうに思います。以後ですね、こういったコロナウィルスの影響は、織り込めない、まだ分からないというのが実際のトレンドだということです。例えば、先だってFRBが0.5%利下げをしましたけども、これが必ずしも良い方向に効いたわけではないというこういった事情もございますので、まずはちょっと様子見なんじゃないかというのが大勢の考え方じゃないかなというふうに承知してございます。
司会
よろしいでしょうか。それでは東部会長たいへんありがとうございました。
貿易部会
有村俊一 副部会長
こんにちは。貿易部会副部会長の島津製作所の有村と申します。よろしくお願いします。本日、伊藤忠の猪股部会長は出張中ということで、代行でやらせていただきます。私自身は昨年7月に赴任しまして、色々不慣れな点はございますが、何卒よろしくお願いします。では始めます。
2019年の回顧と2020年の展望ということでまとめさせていただきます。
まず貿易額の推移です。グラフをご覧いただきますと、これが半期ごとの貿易額の推移を示したものでございます。左側の青色の棒グラフが輸出額、右側の緑色の棒グラフが輸入額、折れ線グラフは貿易収支を表しています。また、赤の横線ですね、貿易収支の黒字額を示しています。
2019年の貿易額ですが、輸出入ともに通年で2017年は上回った形ですけれども、2018年は下回る結果となりました。貿易黒字に関しましては、2017年をピークに減少傾向にあります。これはブラジル国内の景気回復も一因かというふうに思っております。輸出入額の内訳につきましては、また後ほど紹介いたします。
為替に関しましてですが、これは先程までと大分重複する部分があるんですけども、2018年の通年平均、これは終値ベースですけれども、これは3.68レアル。2019年の通年平均は3.85レアルとなっております。2019年はじめは3.7レアル台から始まり、3.6から4.2レアル台を推移したということ。今年は、元々3.7レアル台と見られていましたけども、直近では4.6超えているということで、今後の動向を注視していく必要があるというふうに思います。
次のスライドではですね、輸出入について前年と比べながら説明いたします。
2019年の輸出動向です。まず合計ですね。表右下の対前年増減率、金額ベースでマイナス6.4%、数量でマイナス5.3%となっております。この表では、輸出商品を一次産品、半製品、工業製品の三つに大別しています。それぞれの輸出額の構成比としましては、一次産品が約半分以上、52%を占めていますので、一次産品の国際市況に大きな影響を受けがちな構造が続いているという状況です。
増減が目立つ部分としましては、一次産品で、もっとも金額も大きい大豆です。金額ベースでマイナス21%、数量ベースでマイナス11%。大豆の内訳に触れますと、輸出量の約8割が中国向けです。18年は大きく伸ばしましたが、19年は17年レベルに戻ってきているという状況です。
これは米中貿易摩擦の影響を受けておりまして、18年は中国が大豆の関税を引き下げたことによりまして米国産の輸入が減り、そこにブラジル大豆が輸出が増加しました。19年は中国が一部の大豆に関しまして関税なしの輸入を認める措置を導入したことによりまして、アメリカ産の輸入回復、ブラジル産の輸入量が押し下げられたと。
また、アフリカ豚熱、豚コレラのことですが、これが流行した結果、豚の飼料用の大豆の輸出自体が急減したということも減少の要因になっています。
また、トウモロコシが大きく伸ばしております。金額ベースでプラス87.4%、数量でプラス88.5%となっております。なおこのトウモロコシの輸出先1位は金額ベースで日本となっております。後ほど対日貿易のスライドで触れたいと思います。
また鉄鉱石も、金額がプラス9.7、数量でマイナス12.6という結果が出ております。
半製品の中でいきますと、粗糖が金額でマイナス16.2、数量でマイナス11.6。鉄鋼半製品が金額でマイナス16.9、数量でマイナス5.8%という結果です。この鉄鋼半製品、この金額と数量の乖離というのは、Valeの事故後市場価格が上昇したためのようです。
工業製品ですけれども、乗用車が金額でマイナス26.4、数量でマイナス30.6。燃料油が金額でプラス7.1、数量でプラス16.8という結果になっております。
続きまして輸出の相手先国別について説明いたします。左の表が輸出額上位10ヶ国、右側が国別の構成比を表しております。
1位の中国は2018年と比べ大きな変化はなくマイナス1.7%。2位のアメリカもプラス3%という状況です。一方減少が目立っていますのは、3位のオランダ、マイナス22.8、4位のアルゼンチン、マイナス34.8、チリ、マイナス19.5。対日輸出額はプラス25.2で5位。対日に関しましては後ほどまた説明いたします。
続きまして輸入です。輸入動向を主要商品別にご説明いたします。まず合計ですけれども、表の右下ですね。対前年増減比ということでは、金額でマイナス2.1、数量でプラス1.2%となっております。前年に引き続きまして、金額構成は工業製品が約8割以上を占めているという状況です。
一次産品では天然ガスが金額でマイナス15.8、数量でマイナス17.4。半製品の中でいきますと、銅版が金額でマイナス20.4、数量でマイナス12.9。工業製品の中では自動車部品が金額でマイナス21.6、数量で17.0と、この辺が大きく増減したというような状況でございます。
続きまして輸入の主要相手国です。同じように画面左側が上位10ヶ国、右側が国別の構成比を表しております。中国は輸出に続いて1位でプラス1.6%、2位も米国でプラス3.9%。一方日本はマイナス6%で9位という状況になっております。これも同じように対日貿易の中で詳細を説明させていただきます。
次が日本との貿易状況になっております。左側、輸出、これがブラジルから日本への輸出です。輸出額合計では前年比プラス19%という状況。中でも先程も申し上げましたようにトウモロコシが急激に増加しております。伸び率では2729%という状況になっております。ブラジル産トウモロコシはですね、18年から19年の収穫量が大幅に伸びております。また米国産の収穫が4年ぶりの低水準といわれるぐらい減少したこと、またやはりレアル安等の要因で輸出量が全体で大きく伸びた結果となっております。
日本でもアメリカ産の輸入は減少し、その代わりにブラジル産が増加したものと見られます。
他に輸出額の増減に目を向けていきますと、上の方から、鉄鉱石、マイナス10.3%、鶏肉、プラス13.3%、大豆、マイナス17.3、大豆かす、プラス69.7といったものが挙げられます。
一方輸入ですけれども、右側の表ですね、日本からの輸入でございます。合計で行きますと前年比マイナス6%です。増減の目立つ品目でいきますと、やはり自動車部品、マイナス25.2%。金額的にも大きな比重を占めておりますので、大きな減少になっております。あと化学品原料化合物はプラス36.8%、エンジン用部品がマイナス22.3%、といったような状況になっております。
続きましてブラジルへの直接投資についてご説明いたします。画面左側のグラフが2011年からの直接投資推移、投資額の推移ですね。19年は下期で大きく伸びまして、17年以降3年連続で前年を上回っております。
右の表は上位10ヶ国のランキングです。1位はアメリカで、前年比プラス41.2%。去年1位のオランダが2位に下がりまして、前年比でマイナス32.7%。ほかに伸び率が大きいところでいきますと、チリ、プラス268%、ケイマン諸島、プラス57.2%、英国、フランス等となっております。日本は10位でプラス74.2%という状況になっております。
続きまして、ブラジルへの投資額を業種別に示したものです。右下、全業種の合計で見ますと、前年比で6%の増となっております。増減が目立つ業種でみてみますと、一次産品の中では石油・天然ガス・採掘、これがプラスの89.1%。数字自体は小さいものですけれども、農水産業がプラス377.5%と増えております。工業品は全般的に減っていますが、自動車・トレーラー・車体がマイナス44.6、化学製品がマイナス61.4%。サービス業の中では電気・ガスがプラス99・8%、運送業がプラス167.4%という伸びを見せているようです。
次は日本からブラジルへの直接投資金額の推移を見てみます。14年以降は減少傾向にあったのですが、17年で底を打ち、18年は前年の2倍以上の回復、19年も引き続き投資額が増加しております。ブラジル経済省の発表によるレポートによりますと、第3四半期時点でのデータになるんですけれども、半分以上は工業分野での投資ということになっております。その他、金融サービス、運送業、不動産業への投資がみられます。
工業分野の中では、自動車、二輪関係。また農業関係と。そういったところについて、1年前に大きな投資を発表して話題となりましたソフトバンクの投資がこの数字に含まれているものというふうに思われます。
ここで2019年の回顧となります。このデータは、先程からも出ていてます通り、約2週間前のデータをベースにこの2019年の回顧、2020年の展望を挙げておりますので、いくつかデータのアップデートをさせていただいております。
2019年のGDP成長率ですね。先程からもいろいろ説明ありますけれども、年初は新政権による経済改革への期待があり、中銀アナリストのアンケートによれば、市場は2.51%のGDP成長率を予測していました。その後年金改革の難航など、徐々に予測値が下方修正され、8月にはプラス0.8まで下げた。その後10月の年金改革法成立から改善に向かい、今年の1月3日のアンケート時点では1.17%のプラスということだったんですけども、先日、3月2日ですね、IBGE、ブラジル地理統計院が発表したところによりますと、2019年のGDP成長率の確定値は1.1%のプラスという結果が出ております。
続きまして為替ですけれども、これも年金改革の進捗、米中関係などの影響を受けつつ、上期は1ドル=3.7レアル~4.1レアルのレンジで変動。下期になりますと、10月の年金改革法成立などのレアル高要因があったものの、米中関係の悪化などによる世界的なリスクオフ傾向でレアル安が進み、11月には1ドル=4.25レアルの水準、で足元では、コロナウィルスの影響かと思われますけども、4.6まで軟化しているというような状況になっております。
政策金利に関しましても、年初の6.5から年末の4,5、足元4.25の史上最低レベルまで切り下げております。これで打ち止めかというような情報もありましたけども、先日の米国の利下げもありましたのもあり、またさらなる利下げが予想されているというような状況でございます。
レアルが軟化してきていますのとは対照的に、主要株価指数でありますBovespa指数ですね、これ年金改正の難航といった国内要因、米中関係の悪化やアルゼンチン、チリの政情不安といった国外要因により、短期的な下落はあったものの、堅実なパフォーマンスを示し、32%上昇した11万ポイント台の史上最高値圏まで達しております。
株価と為替のパフォーマンス乖離の原因としましては、リスクオフ傾向で売り増した海外投資家に対して、ブラジル国内の投資家が財政改革の進展やブラジル中銀による利下げを受けまして、積極的にブラジル株式を買い占めたことが挙げられるのではないかと思っております。また、現在、世界的な株価下落の影響もあるかと思いますけども、10万5000ポイント台まで下がっているという状況でございます。
一方で、経済状態が悪化した隣国アルゼンチンへの輸出の減少、これがブラジル経済にも多大な影響を与えている事件だというふうに思われます。
2020年の展望でございます。ブラジル国内はですね、昨年は政府の年金改革法の成立に続き、今年は財政改革と民営化も加速されるという方針で、ファンダメンタルのさらなる改善が期待されるところかと思います。
失業率は11%。これは昨年10月-12月の3ヶ月平均ですけども、という、水準としては依然として高いものの、緩やかに改善してきておりまして、適度なインフレや史上最低水準の政策金利の下、国内は経済成長が期待できる環境にあると言えそうです。
なお、今年はですね、全国の市長、市議会議員を選出する地方選挙の年です。結果は、財政改革を含めた国政の動きが中期的に継続していくのかを占う上で重要となります。また昨年6月に政治合意に達したEUメルコスール通商協定ですが、これから正式に締結した上で加盟各国の批准手続きが必要で、実際に発効するまでには数年かかるとも言われますが、スムーズに進んでいくかにこれも要注目ということです。
またブラジルのOECD加盟に向けた動きに関しましても、中期的な成長に寄与するものいうふうに思われます。
一方で国外を見ますと、新型コロナウィルスがもたらす世界経済への影響が大きな不透明要因となっております。このほか、米中関係、米国の大統領選挙、英国のEU離脱、イランをはじめ中東情勢など、世界情勢が不透明感が高まっている状況です。アルゼンチンをはじめ、政治情勢が安定しない周辺諸国の動向も目が離せない状況となっています。
これらの状況下で、2020年GDP成長率の予想ですけれども、直近の2月末の中銀アンケートによりますと、2.17。まあ皆さんご存知のようにこれもどんどん下方修正されていっているような状況かと思います。
為替レートに関しましても、このスライド、2週間前ですが4レアル前半と予想してますけれども、すでに4.6という状況で、これに関してはちょっと何とも言えない状況で、注視していくしかないかなというふうに思います。
貿易部会としましてはですね、引き続きリスクを見極めながらビジネスを着実に成長させていきたいと思っております。
最後のページ、貿易部会のメンバー企業からのアンケートをまとめたものでございます。だいたいここら辺を網羅した内容にはなっているかと思います。
以上、貿易部会の発表を終わらせていただきます。ありがとうございます。
司会
ありがとうございました。ご質問のある方、挙手をお願いいたします。
発言者
では私から。貿易部会、メンバーは商社の方も多いと思うんですけども、いろんな議論がおありだったと思うんですけども、まあ為替だったりEPAだったりと、いろいろ議論された中で一番のトピックというか、悩みというか、これで盛り上がったという、こういった情報があれば教えていただきたいと思います。
有村副部会長
2週間前、1カ月ぐらい前でしたか、当時からコロナウィルスの影響、どうなのかというのは出ておりまして、発表までにいろいろ状況が変わっているだろうという見込みがありつつ議論した、そこが一番大きかった内容。あとは、今後のブラジル国内でいきますと、地方選挙ですね、いろいろ、税制改革いろいろ取り組んでおりますけども、やはりこの選挙の結果次第というところもある、州で市でということでいろいろ含まれておりますので、選挙の動向はやはり大きな、動向を占うことになるのかなという。
発言者
ありがとうございました。ご資料の中で、為替レートが、4前半を中心にと、こういう外れたのがすごいなと思ったところなんですけども。
有村副部会長
2週間前ですので。
発言者
たいへんありがとうございました。
機械金属部会
山田佳宏 部会長
皆さんこんにちは。ブラジル三菱重工の山田でございます。機械金属部会長を務めさせていただいております。私どもの部会は非常に多くの事業分野に携わっております。機械および金属に関連するメーカー、それから商社の方々を中心としたメンバーで構成されております。
本年時点で51社の皆さんに主要部会メンバーとして登録をしていただいております。今回のシンポジウムにあたりまして、事前に各社の状況に応じてレポートをまとめていただき、また本年2月の6日にはですね、部会を開催して、議論を行っております。レポートを提出いただいた会社の事業・製品分野を一覧にしたものが今ご覧頂いているスライドです。ご覧いだだきましてお分かりの通り、非常に分野が多岐にわたっております。インフラ全般の会社から小口の製品の会社まで非常に多いんですけれども、いずれもブラジルの製造業を足元から支える役割を担っておられる会社です。それでは内容について発表させていただきます。
発表の構成としましては、まず当部会の事業環境に関係するマクロの指標を説明させていただきます。続きましてセグメントごとに、鉄鋼以下、6つのセグメントの状況を説明させていただきます。基本的には昨年8月のシンポジウムと同じまとめをしております。最後に副題であります、ビジネス環境改善に期待、いま為すべきことということで、部会メンバーの意見を紹介させていただきます。
それではマクロ指標ということで、最初はブラジルの工業生産の状況をグラフにまとめたものです。これはブラジル地理統計院の資料でございます。2016年から2019年までの状況を示しておりまして、2019年の前半までは、前回ご説明した通りですね。
2019年の後半の市況を見ますと、基本的には対前年比でマイナス基調でありまして、鉱工業生産は増加傾向には転じていません。しかしながら、当部会の所属企業の景況感は昨年の後半から若干改善しております。この点は後ほど申し上げます。
次は土木建設指数を示したグラフです。これもブラジル地理統計院の資料でございます。2012年を100としてその後の推移を線で示しております。上のグラフが月別の指数なんですけども、非常に季節ごとのサイクルがあって、傾向が読み取りにくいという、これは毎回のことなんですけれども、一応2019年の後半の状況を見ますと、若干上向き加減になっているのかなという感じもしなくはないんですけれども、ちょっと分かりにくいので、下の方でですね、これ1年単位に指数を合計してみますと、何となく緩やかにですね、2017年から回復傾向にあるのかなというふうに見て取れると思います。
それではここからセグメント別の状況をご説明させていただきます。最初が鉄鋼でございます。ブラジル鉄鋼協会がまとめている数字を使っております。
まず左上のグラフです。これが2015年から2019年までの年間の粗鋼生産の推移を示しております。この右側に、ちょっと数字が小さくて恐縮ですけども、2019年の粗鋼生産、それから国内販売、輸出の前年との対比を示しております。これを基に状況についてご説明いたします。
まず左側の粗鋼生産量ですけども、ご覧頂いて分かります通り、2016年に底を打った後にですね、2018年までは対前年で増加をいたしました。しかしながら2019年の粗鋼生産量は、去年の初めの鉱滓ダムの決壊以降にですね、鉄鉱石の供給が不安定になったこと、その他の事情で、対前年比でマイナス4%というふうになっております。
次に国内需要ですけれども、内需を示します国内の鋼材見掛消費量、これは粗鋼生産に輸入を加えて輸出を差し引いたものですが、この鋼材見掛消費量は年初の見通しは前年比プラス9%だったんですけれども、それを大幅に下回る対前年比マイナス2.7%となりました。これは国内系税の不振が主な要因であります。
また輸出は対前年比でマイナス8.1%の減少となっております。これは世界経済の停滞、それから国際市場の大幅下落等の中で、中南米それからEU向けが大きく減少したためでございます。
2020年の展望ですけれども、ブラジル鉄鋼協会は2020年の粗鋼生産見通しを対前年比でプラス5.3%、それから鋼材の見掛消費量の見通しをプラス5.2%というふうに発表しております。これはブラジルのGDP成長率の見通しの改善、それから金利、インフレ等の安定化を背景としております。
一方で、米中貿易問題の今後の行く末ですとか、新型コロナウィルスがブラジル、南米経済に与える影響も注視する必要があるというふうに見ております。
続いて電力です。こちらはエネルギー研究公社の資料であります。左側の棒グラフが2012年から昨年までの電力消費量の推移、それからこちら側のグラフが2018年と19年のそれぞれの電力消費の用途別の内訳を示しております。これを見ますと、ブラジルの電力消費の最近のピークは、2010年、そして2018年にはそれと同レベルまで回復しております。2019年は2018年の実績をさらに上回っております。ただ、これはですね、電力消費量全体の話でありまして、この右側の内訳を見ていただきますと、住宅用と商業用の需要の増加が全体の伸びを引っ張った形になっておりまして、産業用は対前年を下回っております。
このような中で、電力のオークションは風力、太陽光の影響であいかわらずの安値となっております。
続きまして2020年の展望ですけれども、当部会の関連企業が関係しますバイオマス関連の動きは引き続き低調というふうに見込まれています。このため既存プラントのアフターサービスの拡大に注力しておられます。
次に建設機械に関してであります。これは先程の建設指数と同様にですね、まず左側に建設機械の生産実績を月別に示しております。建設機械の生産はこれを見ていただいてお分かりの通り、月別の変動が激しいので、先程と同様にですね、月別の指数を一年間合計したものを右に示しました。これを見ますとですね、2017年以降生産は回復傾向にあるいうふうに見て取れると思います。
このような中で、2019年の建設機械の国内販売は対前年比28%、1万300台と、年初の予想の3%を大きく上回っております。これは建設関連の需要が底堅い回復を示したこと、それからレンタル向けが好調であったことや、官公需向けの減少がわずかであったということであります。
輸出ですけれども、アルゼンチン向けが低調であった一方ですね、アメリカ向けやフィンランド向けの出荷が下期に急増しまして、通年では対前年比プラス2%、9600台というふうになりました。
2020年ですが、国内需要は年金改革等による景気回復期待感の向上と、ブラジル史上最低の金利水準等によりまして、10%程度の伸びというふうに見込まれております。
輸出は、米中貿易問題の進展はありましたものの、引き続き動向を緊密に注視する必要があるというふうに考えます。
続きまして、自動車産業に関連するセグメントについてご説明いたします。資料としましては、左上に自動車生産協会がまとめた自動車生産台数、その右にですね、自動車の新車登録、輸出、生産の2019年と2018年との対比を示しております。詳細は自動車部会の発表にゆだねますけれども、右側の棒グラフから読み取れますのは、前年同期比で、真ん中の輸出が、これ率にして30%以上落ち込んでおりますが、それにもかかわらず2019年の生産は対前年比で増加しております。これに伴って、左側のグラフですけれども、自動車生産台数は2016年以降増加が続いているということです。
以上申しました自動車生産の動向を背景に、まず切削工具について申し上げます。2019年は主力ユーザーである自動車産業や農業機械の動向を反映しまして、国内向けは比較的順調でありました。一方、アルゼンチンほか、南米他国向けは大きく落ち込んでおります。
2020年ですが、米中貿易問題や新型コロナウィルス等の懸念はありますものの、自動車、トラック、建機、農機向けの案件をフォローして参りたいということです。
次は回転機械において重要な部品となりますベアリングですけれども、2019年は自動車向けはアルゼンチン向け輸出の落ち込みにより年初見通しには到達いたしませんでした。一方、二輪向けは堅調。それから一般産業機械向けは下期の需要が盛り上がらずに終了いたしました。
2020年は、二輪向けは引き続き堅調でありますものの、自動車向けは期待薄です。一般産業向けは、期待値は高いんですけれども、ポジティブな数値にはなっていないという状況でございます。
次にドライブシャフトですけれども、2019年はアルゼンチン向け自動車輸出の落ち込みや、一部モデル切替による需要減の影響で前年を下回りました。
2020年はアルゼンチン向けの低迷はありますものの、新規モデルの需要増等で増加を計画をしております。
次に潤滑油ですけれども、2019年は自動車・フォークリフト向けの初期充填油の増加はありましたものの、対アルゼンチン向けや主要需要家の使用量の削減に伴いまして、対前年比で微減となりました。2020年は大型新規案件の獲得による売上増加を目指しております。
最後に、金属加工用の油剤ですけれども、2019年は新車生産がわずかに増加したことに伴いまして、販売数量の増加をもくろんでおりましたが、期待倒れに終わっております。これは客先におけます消費財の使用量削減、それからコストダウンの影響と思われます。2020年は、自動車生産の増加は見こまれますものの、見通しは不透明であります。
続きまして農業・産業機械セグメントについてご説明いたします。これもこれまでと同様にですね、上の方にブラジル地理統計院が発表しました関連する機械の生産動向、つまりエンジン、汎用機械、農業・家畜用トラクター、それから工作機械の資料を準備しました。これもちょっと月別の変動が激しいので、これまでの指標と同様にですね、1年間の指数を合計したグラフをこの下の方に示しております。この下の方の年間の合計の指数のグラフをご覧いただきますと、まず全体的な話としては、2018年には一旦回復傾向に入ったものの、2019年に入ってからは陰りが見られるという傾向が見て取れると思います。ただし汎用機械については2019年に入ってから回復傾向にあります。
これを参考にしていただきながら、当部会のメンバーが実際のビジネスを通じて感じております点を中心に状況をご説明申し上げます。
まず小型のディーゼルエンジンですけれども、2019年は日本製の多気筒と発電機セットの販売は回復しましたけれども、横型の単気筒が大きく落ち込みまして、対前年比で台数減、まあ金額は増えたということになりました。
2020年は日本製の多気筒は拡大が予想されますけれども、20馬力以下の単気筒エンジンは市場自体の縮小と安価な中国製の影響で低迷が続く見込みということでございます。このため、会員企業におきましては、58年間継続してきました単気筒のブラジルの国内製造を中止し、インドネシア製に全面切り替えをしております。
次にトラクターですけれども、2019年はBNDESの農業向け低利融資が停止状態となったことによりまして、低迷しました。2020年もBNDES融資の改善は見込めませんが、農作物の収穫が良好なことに伴い、対前年比で増加を期待しております。
次にポンプです。2019年は前半は前年並みでありましたけれども、8月以降受注・売上ともに増加に転じ、年末にかけて拡大しました。これは会員会社におきまして、水中ポンプと陸上ポンプの販売を2018年に統合した成果が表れているというふうに認識しております。2020年は一部不透明感はありますものの、昨年後半からの回復基調の継続を期待しております。
次にレーザー切断機ですけれども、こちらにつきましては低価格の中国製機械との差別化を図るべく取り組んでおります。
最後に油圧機器・マシニングセンターですけれども、2019年はレアル安による買い控えの中、補用品の獲得に努めております。2020年は特に油圧機器の更新需要に期待したいというふうに考えています。
最後に石油・ガス、紙パルプその他産業関連セグメントの状況をご説明いたします。資料としましては、ブラジル地理統計院の石油製品の生産実績を、これも2012年を100とした数字を示しておりまして、右側に年間実績を示しております。それから下の段にはブラジル紙パルプ産業協会が発表しております紙パルプの生産動向を示しております。
まず石油製品ですけれども、この二つのグラフを見ていただきますと、2019年には回復傾向にあるということがお分かりいただけると思います。次に下の方の紙パルプの生産実績ですけれども、パルプの需要の拡大によりまして、2014年からですね、ほぼ一貫して対前年比から増加する傾向にございましたけれども、2019年に入ってからは生産・輸出とも対前年比でマイナスとなっています。
この資料を作成した時点では、2019年は1月から9月までの実績しかありませんでしたが、その後発表された内容によりますと、2019年は2018年に対してマイナスの6.5%というふうになったというふうに認識しております。
当部会の会員企業はこれらの石油・ガス、紙パルプ産業、それから先程ご説明しました鉄鋼産業の生産設備において使用される製品を扱っておりまして、先程のスライドで申し上げましたこれらの産業を前提にですね、関連分野の状況をご説明いたします。
まず上のボイラですけれども、ただ今申し上げました通り2018年まで順調に拡大してきましたパルプ生産が2019年は対前年比でマイナスとなりましたけれども、ボイラおよびEP、電気集塵機の更新が予定されておりまして、これらの受注を目指してまいります。
次にプラント・工場用制御システム・機器ですけれども、2019年は鉄鋼メーカーの保全投資の回復、それから石油・ガス上流分野の新規設備投資、それから同じくパルプ産業におけます生産拡大投資、それからアルゼンチンにおけますシェールガス井戸開発投資等にともないまして、受注も堅調でした。2020年も同様の傾向を期待したいというふうに考えています。
最後に移動式クレーンですが、2019年はクレーンの需要に回復傾向が見られました。2020年についても、製紙業界、マイニング、エネルギー、石油・ガス業界設備投資の動向を注視して参ります。
以上、当部会を取り巻く環境につきまして、2019年を振り返り、また2020年を展望いたしました。最後に、ビジネス環境改善に期待、いま為すべきことという副題に対する部会メンバーの見方を紹介させていただきます。会員企業の皆様からご提出いただいた内容を部会長としてまとめさせていただいたものです。
まず、私ども機械金属部会の会員企業にとりまして、ブラジルのビジネス環境が数年の間に改善するということは、まああまり期待できない、見通せないということでございます。
それから、アルゼンチンをはじめとする南米他国の経済状況ですとか、米忠貿易問題、それから新型コロナウィルス、これらの影響を受けます為替動向などなどですね、不安要素は常に存在いたします。
従いまして、現在のビジネス環境の中で、各製品・サービスに見合った事業形態、これはブラジルを含む南米での生産するとか、日本ほかからの製品輸入するとか、そういうビジネス環境に見合った事業形態を常に模索するというのが当部会の関係企業のスタンスでございます。
若干補足させていただきます。ただ今スライドでご説明しました通り、いくつかの業界では2020年に関して拡大基調の見通しが示されておりまして、それを実感している会員企業があるということは事実であります。あとボルソナロ政権に対する信頼度がある程度高まって、年金改革に続く税制改革や民営化、外資導入の推進といった動きを期待する意見もあります。しかしながら、過去を振り返りますと、年初の希望通りには必ずしもなっていないということ、さらにはビジネス環境の改善にはある程度の時間を要するといった点を加味して、ただ今申し上げたような副題の取りまとめとさせていただきます。
以上で説明を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。
司会
ありがとうございました。時間ちょうどということでございますけども、ご質問のある方、挙手をいただければと思います。いかがでしょうか。
機械金属部会ということで、今までの貿易、金融とは変わってモノの動きに直結するような産業だと思うんですけども、最近のコロナでサプライチェーンに対する不安というのは言われているとおもんですが、何かそういう形で、差し支えないところで。
山田部会長
さきほど貿易部会の資料にもございました通り、ブラジルと中国の貿易、輸出入の割合が大きいということで、既に一部の新聞で、確か電気電子工業会様で、ブラジルからの半製品の輸入が滞りがちという記事を最近目にしましたけども、一部ですけれども機械金属部会の会員会社においても一部の納期の遅れるという話を受けているという情報は。ただ、まあ現時点で実際に起きてないか確認はしていませんけど、今日時点でじゃあそれで生産に支障が出るかというと、まだそこまでの状況ではないと。
司会
はい。ありがとうございました。では他にご質問ないようでしたら。どうもありがとうございました。
自動車部会
佐藤修 部会長代理
あらためまして皆さんこんにちは。自動車部会の佐藤と申します。本年度から、トヨタ様から引き継ぎまして、ホンダの方で幹事会社をさせていただいております。本来であれば、部会長のロベルト・アキヤマという者が参加する予定でしたが、あいにく都合がつきませんので私の方から代理でご報告させていただきたいと思います。
本日のアジェンダはご覧のようになっております。まず2019年の振り返りであります。四輪になります。
こちらは新車のマーケット、2001年から推移をグラフで表したものでございます。2019年の実績は対前年比108.6%、279万台という台数でタッチしております。ご覧の通りですね、3年連続で前年を上回っておりまして、堅調に推移した年でありました。
一方、下段の方にあります黄色いグラフですが、こちらは輸入車の比率を示したものでございます。全体のマーケットの中で10%強が輸入車ということで、対前年で比べますと微減傾向ということでございます。背景にはブラジル・レアルの通貨安がございます。
こちら、3年連続で増加傾向とありますが、2012年に380万台マーケットまで伸びた市場ですので、今はまだ回復途上という認識でおります。
続きまして、昨年の月別の販売台数を推移で表したものです。前半でですね、稼いだ貯金がありまして、対前年比大きく上回りました。8月、10月に前年比を割る月がありましたが、前半の貯金に支えられまして、対前年を上回ることができました。
昨年のマーケットで特徴的なところは、ダイレクトセールスの比率が歴史的に高い水準で推移したということでございます。全体マーケットの46%がダイレクトセールスによるものです。このダイレクトセールスというのは、法人・個人事業主様向けの販売、あるいはハンディキャップをお持ちのお客様向けの販売でございます。こちらが少し販売の質を変えているというのがマーケットの特徴でございます。
続きまして昨年の生産台数の推移でございます。生産台数も販売と相似形をしております。2019年、生産台数は294万台、対前年比103%となっております。下段にあります輸出でございますが、対前年比68%と低調に終わっております。背景には隣国のアルゼンチンの市場縮小を受けた落ち込みということがございます。
続きまして中古の台数を見たマーケットの推移でございます。薄いブルーの棒グラフが中古のマーケットでございます。2019年、対前年比、新車同様ですが、102%で伸び堅調に推移しております。新車市場とあわせると1360万台マーケットまで伸びております。
続きましてブランド別のシェアでございます。向かって右側に見えますのがトップ10のブランドでございます。日系ブランドは黄色で示しております。トヨタさんにつきましては7位から6位に伸びております。背景にございますのは、新しくヤリス、カローラといった主力新型車効果によりランクを挙げております。
一方向かって左側の方でございますが、2011年からの推移を表したものです。ブラジルのマーケットのトップ3のブランド、GM、フォルクスワーゲン、FIATが高いシェアを占めております。2016年、17年までシェアを落としておりましたが、今は回復途上にございます。
中でも昨年好調だったのがフォルクスワーゲンでございます。新型車のSUV、T-Crossの販売効果によるものです。また、ランキングの中で一番下の方にありますJeepというブランドですが、2014年から本格参入してまいりましたが、先程申し上げたダイレクトセールスのところのマーケットへの戦略的な投資でシェアをアップしています。
続きまして2020年の予測でございます。こちらがマーケット予測になります。トラック・バスを含めまして総合計で言いますと、自動車部会としますと対前年比6%増の296万台を見ております。輸出につきましては前年比減。生産台数については微増というレベルを見こんでおります。
参考まででございますが、1月発表の自動車工業会、ANFAVEAの数字は、新車マーケットで言いますと対前年比9%ということですので、ANFAVEAよりも少し控えめな数字を予測しております。ただしこちらにつきましても、コロナウィルスの影響を一切含んでおりませんので、少し下ぶれ懸念が危惧される状況でございます。
続きまして長期展望でございます。自動車業界のスペシフィックなテーマとしまして、上段の3つ、自動車政策のRota2030への対応、排ガス規制Proconveへの対応、またモビリティサービスへの対応とがございます。
また、下2つにつきましては、各社さん、各部会とも一緒だと思いますが、EPA、日メルコスール間の早期締結、税体系の簡素化。こちらに関しては長期的観点からの重要なテーマであります。
本日につきましてはこの2点について簡単にご説明を申し上げます。
1点目、Proconveでございます。こちらにつきましては、自動車の大気汚染防止プログラムでございます。2018年末に環境省直下のもとで採択されたものでございまして、内容といたしますと、2022年、25年以降に排ガス規制を強化するという内容でございます。
具体的な事例で言いますと、大気中に排出されるガソリンの蒸気を車体内で回収し燃料に再利用する装置の装着、あるいは燃料漏れの事故検知装置を義務付けるものでございます。
下段にありますスケジュール通りでございますが、2022年、25年と、短期間の間に強化をしていくというのが骨子でございます。どの程度ハードルが高い規制かと言いますと、グローバルで見た時のヨーロッパの高い排出ガスの基準であるEuro6を上回る基準でございます。ご覧の通り、2022年、25年、それ以降段階的な規制値を見ますと厳しさがご理解いただけるかと思います。
また先程申し上げましたORVRという装置の装着に伴う車の変更が必要になります。部分的な回収のみならず、大規模な車体変更が必要になります。エンジンコントロールユニットの適正化、あるいはORVRの装置の着用、またFuel Tankあるいはガスノズルの形状の変更等々を加えて、大きな投資あるいはそれに伴う開発が発生することが課題となっております。
続きまして、モビリティサービス、CASEということでございます。こちらはブラジルのみならずグローバルで環境変化が起きております。自動車につきましては100年に一度の大変革期ということで、コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化という領域で変化が起きております。今までの自動車製造業のプレーヤーのみならず、様々なプレーヤーが新規参入し、異業種の提携が進んでおります。こちらは世界的な潮流としてのCASEへの対応が必須となっております。
ブラジルに目を向けますと、シェアリングの領域につきましてはUberあるいはifoodといったところでのサービスが出てきております。また、ご覧のような電動スクーター、レンタルバイクみたいなところも出てきております。
一方で電動化という領域ですが、こちらにつきましては電気自動車、ハイブリッドでございます。まだまだ全体マーケットの1%に満たない小さなマーケットでございますが、兆しとしますと伸長しているのがご覧の通りお分かりいただけるかと思います。こちらへの対応が必要となります。
一つの事例でございますが、トヨタさんの方で昨年9月からトヨタ・モビリティサービスというサービスを展開しております。個人向けのレンタカーサービスでトヨタ・レクサスの全ラインナップを提供できるというサービスです。アプリベースで予約ができ、ディーラー様と連動しているというのが強みでございます。
続きまして日系ブランドの対応のサマリーとなります。先程申し上げました5点のところでお話しをいたします。
まず1点目、自動車政策Rota2030への対応でございますが、こちらにつきましては将来の税恩典を最大限活用すべく、運用ルールの細則を注視しながら進めてまいります。
Proconveにつきましては、現実に即したものになるべく政府当局への理解活動を継続して参ります。
CASEにつきましては、シェアリング、電動化、コネクティッド等の分野への展開をはかり新たな価値をお客様に提供していきたいというふうに考えております。
税体系の簡素化につきましては、新政権が掲げる複雑な税制の簡素化への後押しをするスタンスでおります。
日メルコスールEPAにつきましても、引き続き政府に働きかけを継続してまいりたいというスタンスでおります。
総括になります。上段、2019年のマーケットは先程申し上げた通りでございます。下段はそれに向けた対応になります。先程申し上げた中で、なかったことでございますが、一点目の長期的視点に立ち為替変化に強い事業体質づくりを継続ということは、ここ数年来言っていることだと思いますが、こちらは重要な観点になるかと思います。部品の現地調達化、生産性向上などによるコスト低減、あるいはブラジルからの輸出促進をはかるという地道な活動が必要になります。
最後になりますが、二輪、バイクのマーケットの昨年のおさらいになります。
こちらはバイクのマーケット、生産、輸出、卸について2001年から振り返ったものになります。生産につきましては2年連続で増え、販売につきましても2年連続で増えております。
販売実績でいいますと108万台ということで、対前年比113%ということで、クレジットの販売増が寄与し、堅調に推移した年となりました。
輸出につきましては対前年比57%ということで、自動車同様アルゼンチンの低迷によりまして前年比大幅減となっております。
こちらは販売について月別に見たものでございます。ピンクのラインが対前年比となりますが、毎月対前年超えということで安定した推移を見せました。
最後のスライドになります。こちらは二輪の支払い形態別の販売比率でございます。クレジットでお買い求めになるお客様は全体の40%、現金でお買い求めのお客様は33%、真ん中はコンソルシオになっています。
クレジットにつきましては歴史的な低金利と銀行の融資拡大によりまして、市場拡大を下支えしており、2020年もその流れが継続できることを期待しております。
以上です。ありがとうございました。
司会
ありがとうございました。それではご質問のある方挙手をいただけますでしょうか。お願いします。
発言者
先程のお話にもありましたけど、特に二輪の方が深刻かなと考えているんですけども、マナウスでですね、中国から部品不足、今後数カ月起こって来るんじゃないかというような報道がありまして、それについて特にメーカ-さんとしましてはですね、現状どういうふうに対応しているのか、お伺いしたいんですけど。
佐藤部会長代理
いまだ顕在化したところはないんですが、一般論としてとらえますと、やはり二輪でも四輪でもグローバルでプロジェクトを進めますので、対応が必要になります。ただし、中国から地理的に離れているということもありますので、洋上を含めました在庫に少し余力があるというところがあるかと思います。ただこれが長引くことによって、やはりサプライチェーンの寸断ということが危惧されますので、こちらにつきましては動向を注視しながらしていくという感じであります。あとマナウスでの二輪につきましては、かなりの部分は現地調達しておりますので、少し耐性はあるのかなというふうには、一般的ですが、思います。各社様によりまして在庫の薄い重いがありますので一概には言えませんが、今のところはそういうところだと思います。
司会
よろしいですか。ありがとうございました。
発言者
排ガス規制のところですけれども、まあ政府に働きかけをされていると、こういうところで、これは日系企業、日系メーカーさん以外のところもまとまってやっておられるのかという点が一つ。それから政府の対応、聞く耳を持っているのかどうかというこの辺りが二つ目。それから三つ目は、いわゆる投資をしていかなければいけないんだと思うんですけども、先延ばしを交渉されているのか、レベルをもう少し元に戻してほしいという交渉をされているのか、このあたり教えていただければと思います。
佐藤部会長
1点目の質問につきましては、業界全体として一枚岩になっておりますので、陳情する内容はANFAVEA、そしてどういうふうな内容でやっているというふうに聞いております。それで、政府の対応ですが、まあ聞く耳は持ってくださるんですが、すでにリリースされている内容ですので、それを撤回、あるいは変更とかするにはそれなりの手続き、あるいは代替案みたいなところが必要だというふうにおっしゃられているようなので、そこもまだディスカッションを深めていくということになったというふうに聞いています。撤回か延期かというところもそのディスカッションの中でなってくるところですけど、もちろんORVRについては撤回が望ましいんですが、それは今後ディスカッションしていくと。
質問者
ありがとうございました。
司会
はい、ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。ありがとうございました。一点だけ、今まであまり議論が出ていなかったところで言いますと、まず先程プレゼンテーションの中で触れていただきましたけど、アルゼンチンで落ちていますということなんですけども、アルゼンチンですとか他のラ米に対するですね、輸出といいますか、そのあたりの見通し、お考えみたいなものをもし教えていただければありがたいですが、いかがでしょうか。
佐藤部会長代理
これだけレアル安が続きますと、やはり為替がどちらに転んでもいいようにリスクヘッジする姿勢が必要かなというふうに思っていますので、そういった考えのもとに輸出は必要というふうに考えて各社様は企業努力はしているというふうに思います。地域につきましても、アルゼンチンのみならず、中南米を面で捉えながら、輸出を視野に入れているという企業さんがほとんどかなというふうに思います。やはり、ブラジルコスト、高い労務費、あるいはエネルギーの価格等々が足かせになりまして、他の供給ソースからの競争力という観点で言うと、正直申し上げますと、もう少し税務改革を含め必要なのかなというふうには思っております。常にジレンマにはなるんですが、
司会
ありがとうございました。いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、たいへんありがとうございました。これにて自動車部会様らの発表を終了いたします。
コンサルタント部会
吉田幸司 部会長
前半の最後というところでお疲れだなと思いますので、何とか時間通りに終わるようにしたいと思いますので、最後までお付き合いいただければというように思います。私コンサルタント部会の
部長をさせていただいています吉田と申します。よろしくお願いいたします。
コンサルタント部会ですので、いろいろ、皆さん事業等のお役に立てるようなことをお話しできればというところでコンサルタント部会の中で、副題の「ビジネス環境改善に期待、いま為すべき
こと」というところにつながる何か情報提供できればなということを部会の中で話させていただきました。その話をする前にですね、まずは経済環境を押さえておかないといけないということで、
経済環境についてこちらにまとめさせていただいておりますが、他の部会の方でもすでにお話しがでているかと思いますので、そこは割愛しながらですね、少し経済環境についておさらいさせてい
ただければというふうに思います。
二つ目のボルソナロ大統領の様々な施策というところが、ここは多分、コンサルタント部会として皆さんにお話しさせていただくのが皆さんの事業につながるかなと思っておりますので、もう少
し細かい話は後ほどお話しさせていただければというふうに思います。
あとですね、4つ目、M&A件数が1999年以降最高数ということで、この過去20年間の間の推移を見ていきますと、KPMGの調査なんですけども、2019年度が1231件ということで、過去最高のM&Aの件数
だったということで、2019年度を見ると経済は動いているというのがここで言えるのかなというふうに思います。特に皆さんご存知だと思いますが、ソフトバンクさんの投資が非常に大きかったと
いうことが言えるかと思います。
一方で他の国の方に目を向けていきますと、上から6つ目のところですね、他の国というか世界全体でなんですけども、皆さんも意識されているし、既に感じられているかと思うんですけども、異
常気象ですね。特にフランスで今年、熱波もありましたし、日本でも異常気象ということで、今年は非常に暖冬になっている。
ブラジルにおいても、いまかなり雨が多いし、なぜか夏なのに非常に寒いと。これも、異常気象なのか、これが慢性的になるのか、というところだと思いますけども、この異常気象に対しての各
企業さんの取り組みというものは非常に注目されているのではないかということで、これについても後ほど、もう少しお話しさせていただければというふうに思います。
あと、アメリカの状況というところが非常に気になるところかなというところで挙げさせていただいております。アメリカの方で株価が非常に、まあ利下げの部分もありますね、非常に上がって
きていたと。実際、最高値にいったり、最近は乱高下しているかと思うんですけども、その中で何か特徴的なものはあるかなと見た時にですね、1社、私の方で気になったところが、テスラですね。
電気自動車、環境にもつながるんですが、テスラの株を見ると、過去最高の970ドルまで行きました。時価総額にして1000億ドル。これはフォルクスワーゲンを抜いて自動車業界の中で世界第2の時
価総額ということで、非常に、環境につながるテスラというところは注目されているのかなというふうに感じたところになります。
あと、今までも話をさせていただいていますが、スタートアップ企業というところで、皆さんご存知の通りUBERとかLyftという会社が昨年上場してきました。ただこの上場が非常に期待外れで、
UBERがずっと赤字を垂れ流しているということで、この影響を受けてかどうか分からないんですが、宿泊サイトのAirbnbは上場を延期しております。
また、UWORKですね、UWORKも上場すると言われながら、期待倒れになって、SOFTBANKの子会社になったというところで、一時期スタートアップ企業というものは、非常に注目されながら、今では
どちらかというと利益重視というようなことが言えるんじゃないかというふうに言えると思います。
あとアメリカの政治動向というところで、今年大統領選挙がありますと。で、今週ですね、スーパーチューズデーというところで、民主党の候補者として今サンダース議員が非常に人気が上がっ
てきている。サンダース議員の人気が上がるとトランプの勝率が上がってくるというふうに言われておりますので、このまま行くとトランプの方が有利じゃないかというのがアメリカの中で言われ
ている状況かなというふうに思います。ただ実際、これからまだまだ続きますので、最後まで予断を許さないというふうに思います。
あと、Brexitの決定というところで、特にここがブラジルに対して大きな影響があるという雰囲気ではないんですけども、これを受けて、元々一つ言われているのは、FTAをEUと結んでいた国につ
いてはイギリスと結びなおさないといけないということで、影響があるというふうに言われているところになるかと思います。
あと最後のところですね、各部会いろいろと話が上がっていますけども、コロナウィルスの影響というところで調べてみました。そうすると、3月2日にOECDが世界全体の成長率を発表しているん
ですけども、元々は2.9%と言っていたのが、3月までにコロナウィルスの影響が収束するとみた場合でも2.4%。収束しなかった場合には1.5%になるというふうに見られております。
特に日本の企業に関しては、2月末までに337社がコロナウィルスの何かしらの影響を受けているというのを発表している。ただこのうち195社は影響が分からない、63社がマイナス影響があるとい
うことで。ブラジルについてですけども、いろいろニュースを見てみましたが、見つけたのはLGが10日間工場を停止するというふうに発表しているということで、今のところ部会の話の中では日系
企業さんが工場をストップするという話はなかったかと思うんですけども、韓国企業はすでにコロナの影響を受けているというふうに言えるかと思います。
今までが経済環境というところでして、すみません、いきなり5Gと出てきたんですけども、これを入れたのはですね、アメリカの動向を見た時に、皆さんご存知だと思うんですけども、Sprintと
T-Mobileがアメリカで合併したら、アメリカで5Gがすごい促進すると。この二つの合併の2年前の条件で、合併したら3年以内に5Gの利用可能地帯を全米全体の97%にするというのが条件でして、こ
れ合併するとアメリカにおいて5Gが進むだろうと。そうするとブラジルも当然ながら進めていかないといけないということで、ブラジルにおいては5Gに対してどういう状況かなと調べてみたんです
けども、5Gについては電気情報通信部会さんの方でも話が出るかと思いますので、ちょっとここについては割愛させていただければというふうに思います。
ちょっと飛びまして、気候変動リスクですね。先程言いましたけども、気候変動リスクについてはどの企業さんもまさに待ったなしの状況になっているんじゃないかなと言うふうに思います。実
際この気候変動リスクですね、いろいろ調べていきますと、2015年にパリ協定が採択されました。これについては185カ国が批准しております。内容としては、産業革命以降の平均気温の上昇を2℃
以内にするというところを目標を立てています。できれば1.5℃未満というのが抑制目標なんですけども、2018年10月にIPCCが1.5℃の特別報告を発表しました。
ところが、アメリカがトランプ大統領になって、アメリカが離脱を表明したりとかですね、特にこの間のCOP25においては中国、インドが反対したりとか、大国の足並みがそろっていないという中
で、2020年1月のダボス会議では、今年の1月ですけども、その時においてはやはりこれが最重要課題というふうに挙げられているところかと思います。
COP25で言われているところの、どのような目標が立てられているのかというところなんですけども、日本においては2030年度までに2013年度比で26%削減すると。ただこちらの目標については、
Highly Insufficientと言われる、全く足りないという評価になっている。一方でブラジルですね。ブラジルにおきましては、2025年度までに2005年度比で37%削減。2030年度までにできればは43%
まで削減する。ただこれについても、このパリ協定で言っている2℃未満まで抑制するというところについてはInsufficient、足らないというふうに言われております。
ブラジルの状況ですね、一つ見ていきますと、下から二つ目なんですけども、ブラジルがこのパリ協定を重視しようとしたときなんですけども、かなりアマゾンの伐採が非常に大きな影響だとい
うことで、2004年度以降アマゾンの伐採についてかなりストップさせているというふうな動きが非常に貢献してまして、実際状況としては、2015年時点で2025年度の削減目標と同じ値だったと。か
なりブラジルとしてはがんばっているというところではあったんですけども、昨年度ありましたアマゾンの火災とですね、あとボルソナロ大統領なんですけど、環境予算を削減するというふうに言
われておりますので、このような中で本当にブラジルが挙げている2005年比で37%削減が達成できるのかどうかというところについては危険信号がともっているというふうに言われているところに
なります。
あと、このガス排出量の削減をするのに大きな効果があると言われているところの一つとして、一番下に挙げているんですけども、炭素税、これ各国入れる事でかなり大きな貢献をしているとい
うふうに言われております。一説によると、私聞いた話でこれ本当かどうか分からないんですけども、一説によるとブラジルもこれ入れろという話があったらしいんですけども、それでなくて
Rodidioにしたと。Rodidioだけにしたら、逆にRodidioだけにしたことによって、これ車が売れるだけであって何の影響もなかったというふうに言われているところみたいですので、結果として車は
売れたので自動車会社さんは良かったかもしれないんですが、環境に対してはあまり影響がなかったと言われているところです。ただ、この炭素税の導入は世界各国で非常に検討されているという
ところになります。
ちょっと話が飛ぶような感じになるんですけども、このような中でですね、気候変動リスクについて各企業さんが正しく理解して、正しく解決していくことが大事だというふうに言われていると
ころになります。
これはですね、かなりさかのぼるんですけども、2008年ですね、リーマンショックが起きた時に株価の下落が未曾有の値になっていたと。いったいどこまで下がるのか分からない。このリーマン
ショックによってかなり金融市場に不安定が起きたと。将来分からない不安があると、非常に大きな金融市場に影響を与える。ということであれば、この気候変動リスクでも将来は、今も実は起き
ているんですけども、どれだけ企業に対して広がるか分からないとなってくると、株価が非常に落ちてくるリスクがあるということで、この金融市場を安定化させるために、企業としてしっかりこ
れを開示して、どういうふうにして企業が取り組んでいくかというのを見せる事によって投資家をある程度安心させましょうという動きの中で、こちらのTCFDですね、Task Force on Climate-
related Financial Disclosureというところを設置して、この内容について開示していきましょうという動きがあります。実際に日本の企業さん、2月末で248社が賛同しておりますし、ブラジルに
おいては少ないですけどまだ20社、これ実はペトロブラス入っていないんですけど、ペトロブラスはこれに関連した情報は開示するということは宣言しているところであります。
日本企業さんについては、2020年3月期ですね、この末からですね、これについて開示していくというところですので、開示情報においても、こういう気候変動については今後皆さんが目で見られ
るようになる。実際すでにKirinさんとかは環境報告書を出されたりとかですね、有価証券報告書の中で、味の素さんとかですね、すでに出しているところあるんですけども、そういう内容をさらに
充実して出していこうというような動きになっているというところになります。
特に気候変動リスクというところについては、皆さんも感じているとは思うんですけども、大きく二つ分かれています。物理的リスクと移行リスク。物理的リスクというのは、実際気候が上がる
ことによって、例えば少し前のタイの洪水とか、ブラジルも数週間あまり川が氾濫して洪水になったら、それによって企業がダメージを受けますねとかあると思うんですけども、そういうふうな異
常気象による影響ですね。特にこれについてですね、いろいろ調べていきますと、特に保険業界さんが非常に大きな影響を受けているんじゃないかないうふうに言えるかと思います。
実際ですね、日本ですけども、2018年度にこの災害によって払った保険料というのが1兆5095億ということで、その前の最大の金額が2004年の7449億ということでしたので、いきなり3倍近くです
ね、保険料の支払いが増えたと。2018年度ですので、2019年度はもっと増えているんじゃないかというふうに思いますので、どんどんこの気候変動リスクが大きくなっていくというふうに言えるか
と思います。
移行リスクは、先程言った、結局そういう気候変動を抑えて行こうと、どんどん法律が変わっていく、商品ももっともっとですね、エコのものに移っていく、実際自動車業界さんは政府から排ガ
ス規制で非常に厳しく課せられていると思いますので、まさにこの移行リスクというのは感じられているのかもしれませんけども、今後気候変動リスクが高まり続けていくと、規制がさらに増えて
いって、それによって各企業さんに対して影響が出てくるというふうに言えるんじゃないかと。実際それに対して対応していくことが企業さんにとってのビジネスチャンスとも言えるかと思います
ので、こういう話を今後もっと敏感に感じ取りながら、対応することがあれば、リスクを認識しながらもビジネスチャンスととらえてやっていくことが非常に大事じゃないかというふうに言えると
思います。
すみません、ちょっと最初の環境のところで時間をとってしまったんですけども、ここからですね、ビジネス環境への期待というところですので、ボルソナロ政権、今まで出してきた政策とかを
見てですね、どういうところがビジネス環境の改善になるんだろうというところをですね、少しまとめさせていただいております。
まず政策一例というところででているんですけども、もう少し詳細な内容をですね、次のページからお話しさせてもらえればというふうに思います。
まずは法改正というところで3つ挙げさせていただいております。既に内容をご存知の方もいらっしゃると思うんですけども、通商「経済自由令」と、労働に関する「Trabalho Verde e Amarelo」
、最後は政府調達に関する協定と、3つ挙げております。
経済自由令の中で皆さんからご質問とか受けるのはですね、有限会社、今まで株主2人必要だったと思うんですけども、それが1人が認められるようになりました。今までは本当に名貸しだけの株
主さんがいたというのは、もうこれは立てなくていいですよということで、これについては手続きが煩雑なのが少し緩和されるのかなということが言えるかと思います。
で、一番下、私もいいなと思ったんですけども、税務・会計に関する書類のデジタル保管を認めるということで、今までは紙で持たないといけなかった。大量の紙を保管して保管料がかかってい
たというのが、これによってそれをしなくていいですよということは、これは中々良い法律だなと思ったんですが、これよくよく見ていくとですね、まだこれどういうプロセスを踏まないといけな
いとかまだ出ていないとかですね、色んな方と話していると、そうは言っても税務当局が本当にこれ認めるのかとか。税務当局が税務調査に来て、紙がないと言った瞬間に、いやデジタル保管OKと
言ったからデジタル保管しましたと。でも税務当局が本当に認めるかどうかはよく分からないということもありますので、実際これが本当に運用はじまれば、各企業さんにとって非常にプラスにな
るかなと思うんですけども、まだまだちょっと、いつこれが本当に導入されるのかは分からないというところになります。
あと、Trabalho Verde e Amareloというところで、若い層を雇いやすくしましょうと、若年層の失業率を抑えるために何とか企業にとってメリットがあるようにして雇っていきましょうという法
律が、暫定令ですけども、一応こちらは何とか職にしていきましょうという動きがあります。実際これやりますと、こちらなんですけども、若年層を雇うと非常に安くなる、FGTS、INSSを払わなく
ていいと言われているところになります。
あと、若者層のところから離れるんですけども、中二つですね、ボーナスの支払いに関する新ルールや利益分配に関する新ルールということで、今までたぶんボーナス、皆さん従業員さんに払わ
れた時に、これ業績評価によるボーナスだった時に、ちゃんと一定条件みたいなものを満たしていれば、INSS、社会保障料を払わなくてよかったんですが、非常にこの基準が厳しかったというのが
あったというところで、社会保障料を払っていた会社さん多かったと思うんですけども、法律が変わって、社会保障料が免除になるケースが多くなったというふうに言われておりますので、もしボ
ーナス今まで社会保障料を払っている経営者さんあれば、皆さん一回帰って、法律が変わったことによって本当に払う必要があるのかないのかというのを確認して、払わなくて済むということであ
れば皆さんにとってプラスになるんじゃないかなというふうに言えるかと思います。
あと利益分配については、各従業員にほとんど弾力性なく一定金額を払わなければいけなかったというのが多かったかと思うんですけども、ある程度業績に応じてとか、職責に応じて払えるよう
になったということで、従業員さんのモチベーションにつながっていくように変わっていくことですので、もしこちらについてもっと従業員さんのモチベーションを上げるために使いたいというこ
とであれば、各企業さんとしても考えられるというふうに言えるかと思います。
ここからちょっと税務の話をさせていただければというふうに思います。今回ですね、税務について、税制改正まだ通っていないといころではあるんですけども、3つ、内容について挙げさせてい
ただいております。通称「善良な納税者」と言われているところと、OECDへの加盟に向けての動き、税制改正というところになります。
「善良な納税者」というところでは、ブラジルでは非常に裁判が多く、実際カマラの課税・通関ワーキンググループにアンケートさせてもらったところ、回答の方の66%の企業が何かしらの税務
裁判を持っていると。で、2018年度に新規で起こったブラジル全体での裁判の件数、税務に関して189万件、非常に大きな件数がある。これはそれだけあったら中々裁判終わりませんよねというとこ
ろだと思います。で、これを何とか早く解決していこうということでその法律が施行されていると。
あと皆さんが非常に気になるのはOECDへの加盟という所かと思いますけども、移転価格税制がブラジル独特ということで、皆さん税負担が非常に大きくなっていると。で、去年12月18日にOECDと
ブラジルの税務当局が合同で発表した報告書の中で、OECDとしてはブラジルに対して、OECDのガイドラインを適用することを強く求めるということに言われておりますので、ブラジル税務当局とし
てはこちらを今どうやって適用していくかというところを検討しているところになるかと思います。
あと最後、まだ確定はしていないんですけども、ブラジルの税制が非常に複雑だと。世界一難しいと言われておりますので、政府もそれを分かっておりますので、それに対してどうやっていくか
というところが今検討されているところになります。ただ一点、今回の税制改正というものは、簡素化をやるんですが、税負担を変える訳ではありませんので、何かの税負担が下がると何か税負担
を上げないといけないということになってくると思います。要するに皆さん全体として負担が減るわけではないんですけども、ただ、簡単になればミスもなくなりますし、従業員さんを雇う人数も
もしかしたら減らすことができるかもしれないということで、簡単になることによって企業さんにとってのメリットが非常に大きいと言えるかと思います。
ブラジル税制改正全般として、大きく4つになりますね。皆さんが非常に気になっているところですけども、間接税の話、法人所得税、個人所得税、社会保障料というのが今言われている内容にな
ります。
税制改正となりますと色んなところで色んな話を聞いているかと思います。私でも少なくとも今まで税制改正の内容、5個聞いたことがあります。その中で大きく分けて2つ言えるのが、実際に国
会で議論されているような内容と、あと政府の役人がしゃべった内容に2つ大きく分かれるかと思います。
国会で議論されているものということで、上院と下院それぞれ別で議論されているもので、これについては憲法改正が必要な内容が多いと言われているものの改正。政府案については、基本的に
は憲法改正までしなくてもいいような税制改正をやっていきましょうというような動きがある。大きくこの2つがあるというふうに言われているところになります。
では今国会の方で議論されている内容というところなんですけども、まず上院で言われているところですね。間接税が多すぎるのが非常に負担になっているというところで、間接税9つ、私正直知
らなかった税金もあったんですけど、9つの間接税があるというところで、それを統一しましょうと。ただ、移行期間ですね、統一するにしても15年、これ15年後にここにいらっしゃる方でブラジル
にいらっしゃる方が何人いらっしゃるか分からないんですけども、15年間かけて統一していきましょうと言われているところとなります。
先程のが上院で、下院の方は、9つではなくて5個ですね。ただ、上院も下院も言っているのは、連邦税だけでなくて、州税であるICMS、地方税であるISS、これを入れて、州税地方税を入れて間接
税を統一していきましょうと。下院の方は10年間の移行期間でこれをやりますというふうに言われているところになります。
もしこれが通ると、上院でも下院でもそうなんですが、移行期間内では税制1個増えるというような状況になるかと思います。ただ、本当にこういうふうになっていけばいいなと思うのが、例えば
この2番目のところのクレジット方式のところとかですね。PIS/Cofinsとかであれば、PIS/Cofins払ったけども、それについて受け取った分と相殺するのが相殺できないようなこともあると思うん
ですけども、今回この新しい間接税は、払ったものと受けたもの、日本でも一緒ですけど、消費税のように全部その金額をnet所得で、政府に払わないといけないものは払う、残ったものがあれば受
け取れるということで、非常に計算が分かりやすくなるということで、本当にこの2番目の方式はいいなと。
課税標準も、日本だと元買ったやつに何%と分かりやすいんですけど、ブラジルはなぜかそれをグロスアップしているとかですね、非常に分かりづらい計算式になっているので、税抜きになれば
日本と同じように分かりやすいなとか。
最後ですね、本当にこれが通ればすばらしいと思うんですけども、クレジットがあれば60日で返してくれるとなれば、皆さん、間接税でキャッシュフローで苦しまれている企業さんたくさんある
と思うんですけども、本当にこれが通れば、しかも10年後なれば、非常にキャッシュフローに対してのいい恩恵が出てくるのかなというふうに言えるかと思います。
ちょっとこちらは細かいので飛ばさせていただいて、それ以外に政府案というところで、実は政府案、中々出てなくて、いまだに出ていないです。実際政府案出さないと言われております。ただ
、この2019年11月18日に公表した内容と言われているのでここに上げさせてもらっていますけども、Phase1、Phase2、Phase3、Phase4まであります。
Phase1では間接税のうちPIS/Cofinsを統合、まあほとんど一緒だと思うので、これ統合といってもあまりピンと来ないかもしれないんですけども、統合して、新たな付加価値税を作りましょうと
かですね。
Phase2では、CIDEをこの付加価値税に統合していきましょうとかですね。
あとPhase3で個人所得税、法人所得税についても改正していきましょうと。個人所得税についてですね、現在27.5%最高税率だと思うんですけども、これを35%まで持っていきましょうというふ
うに言われている。実際35%まで持っていきますと、駐在員さんの給与がネット保証ですと、企業何もしなければ皆さんの取り分が減るということになりますので、ここに上がるのであれば、親会
社さんと交渉して取り分が減らないようにしないといけないということになってくるかと思います。
あと法人所得税は段階的に20%に下げていくというふうに言われているんですけども、先程言いました通り、取り分が、国としては税金が減らないようにすると言っておりますので、減らないよ
うにするために何かしらの取れるようなことを考えている。その中で言われているのが、配当金に対して課税していくというのが言われているところになります。
最後は、社会保障料を削減していきましょうと言われているんですけども、これなくせば政府取り分が減りますので、何かしらの新しい税金が必要になってくるというふうに言われているところ
になります。
実際の税制改正、非常に日々刻々と変わっていて、実はですね、これも出させていただいているんですけども、この内容は昨日のニュースを見ますと、今の状況として、上院と下院、この時調べ
た時は2月末の段階ですけども、上院と下院の案を統合して考えましょう、で、それぞれの議員が出てきて考えましょうというのが2月末の状況でした。昨日のニュースを見るとですね、4月28日まで
に統合した案を作りますと。で、5月5日の委員会の方に出していくというふうに言われているところになります。
で、公聴会があるんですけども、3月11日の公聴会にゲデス大臣が出てくるというふうに言われております。そこで何かしら政府の話が出てくるんじゃないかというふうに言われているところにな
ります。
税制改正については、いろいろ書いてあるんですけども、日々刻々と変わっていてですね、今の現状でこうなりますというの非常に言いづらいところではあるんですけども、皆さんご理解の通り
に、政府としては何とか簡素化してビジネスの状況を良くしていこうと言っておりますので、今後ですね、この話が続いていくにつれて、私の方でもですね、皆さんに何かあれば情報発信していけ
ればと思うんですけども、変わった時にはそれに対して対応できるような態勢が必要になって来るんじゃないかというふうに言えるかと思います。
ちょっとすみません、税制と話が飛ぶ感じになったんですけども、今回コンサルタント部会で話した時に、ブラジルで事業をしていく中で今どういうことが課題になっているかという話の一つと
して、次世代のつきあい方というのが非常に課題になっているというふうに話がありました。少し調べてみた情報をこちらに上げてあります。
次世代の中で少し前に言われたのがミレニアル世代。で、今出てきている新しい新入社員がジェネレーションZというふうになっているかと思います。
このミレニアル世代というのは付き合い方が非常に難しいと言われているんですけども、なぜ会社を辞めるのかというところについて、EYさん、ちょっと古いんですけど2015年にその理由を調べ
ているというところで、日本は残業が多すぎるのはまあそうかなと。ブラジルに関しては、ブラジルは労働法が厳しいので確かにないんだなと。それを除くと、まあどこも大体同じような感じなん
だなと。中々給料が上がらないとか、昇進できるかどうか不安だとかですね、フレキシビリティがないとかですね、大体お国は違えども、今のミレニアル世代が考えていることは同じなんだなとい
うふうに言えるかと思います。
こういう世代に対してどういうことが必要だというところで、今度はですね、デロイトさんのミレニアル年次調査というのが出ているんですけども、これブラジルも日本も入った調査になってい
るんですが、アクションの提案として上がっているのが、トータルパッケージの透明化とか、ブラジルは特にそうだなと思ったんですが、学習・成長機会が不十分。ブラジル人は教育に飢えている
とよく言われているかと思います。教育関係、いっぱい教育を与えるとブラジル人はそれに対して感謝をして、良く働いてくれると言われているかと思いますので、教育機会というのを十分作って
いくというのが非常に重要になって来るのかなというふうに言えるかと思います。
ちょっと話がこんな感じになったんですけども、今ブラジル政府が規制緩和を進めているという中で、過去に、規制緩和がある時に発展してきた企業というのはあるんだろうかかというのを自分
なりに探しました。という中で、皆さん、この黄色い端末とかたぶんタクシーの中とかで見たことがあるかと思うんですけども、ご存知ですか、PagSeguroという会社ですね。非常に今これ勢いのあ
る会社というふうに言われているところです。この会社が、過去の規制緩和をとらえて非常に大きくなったというふうに、調べていると私感じましたので、ちょっと紹介させていただきたくて挙げ
ているものになります。
PagSeguroの内容です。こちら上げさせていただいております。2006年にできました。2018年にアメリカに上場した会社というふうになっております。売上高もですね、非常にこの上場後どーんと
増えていっている。で、どういう会社かというと、先程言ったこの機械ですね、この機械を作って売っていくというのが非常に彼らのメインのビジネスというところになっているかと思います。
2020年2月26日時点のマーケット時価総額が11.3ビリオンUSドルということで、大体時価総額1兆2000億ぐらい。今の日本企業さんの中で見ていきますと、三菱重工さんとか日本製鉄さんとか、丸紅
さんなんか大体この金額になっているかと思いますので、2006年にできてそこまでの時価総額になっている会社というふうに思っていただければと思います。
どういうことをやったかということでございますけども、これさっき言ったカードの機械、私知らなかったんですけども、カードの機械というところについてはかなり規制が厳しかったですと。
過去は独占状態でした。ずーっとブラジルにいた方はご存知だと思うんですけども、このredeという会社とcieloという会社、この2社で占めていました。
占めていた理由としては、redeについてはitauがついてて、Mastercardを使うならredeの機械が必要だと。Visaカードを使うんでしたらcieloの機械が必要だということで、Mastercard、Visaのカ
ードを使う場合、redeの機械、cieloの機械がどうしても必要だったというのがカード決済の昔の状況というところですね。ですのでこの2社があるので中々新しい会社が入ってこれなかったという
中で、やっぱりそれはだめだと、ブラジル政府も気づいてですね、独占状態を指摘したというところで法律が変わっていく。この法律が変わったところでこのPagSeguroという会社ができるというと
ころですね。で、出てきたところで、過去を実際に見ていきますと、過去において独占状態が100%だったのが、法律が変わることによって自由化になったと。この間に独占契約になっているかどう
か調べきれなかったんですけども、現状では自由契約が100%というところになっています。
PagSeguroがなぜこうやって入ってこれたか、どうやってこうやって伸びていったかというところなんですけども、この機械ですね、このレンタル機械が非常に、小さな零細企業、中小企業に対し
て非常に大きな負担になっていると。実際このレンタル機を見ていきますと、2011年になるんですけども、cieloの機械がだいたい月114レアル、redeの機械だと140レアル。2台用意するとして、そ
れぞれMaster、Visa対応しないといけないので4台になりましたと。非常にこれ、年間で6000レアルの負担。一般的な中小企業の平均売上高が10万レアルと言われておりますので、そうすると売上の
6%をカードを使うためにレンタル料を払わないといけないという、非常に大きな中小企業の負担になっていたというところで、PagSeguroは中小企業をターゲットにして、貸すのではなくて安い値
段で売りますというところで入って行ったと。
ただですね、今までredeとかcieloの機械をレンタルしようとすると、それぞれitauの口座、Santanderの口座を作らないといけない。ところがブラジルは口座を持っていない人が4500万人いると
言われています。サンパウロにいると分からないかもしれませんけど、北部に行くと多くの人が口座を持っていないと。口座を持っていないとカードも機械も使えないというところもありましたの
で、そういうところも踏まえて売り切りにしたと。で実際これ成功していったと。
今はですね、BBNという非常に小さな銀行を買収したんですけど、さらに銀行業にも出て行こうというところで、成功してきているんですが、さらに次のステップに向かって今PagSeguroは進んで
いるということが言えるかと思います。
POS機械のマーケット市場ですね。こちら上げておりますけども、これだけ見るとPagSeguro7%しかないと。実際は昔からredeとcieloが強かったのでそれが比率を占めるんですけども、次のペー
ジで零細企業だけ見るとPagSeguroの比率が、2016年は16%だったんですが、2018年は35%という非常に大きな比率まで上がってきているということが言えるかと思います。
PagSeguroみたいなFintechの会社が非常に今力をもってきていますよというところで、FinTec市場についてこちらで見ているんですけども、元のFinTechの中からユニコーン企業になっていった会
社というところでPagSeguroも一つ挙げられているというところになります。
ちょっと時間も押しているかと思いますので、FinTechの市場についてこちら簡単にまとめさせていただいております。ご興味あればまた見ていただければというふうに思います。
新たなFinTech企業、こちらもユニコーンになったんですけども、FinTech企業がますます大きくなっていくケースをこちらで挙げさせていただいています。
最後、まとめというところなんですけど、政府が各種の規制緩和をした時にもしかすると皆さんにとってのメリットもあるかもしれない。逆にそれに対応しないといけないので、追加で負担が出
るかもしれないというところで、政府の各種改革についての影響分析が非常に重要だということになるとかですね、PagSeguroのように規制緩和ととらまえるとビジネスチャンスになるかもしれない
。
5Gの時代が到来すると言われておりますので、デジタルトランスフォーメーションについても考えていかないといけないとかですね、気候変動リスク、これ待ったなしになっておりますので、皆
さんの中でも対応が求められるケースが出てくるんじゃないかとかですね、従業員さんが若い世代が入ってきますので、若い世代との付き合い方という。非常に多くなってくるんですけども、つい
てですね、ブラジルにいながらだと思うんですけども、多くの現実で考えていってですね、さらにブラジルビジネスを発展というところにつながることができればというふうに思う所になります。
以上です。
司会
はい、ありがとうございました。コンサルタント部会から非常に興味ある、多岐にわたる発表をいただきまして、5G、気候変動、税制、ミレニアル、私ミレニアル世代との付き合い方というのは
興味あるので色々とお聞きしたいところなんですけども、ちょっと時間も押してございますので、次回以降こういうことであればもう少し最初から時間を用意させていただきますので。というわけ
で、たいへんありがとうございました。これでですね、いったん前半の方を終わりにさせていただきまして、後半の部は3時40分から始めさせていただきたいと思いますので、40分に始められるよう
にお席の方にお戻りいただければと思います。ありがとうございました。
化学品部会
青木宏文 部会長
皆さんこんにちは。本年度化学品部会の部会長を務めさせていただいております住友化学の青木です。よろしくお願いします。2019年の回顧と2020年の展望ということで、副題は「ビジネス環境改善に期待、いま為すべきこと」ですので、まず業界全体につきまして簡単に触れさせていただきました後、それぞれの分野に関してですね、説明をさせていただければと思っております。
まず化学業界全体ですけれども、全体額で17年、18年の数字をここに触れております。18年、レアル建てだと為替の影響とかありますので、ドル建てになりますと1280億ドルということで、若干、微増ですね。17年に比べて微増と。輸出・輸入の貿易収支ですけども、化学品という特徴からしまして、輸入してきたものを加工して国内で販売するという会社さんが多いということで、貿易収支の方はマイナスというところです。全体としては増えていますけども、収支としてはマイナスというところが概観であります。
そうしましたらより具体的な化学品部会所属企業さんの内容についてご説明させていただきたいと思いますけれども、機械金属部会さんと同様、非常に多岐にわたっていまして、化学品部会全体としては72社所属していまして、今回アンケートにご協力いただきましたのが22社ということになります。
それぞれ割合がここにありますけれども、22社というところですが、アンケート数52ということで、1社に対して複数の市場にわたって事業を展開していただいているということで、約、平均したら3市場弱ぐらいかなと思っております。
まず化学品部会全体の状況なんですけども、アンケートをまず市場ごとに増額、減少ということで毎年アンケートを取らせていただきまして、今年も同様の方法でやっております。まず左上の2019年の回顧というところですけども、こちらが全体を取りまとめた数字になります。青が売上、オレンジが利益ですけれども、売上・利益ともに増加企業が20社以上、20市場以上ということで、不変・減少のところが10市場ほどぐらいなのかなと。
2019年の展望というのを昨年の同じ時期にさせていただいたと思うんですけども、それとの比較がこの左下と左上のグラフになっているんですけれども、若干、元々思っていたよりも傾向としては悪い方向になってしまったのかなというところが見て取れるかと思います。
2020年の展望ですけれども、こちらも大きな傾向は変わっていなくてですね、市場の入れ替え等はありますけども、比較的増加・不変の会社さんが多く、減少は2019年の回顧よりも減る傾向かなというところです。
今回、先程申し上げました通り、市場が非常に多岐にわたっておりますので、この上位の5市場に関しまして資料をまとめさせていただきました。
まず、自動車・二輪関係ですね。輸送グループということでまとめさせていただいていますけども、2019年の回顧、このような状況になっております。増加の会社が非常に多い一方で減少の会社さんもそこそこの数があるというのが状況です。市場自体は先程自動車部会さんからコメントありましたけれども、国内市場の好調、二輪の方も販売台数が増えているという状況でありながら、アルゼンチンへの輸出の不調というのがあるのかなと。それに対して各企業さんの対応ですけれども、新規顧客の開拓ということで、説明の中に出てきたのは非日系の会社さんに展開しているとかですね。それとコスト競争力。一方で、価格面でいきますとやはり価格競争の深刻化というのがありまして、利益の減少につながってしまっていると。あと、先程市場のところでも説明しましたけれども、アルゼンチンへの輸出ですね、こちらの影響が出てきているところがキーワード。二輪に関しましては、市場の動向と同様に販売も好調だというコメントをいただいています。
次、2020年の展望ですけれども、こちらの方も増加あるいは不変ということで、比較的ポジティブな回答が多かったと思っております。基本的には、2020年への対策ということで、19年と同様に顧客の開拓を進めていく一方で、アルゼンチンの動向もちょっと気になるなというのが状況ということになります。
続きましてヘルスケアということで、ヘルスケアというふうにまとめていますけども、食品ですとか化粧品、医薬品関係、あるいは食品に使うフィルム材とか、そういったものをすべて含めております。
全体の傾向としては不変の会社さんが多い一方で、減少というのはほとんどなかったので、不変または増加というところかなと思います。19年の市場ですけれども、食品に関しましては健康志向というのが一つお話しがありました。一方で競合との価格競争が厳しいよという形でのご説明もありました。化粧品とか医薬品に関しましては、大きい動きはないんだけれども、特段にすごく減ったとかですね、そういった影響もあまりないというような状況です。
各社さんの対応ですけれども、比較的市場自体は堅調だったなという印象をもたれているのと、あと新しく開拓されたりですとか、新商品の投入といったことを積極的にされていた会社さん。一方で、輸出をされている会社さんではやはり、アルゼンチンの方での回収のリスクとかいったものがあったりですとか、為替の影響での原料高といったものが影響が来ているという話がありました。
2020年ですけれども、2020年の展望、非常に増加の会社さんが多いということで、市場も堅調に推移していますし、価格競争は厳しいんですけどもそれに対して対応策をいろいろと練っているという会社さんが多いのかなと。新製品の投入ですとか、あと、他の地域ですね、ラテンアメリカ以外も含めての成功例の横展開ですとか、あとは現地系の顧客さんとのコラボレーションということもいろいろ進めているというようなご説明をいただいております。
次に農業ですけれども、こちら農薬・肥料・飼料関係をひとまとめにしております。各部会の中の会社さんの状況としては増加の会社さんが多い一方で、まあ減少の会社さんも少しはあるという状況です。
市場全体としては、19年度、1月に比べて非常に伸びておりまして、そちらの影響もあって各社さんとも伸びにつながっているのかなと思う一方で、農薬関係を中心にジェネリック品の流通というのも結構ありますので、こちらによる価格競争が激化しているという状況です。
2019年、新製品の上市ですとか、あとは農業資材の販売が米中貿易摩擦の関係で増えたとか、そういったところがポジティブなところです。
2020年の展望ですけれども、こちらの方、引き続き市場は順調に伸びるということで、増加の会社さんが非常に多いです。一方で、市場としては去年のマーケットの増加が流通在庫につながらないとかですね、そういったところも心配がありますので、その点がネガティブになった可能性があるなと。あとはジェネリック品ですね。攻勢は引き続き厳しいので、そのあたりの影響を心配しております。
次に印刷関係です。印刷関係ですけれども、出版ですとか、あとパッケージ用のインキとか、感熱紙ですとか、そういった業界の市場の動向をひろった形になります。
市場としましては、パッケージ市場の高機能化ですとか、一方で価格競争は厳しいというようなお話がありまして、そういった中で各社さん対応しているという状況です。
19年の回顧としましては、増加・不変の会社さんが非常に多くて、一部利益が出ているというような会社さんもありました。対応としましては新規顧客の獲得ですとか、あとはコストの増加にともなる値上げ、価格への転嫁を対応されたというような会社さんも聞いております。
2020年ですけれども、こちらの方引き続き堅調に推移するということで、減少というふうに書いておられる会社さんはなかったんですけれども、増加、不変というところで、比較的売上は増加方向に向いているんですけれども、売上は伸びるけれども利益は減るというような回答をいただいている会社さんが多いという状況です。
市場としましては、引き続き高機能化というところにスポットが当たっているというような話がある一方で、価格競争は引き続き継続するので厳しい状況。それに対しての対応ですけれども、新顧客の対応ですとか、あと原料価格のタイムリーな転嫁、または継続的なコストダウンというふうに対応しながら、何とか減少にならないように2020年を展望しているといるという状況です。
最後、コンシューマー業界ですけども、こちら、化学品業界の会社さんは割と川上の会社さんが多いんですけど、川下の会社も何社か入っておりまして、筆記具の会社さんですとか、接着剤とか、塗料ですとか、そういった会社さんをこの中でまとめさせていただいております。
2019年の市場の動向ですけれども、前年から比較的景気がポジティブに動いてきているという印象があると。一方で安価品の攻勢が非常に厳しいので、それに対応してどうやっていくかというのが課題だったというふうに聞いております。
19年の実際の状況ですけれども、各社さんは、減少の会社さんも多少ありますけども、比較的増加の会社さんが多かったと。どのように対応されたかというと、高機能品の値上げですとか、あと新製品の投入をされたりですとか、そういったところで増加につなげていったという会社さんが多いと思います。
2020年の展望ですけれども、市場としましてはやはり、引き続き安価品の攻勢が続くというところで、様々な対応をしていく一方で、若干景気が上向きになったのも影響しているかもしれないですけれども、個人嗜好の変化があるということで、そういったところにどうやって対応していくかというのが2020年の課題だというようなご説明を聞いております。
2020年の各社さんの予想ですけれども、残念ながら19年ほど全てが増加というわけではなくて、不変の会社さんが非常に多いというところで、やはり販売促進をしていくのもコスト等かかっていきますので、そのあたりの対応と、あと価格競争ですね、こちらにいかに対応していくかというところに注力していく必要があると感じておられる。
簡単に全体のまとめをさせていただきますと、19年ですけれども、売上増加しましたというふうにご回答いただいたのは52市場のうち25市場で約半分。国内景気ですけれども、こちらは非常にポジティブな印象をもたれている会社さんが多いと。新製品の上市ですとか、新規顧客の開拓、こういったところにも進展があったと。
一方で、コストですとか、そういうところでの価格を含めた競争が激しいというお話しをたくさんいただきました。また19年、アルゼンチンの方の、まあアルゼンチンだけではなくて他のラテンアメリカ諸国も非常に不安定な状況でしたけれども、こちらの方の影響も一部見られるというような印象です。
2020年の展望。こちらも52市場のうち27市場ということで、約50%超が売上増加というふうにご回答いただいています。全体として、売上増加ですとか不変へのシフトというのが見られるんですけども、あとですね、高機能品ですとか新規顧客の開拓を引き続き、19年で成功した部分を20年も続けていくというようなご説明をいただきました。
価格競争が非常に厳しいですので、こちらについてどうやって対応していくのかというところが非常に課題になっている。それぞれ業界によって対応の仕方違ってくると思うんですけども、コストを削減するですとか、売価を対応していくとかというところでどう対応していくかというのが課題かなと。また、こちら2月1週目に化学品部会を開きましたので、その時にまだ新型コロナウィルスの影響というのはほとんどなかったんですけど、その時でもすでに、いくつか心配があるということでコメントをいただいていました。昨今、あれから1カ月くらい経っていますのでその状況も少し変わってきていると思うんですけども、こちらも注視していかなければいけないというような状況です。
副題のところですけども、各社さんからいくつかお話をいただいて、他の業界の方と重なっていますけれども、特に、その場で話題になった移転価格税制の改善ということで、いかに国際標準の移転価格税制をブラジルにも展開してもらえるかというところでかなり話題になりました。それ以外のところに関しては他の会社さんと同じような感じかなと思います。
以上です。
司会
青木さんどうもありがとうございました。いまご説明いただきました説明に関しまして、会場の中からご質問のある方、挙手をお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。お願いします。
発言者
ボルソナロ政権下で農薬の承認の迅速化、簡素化を図っていると聞いていますけど、日本の企業とか業界にメリットは、、
青木部会長
今すぐにメリットというのは中々出てこないんですけれども、変えて行こうという機運は感じています。ただ一方で、農薬に限らないんですけれども、Anvisaの認証ですとかそういったところはやはり時間もかかったり、進展状況が見えないとかですね、ここにも明瞭化と書かせていただきましたけれども、そういった問題がありますので、その点に関しては引き続き注視していきたいと思っております。
司会
ありがとうございます。他にご質問等ございますでしょうか。青木様、あらためましてありがとうございます。
電機・情報通信部会
小渕洋 部会長代理
ただ今ご紹介に預かりました、わたくし小渕と申します。部会長の中田が急遽登壇できなくなりましたので、代理で発表させていただきます。記憶に間違いがなければ、確か半年前にも同じ状況だったんじゃないかなと思いまして、これが最後だと私思っていたらば、今回も皆さんの前に登壇できてとてもうれしく思っております。それでは発表いたします。
まず部会のアンケート結果、このご報告を申し上げたいと思います。昨年2019年度の回顧は、半年前、8月の時点の展望と比べて、全体的に悪化してしまっているという状況でございまして、これは思ったほどブラジル経済が回復しなかったことの表れだというふうに考えております。
一方で今年2020年の展望ですが、去年よりも悪化すると考えている企業は一社もなくですね、回答いただきました全部の会員企業が今年は維持ないしは改善するだろうというふうに前向きに考えておる状況でございます。
次に、ビジネスに影響を与えたもの、去年の回顧では、まず一年間を通して続いてしまいました通貨レアル安による影響のコメントが最も多かったというのが挙げられます。それから続いて、隣の国のアルゼンチンの政治・経済の不安定さ、これを挙げる企業も非常に大きかったと。それから、ボルソナロ政権の改革の遅れといった政治的要素がこのふたつに続いたということでございました。また、どちらかというとネガティブなコメントが多かった一方で、不景気を脱出した感があるというふうに述べられた会員企業ですね、改善の兆しを感じている会員も何社かあったという状況でございます。
次に今年の展望でございますけれども、既存ビジネスの拡大、それから新規ビジネスの獲得を目指す。それから、政府による改革が終わりまして公共案件が活発になることへの期待。これらのような前向きなコメントが今年に対して目立つということをお書きしておきたいなというふうに思います。
それから一方ではですね、引き続きでございますけれども隣のアルゼンチン、それから米中関係も含めました内外の政治経済全般的な不透明への懸念というのが聞かれたという状況でございます。
次に市場。ブラジルの3件の市場を代表に出しております。このページはTV市場です。TV市場は2018年のワールドカップ以降好調を維持している状況でございます。対前年比ではワールドカップ特需の影響で前年割れしてしまったというのもあるんですが、全体的に販売台数はこのTV市場、好調をキープしていると言えるところです。一方で右側のオーディオの方は中国・韓国勢の市場への参入、それから需要が伸び悩んでいるということが背景にあり、苦しい時期であったという状況です。
続きまして主要な家電製品です。TV以外の家電製品。これはマナウスの生産の推移の話ですね。ブラジル経済が回復基調にあることを示すように、2016年を底に全体的に、ここにある色んな商品、全体的に売上は伸びてきているという状況です。ただし国外の経済が不安定なことにより、いつまでこの比較的好調な状態が続くのか懸念があるというふうに見ている次第でございます。マナウス全体の売上における電機電子機器は全体の27%を占めておりまして、パソコンだとかの情報機器が22%、それからバイク、15%、これが伸びてきておりますので、ここにある電気電子機器の売上比率が少しずつですけれども減少傾向にあるというのが特徴で挙げられます。
次はブラジルのファクトリーオートメーションの市場動向を示したものです。これを示すために、自動車産業だとかに左右されますので、そのデータを挙げて間接的に述べさせていただいているデータなんですが、いわゆるファクトリーオートメーションですね、インダストリアル部門が自動車産業に非常に左右されてしまいますので、このデータを使って説明させていただいている次第です。
ブラジルのGDPは2017年よりプラスに転じていますが、インダストリアル部門のGDPは1年遅れてですね、2018年よりプラスになっている。それから自動車生産台数は2016年が底で、昨年約300万台まで回復してきたところでございますので、工作機器の輸入台数も回復してきている、こういう傾向にございます。これらの回復の傾向によってファクトリーオートメーションシステムのマーケットは、2020年、今年は成長するというふうに期待されている次第でございます。
ITクラウドについて述べさせていただきたいんですが、2019年はクラウド型の決算やWeb会議システムなどの業務で使用するアプリによるネットワークの品質や容量の需要が増加し、あとはこれらのセキュリティ対策、これらの投資が非常に増加してきているので、この市場の景気は回復する傾向にあります。2020年もこの傾向は続くと見られておりまして、またアメリカのAmazon社がブラジルで2億ドルのクラウド投資を予定するなど、市場は拡大の見込みとなっています。世界のクラウド市場全体を見ますと、Amazon社とMicrosoft社の2強が非常に大きな部分を占めておりますけども、3位以下を含めて各社伸びている状況であることで、ITクラウド市場というのは非常に拡大傾向にあるという状況でございます。
ブラジルにおけます携帯電話回線の契約数について説明させていただきます。携帯電話、ブラジルの市場は首位を走るVivoの一人勝ちが続いている、この1社のみが契約数を伸ばしている。一方、4Gの契約数では各社が急激に増加をさせており、4Gのネットワークへの移行は順調に進んでいるという状況です。5Gの世界ではなくてまだ4Gが半分くらい、ようやくなってきているというのがブラジルの携帯でございます。また、Vale社がですね、ブラジル初のPrivate LTE、これは4Gの自社ネットワークの技術なんですけど、Valeが進めているというような事例がございまして、4Gへの投資がいま盛んに行われているというような状況でございます。まだ5Gの前の4Gがこういう状況だというふうにご理解いただければよろしいかなというふうに思います。
次は、通信可能なエリアを示すカバレッジを人口比で見ているものでございまして、前の世代の3Gで99.8%で、4Gでも96.9%まできていて、3Gと4Gのネットワークでほぼ、人口に対するカバー率というものはほぼほぼ100%に近くなってきているということが確認できます。カバー率は3Gと4Gの両方で100%近くなってきているというのがブラジルの状況です。
一方で、右側ご確認いただきたいんですが、国土の何%にこの携帯の電波が届いているのかというのを見ますとですね、ブラジルは72%、69位ですね。69位で72%ということで非常に低いんですが、これはご想像できるかもしれませんけど、国土の中にアマゾン地域なんかが含まれていて、ここには人がいない、電波が届く必要のないエリア、これが加算されておりますので、カバー率は低く出ていますが、全体的には相応に高いかなというふうに理解している次第です。
次に5Gの開始状況について説明させていただきます。これは先程吉田さんの方からちらっとお話しがありましたけども、昨年の8月のシンポジウム以降あまり変化がない、あまり多くは語れないのが状況であります。ブラジルではですね、今年2月に5Gの周波数の割り当て入札のパブリックコンサルテーションがスタートいたしました。まあ入札が早ければですね、今年の末ないしは2021年の初めに開始するというふうにブラジル政府も見こんでいるような状況でありますので、少しまだブラジルにおける5G対応はもう少し先になるのかなと見られている次第です。ブラジルのこの5Gの、巨大市場ではありますけども、中国、米国、欧州も開始しておりますので、各国が非常に注目しているところでありますので、ぜひ我々も見ていきたいと考えている次第です。
次に、先程は携帯電話でしたが、固定回線、固定電話の契約数についてです。これは右肩下がりに減少中で、ご想像の通りだと思いますけども。一方でですね、ブロードバンド回線の方は増加しているという状況であります。
ビジネス環境の変化ということで説明させていただきます。まず最初にマナウスフリーゾーンを取り巻く環境に触れさせていただきます。マナウスフリーゾーンに影響を与える物として他国とのFTAが挙げられますが、昨年はメルコスール、および韓国、EUとのFTAが順調に進んでいます。今年に入り、EU内部で一部メルコスールとのFTAに対する反対の声、それからメルコスール内でもアルゼンチンの新しいフェルナンデス政権、これがメルコスールに反対する動きを見せているなど、順調に進まない可能性が出てきているという状況下ですね、日本勢としては韓国勢、EU勢に対抗するために、日本メルコスール間のEPAの迅速な締結が期待されている。一方で、マナウスフリーゾーンですが、競争力を維持するためにも、ブラジル政府による税制恩典が重要ですので、現政権が今年実行するであろう税制改革、それと強力な税制恩典ができるのか、ブラジル政府の動きも引き続きウォッチしていく次第でございます。
それから、中南米ですね、米中関係の影響についてご説明させていただきます。昨年5月以降、アメリカ政府による中国企業への禁輸措置が進められています。こういった中国のリスト入りしてしまった企業は、それぞれの市場で大きなシェアをすでに持っているという状況でございますので、これらの企業と取引のある機関、企業は対応策に今後も追われる可能性があり、現時点でも非常に大きな影響を与えているというふうな状況になっています。先程述べましたブラジルの5Gについて言いますと、やはり米国、それから中国の両方の政府がですね、ブラジルの政府にそれぞれアプローチをすごくかけていまして、ブラジル政府はどういうふうに対応していくのか、非常に大事な検討を進めているというふうに我々聞いております。まあブラジルのみならずですね、その他の中南米諸国も同じでして、日本勢としても中国・アメリカの動きを見据えた活動をブラジルのみならず中南米でもする必要があるというふうにみています。
コロナウィルスによるビジネスへの影響について述べさせていただきますと、まあ最近ニュースで話題が多いんですが、ブラジルでも注目度が上がってきている。われわれ関係でいきますと、2月末にバルセロナで予定されていました世界最大の通信事業者の展示会、MWCというのがあるんですが、これがコロナウィルスの関係で中止になってしまいました。各社のビジネスに大きく影響するというようなこともございました。海外出張を自粛する動きや、それからサプライチェーンの中で中国で作っている製品、部品がとどこおる事態が我々の業界でも出てきているという状況でございます。長期化するようだとですね、在庫がつきるおそれがありますので、今後対策の実施を考えている状況でございます。
最後に、商工会議所、それからブラジル政府、日本政府の皆皆様にお願いを簡単に述べさせていただければと思う次第でございます。
まず米中関係、それから隣のアルゼンチンを含めて、国内外の政治・経済が不透明なため、世界情勢、ビジネス環境のモニタリング、情報収集、これまでやっていただいていることを引き続きですね、お願いしたいと思う次第でございます。
それから2点目は、他国・地域に劣後しないためにも、日本・メルコスールのEPAの促進をお願いする次第でございます。
一方で、ブラジル国内で生産を行っている企業としては、ブラジルに対し恩典の維持、それから、繰り返しになりますがEPAの促進など慎重な対応を日本に対して図っていただきたいと思います。
最後になりますが、日本・ブラジルの間でこれまで以上に連携してですね、両国に資するインフラ・ビジネス環境構築、整備の推進をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
司会
どうもありがとうございました。それでは会場の皆様から質問を受け付けたいと思いますけども、いかがでございましょうか。
発言者
コロナウィルスの中長期的な影響について。
小渕部会長代理
ありがとうございます。まあ私の私見になってしまうところもありますので、その前提でお聞きいただければ。もちろん、対面しないで色んなものができるという意味では5Gの技術というのが急がれるというのはあると思います。ただそれは、コロナがあるなしにかかわらず、世の中の趨勢というか需要として出てくると思いますので、あまり大きなインパクトというのはないかなと。早目にどんどん導入しないといけないという、スピードがつくという意味ではあると思います。
司会
ありがとうございます。その他ご質問ございませんでしょうか。
発言者
ちょっと答えにくい質問で恐縮なんですが、サプライチェーンの話ですね。対応策をいろいろ考えているということで、中国製部品のですね、調達、中国以外からも融通してもらって、それがとどこおった場合、どんな対策が考えられるのかという、一般論としてもし何かあれば教えていただきたいのですが。
小渕部会長代理
一般論としては、中国のみならず、他の地域にリスクをdiversifyしときなさいという話なんだと思うんですが、それが先にできてなくて中国に発注していた場合はやはり影響は多少は受けるかなと。投資をするのにやはり時間がかかってしまうので、影響は出ざるを得ないかなと。それから、生産の部分はですね、多少の遅れはあったりしても、少しずつ戻ってきている、私どもの周りでは見えていますので、ただこれがどのくらい、コロナが長期化するかとか、ないしはもっとむずかしい局面が出てくるとか。究極的にはやはりサプライチェーンのリスクをdiversifyさせて対応するしかないなというふうに思っているので、調達手段を活性化する。全地域に広がっていくとそれも回らなくなることも想定されますので、非常に回答が難しいご質問だなど。代わりにウルトラCがあればぜひ。
司会
ありがとうございます。本日9名の方が電話回線でご参加されているというということで、在宅勤務、テレワークが非常に多くなっていまして。野口さんの方からキーワードで、ITクラウド、ブロードバンド、こういった話があった訳なんですけども、どうなんでしょうか。こういうコロナウィルス騒動をきっかけに仕事の仕方ががらっと変わる潮目になるかもしれないなというような。まあプラスの側面もあるのかなと思いながら部会のお話しを聞かせていただきました。情報通信部会のお話し、時間の関係もありますのでここまでにさせていただきたいんですけど、どうもあらためましてありがとうございました。
司会
それでは続きまして食品部会の発表に移りたいと思います。食品部会の佐々木部会長よりご報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
食品部会
佐々木達哉 部会長
食品部会の部会長を拝命しております、ブラジル味の素の佐々木でございます。よろしくお願いいたします。次のページお願いいたします。
こちらが本日の発表内容になります。次のページお願いいたします。
こちらが食品部会の会員企業様の社名でございます。主登録17社、サブ登録44社で、61社の企業様にご加盟をいただいております。その中でグレーで示しております企業様から今回アンケートを頂戴いたしまして、部会の中でもアンケート内容を議論し、本日の発表内容についてまとめたものでございます。次のページお願いいたします。
まず市場および会員企業状況ということで、何枚かでご説明します。
食品業界に非常に密接に影響しております小売市場全体の動きでありますが、2016年以降回復基調が続いておりまして、2019年も継続しているという状況でございます。
一般のスーパーマーケットについては少し落ち気味ではございますが、前回のこの会議でもご紹介しました通り、キャッシュ&キャリーと言われます大型の業務用のスーパーが伸長しておりまして、これは統計上も出ておりますし、各社様からのレポートの中でもその状況が明らかになっているということで、全体を押し上げる大きな原因になっているというふうに思います。
また外食の市場については、一時期不透明感が出ましたけれども、基本的には安定して拡大傾向が続いているというふうに統計データ上も出ております。次のページお願いします。
市場および会員企業様の状況ということで2枚に分けてご説明します。
まず1枚目は調味料、醤油、酒類、コーヒー、チョコレート、即席麺といったところでございます。
調味料については、家庭用全体微減の中でキャッシュ&キャリーは伸びているということが特徴かなということ。
また、醤油につきましては、現地メーカーの台頭もあり、輸入醤油は厳しい状況が続く中で、後ほども触れますけども、現地加工の液体調味料の販売を強化する中で、このことが徐々に成果につながりつつあるという報告もございました。
酒類については、清酒の市場は数%の成長と推測されますが、第4クォーター以降になって消費の回復基調が見られるということであります。
またコーヒーにつきましては、原料のコーヒー生豆が歴史的な豊作が続いておりまして、原料・製品共に相場が低推移ということであります。国内の消費は伸びが鈍化し価格競
争が激化するということですが、輸出品については国際競争力を維持しているということでございます。
チョコレートについてですが、業務用の市場にですね、海外の大手さんの参入もありまして、かなり競争が激化しているということで、為替、原料相場等々の変動もある中で価格が中々上げられないということもあり、非常に厳しい環境であるというようなご報告をいただいております。
即席麺につきましては、家庭用全体では横ばいという流れの中で、キャッシュ&キャリーが伸びているということと、世界の中でも何カ国かで即席麺を展開しているNestleさんがMaggiブランドの即席麺、これはブラジルからの撤退を昨年発表しておりますということで、大きなニュースもございました。次のページお願いします。
乳酸菌飲料ですが、こちらは後ほど触れますが、消費者の低価格志向が継続する中で、マーケットの中では安価な類似品や大容量品の販売が目立つということであります。
外食については、これはラーメンの事例になりますけども、市場は全体として伸びているということで、専門店も徐々にではあるが増えてきたということがあります。
それから少し飛ばさせていただきまして、BtoBの素材のところですけども、こちらはサブ会員の皆様からも情報をいただきまして、先程の部会の発表にもありましたが、健康志向やナチュラル志向に繋がる需要は堅調に推移をしておりまして、一方でコモデティーな素材は価格競争が激化しているという状況ということでございます。市場状況に絞ってご紹介させていただきました。次のページお願いいたします。
こちらは、これからのキーワードということになります。市場の今後のポイントということでありますが、どの部会でも触れられております新型コロナウイルスの影響、それから為替の変化等々の状況が大きく影響いたしまして、これは現時点では不透明と言わざるを得ないこともございます。またボルソナロの政権の運営の国内市場に与える影響も、良い面悪い面両方ございますが、これも中々予測できないという中で、まあ変化にどう備えるかということが各企業の共通の心持ちであるということが一つということと、あとは食品の中でも、一般のお客様、消費者のニーズの変化が少し見られますので、ここをどうやって見据えて準備していくかということが非常に重要だろうということでございました。これにつきましては、この後少し実例をご紹介しながら触れていきたいというふうに思います。次のページお願いします。
まず、将来の環境変化への備えということでございますけども、これは景況感にかなり敏感に影響を受ける業種でございますので、現場の創意工夫によってコストを下げると。あるいは資産の効率化ということで、アセットライトというようなことを心がけるということ。それから今回、何社かの会員様からのレポートにありましたが、企業の提携ですとか統合によって組織力を強化して、サービス領域の拡大していくという事例がございました。具体名を下に書かせていただいておりますけども、これは先程の機械金属部会でもご紹介のあった事例も含まれておりますが、こういった傾向がでてきていると。
それから2番として激しい為替変動への対応と。これも今に始まったことではございませんけども、備えていくしかないだろうというようなことでございます。
ここから少し、各会員企業様の実例も踏まえながらご紹介をしたいと思います。
まず、新たな市場トレンドや消費者ニーズを見据えた準備ということで、まず新たな消費者ニーズの探求ということで、二つ事例を挙げております。
まず外食ですが、これは一幸舎さんの例でございますが、夏場対策メニューの積極投入ということで、ラーメン、これは日本でも同じですけども、夏場の売上をどう維持するかということが非常に重要という中で、日本の技術と現地の嗜好をあわせながら、夏場の新しいメニュー展開に意欲的に挑戦されているということで、つけ麺あるいはカレー餃子等の販売が好調ということでございます。ぜひお試しいただきたいと思います。
一方で、残念ながら、満を持して投入した冷やし中華は受けなかったということで、この裏に数々の失敗がということでございますが、こういったトライをしていくことが非常に重要ということであります。
また、醤油につきましては、醤油と書きながら醤油ベースにこだわらないということになっていますけども、新しい液体調味料ということで、前回キッコーマンさんの事例として「ワサビマヨネーズ」の事例を紹介し、これが好調ということでありましたが、さらに続きまして、「ハバネロマヨネーズソース」や「オレンジソース」がラインナップを拡充し、ブラジル人の新たな需要を掘り起こされることに成功したということでございます。次のページお願いします。
同じく新たな消費者ニーズの探求ということで、即席麺、カップヌードルでございますが、こちら即席麺の領域ではまだまだ袋麺が中心の中で、カップ麺の割合が徐々に増えている、かつ伸びているということでございます。その中で、昨年、カップヌードルのカレーを発売いたしました。カップヌードルのカレーは日本では上位に入る売れ筋でございますが、ご案内の通りブラジルではまだカレーが一般的ではない中で、新しい挑戦ということでございますと。試行錯誤を始めておられるということでございまして、特にサンパウロ地区を中心に重点的な取り扱い拡大を図っておられるということですので、ぜひお見かけになった際には試していただければ、応援いただければと思います。
また、調味料の例では、シュラスコ用の「AJI-SAL」、これはアジシオですね、が非常に好調ということでございまして、後ほど出てまいりますけども、ブラジルは非常に塩分摂取が多い国という中でアジシオが売れる事を素直に喜んでいいのかという部分はございますが、塩100%に比べて塩と味の素の組み合わせは塩が抑えられるということで、うまみの部分が満足感をサポートするということが、どのぐらい効いているか分かりませんけども、非常に好調でございます。日本に対しては、Aji-Salは調味料ではなくてシュラスコ用のメニュー調味料であるというふうに説明していま切り抜けておりますけれども、非常に好調ということで、こちらは関連陳列と申しまして、シュラスコ用の炭ですとか、トングとかナイフとか網の周りに並べるという販売手法をとって地道に広げておりますので、ぜひこちらも、ご覧になりましたら、あこれだということでお勧めいただければと思います。次お願いいたします。
同じく新たな商品技術ということで、こちらはイグアスコーヒー様の事例ですが、20年8月からフリーズドライ商品の増産を開始するということで、より付加価値の高いフリーズドライ製品の増産により、商品ポートフォリオの見直しを図るということを予定しております。
次のページ。こちらは健康志向ということでございます。減塩・減糖・減脂といった健康志向、それからナチュラル志向の強まりは、ブラジルにおいても確固たる動きになってきております。その中で、こちらのナガセさんの事例ですけれども、機能性の糖質・酵素剤と、現地需要に対するソリューションの創出することで、減糖やクリーンラベルといったナチュラル志向をとらえて、数々の提案を実施されているということであります。
また、乳酸菌飲料、ヤクルトさんにおかれましては、「プロバイオティクス」の概念の普及ということで、こちらも先程述べました通り、まがいものに近いようなものが出てくる中で、正しいプロバイオティクスの概念を普及すると言うことで、YouTubeを使って健康関連の情報を発信したり、健康教室の開催を積極的に行われているということでございます。プロバイオティクスは腸内の細菌環境の改善でございますが、ご存知の通り免疫の改善につながります。コロナウィルスの対策にも有効と、いま言い切るわけにはいきませんけれども、毎日の積み重ねが免疫を高めるという代表的な例でございますので、ぜひ一日一本飲んでいただきたいと思います。
次のページでございます。こちらは前回も少し触れましたが、高付加価値志向ということで、低価格化と高付加価値化の二極化ということであります。こちらはアズマキリンさんの例ですけども、低価格帯の清酒を大幅リニューアルして、競合品と同価格帯でありながらもを維持しながら、圧倒的な中身品質を実現して、この部分がかなり販売大きく増加したということと、あわせまして、若年層向けのスパークリングな清酒のようなものも出しプレミアムをとっていくということで努力をされておられます。
最後のスライドになりますけども、食品部会、非常に一致団結して、企業の垣根を越えた積極的な交流や連携をやろうということで、工場見学ですとか、情報交換会等の企画もぜひしてほしいという声もいただいております。Team Japanとして、ブラジルの社会への、あるいはブラジルの消費者への貢献ということを図っていきたいと思います。規制変更、為替変動、コロナウィルス等、非常に逆境も多いですけども、また東京オリンピックが影響が多い業者さんも多い中で現在まだ開催について不透明な部分もあると思いますけども、開催を信じて2020年を乗り切っていきたいなというふうに望んでおります。以上です。
司会
佐々木部会長どうもありがとうございます。日々たいへんお世話になっている商品がずらりということで、ご説明たいへんどうもありがとうございます。それでは会場の皆さんからご質問を受けたいと思います。ご質問の方は挙手の上お願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
そうしましたら、ちょっと私の方から代表質問ということで。7ページのスライドですけども、これからのキーワードということでですね、消費者ニーズ(インサイト)の変化を見据えてということで3点挙げておられると思うんですね。新たな消費者ニーズの探究と、あとは健康志向。3番目は志向の二極化、高付加価値と低価格ということで3点挙げておられるんですけども、佐々木部会長の私見でも構わないんですけども、一つだけポイントを挙げるとされるとどれになるのかなということを教えていただけないでしょうか。
佐々木部会長
これはいずれも大事なポイントというふうに会員企業様からも情報をいただいていますが、まあ、私見も入りますけども、やはり、他の部会さんの中でも情報がございましたが、健康志向、ナチュラル志向については、これはグローバルのトレンドでございますが、ブラジルにおいてもグローバルと全く変わることなくこの志向が強まっている事を日々肌で感じております。減塩・減糖・減脂、ナチュラルというところについては、すでにグローバル企業さんもブラジルにおいてそういう商品を展開されておりますし、日本企業においてもそういう商品を品ぞろえを急いでいるというところもございます。またナチュラル志向についても、売り場を見ていただけますと、いわゆるオーガニックですとか、あるいはそういった商品が非常に増えているということも皆さんもお感じになられると思いますし、あとはちょっとここに書いてありましたけども、今グローバルのトレンドの中で非常に大きいと言われているエシカルと呼ばれます、倫理的消費の世界が、食品の世界でもかなりきております。これはプラスチックの使用を抑えるですとか、あるいは袋のロス削減ですとか、そういった取り組みに取り組んでいる企業を応援しようという動き、これ実はブラジルの中でも増えてきておりまして、ブラジルは他の国と違うという見方は全く通用せずに、グローバルと非常に同じ歩調を歩んでいるということが、特に最近際立ってきているのかなというふうに感じて、ここにきちっとついていくことが本当に必要だなというふうに感じております。
司会
どうもありがとうございます。それでは食品部会の説明をこちらで終了させていただきたいと思います。佐々木部会長ありがとうございました。
運輸サービス部会
今安毅 副部会長
いまご紹介に預かりました、副部会長を務めさせていただいております今安です。よろしくお願いします。
運輸サービス部会です。5つのそれぞれの業界から発表をまとめておりまして、若干長い時間となりますけどもご了承ください。
まず、スライドの文字がちょっと小さいので、左側、ピンクのところが外航コンテナの貨物輸送量の推移ですね。真ん中、緑が完成車輸出入台数の推移。一番右のブルーの方はばら積み主要貨物の輸出量推移で、これを見ながらお聞きいただければと思います。
では、まず海運業界です。海運業界については、ブラジルに主に関係するコンテナ輸送、自動車輸送、ドライバルク輸送、いわゆるばら積みの現状について簡単に説明いたします。
2019年の回顧についてご報告します。まずコンテナ輸送ですが、マーケットは堅調に推移し、2018年と比較し、ブラジル外航コンテナ輸送量は3.1%増加しました。米中貿易戦争に伴うトレードパターンの変化、割安な為替、一次産品の生産量の増大を受け、南米東岸の輸出は旺盛であり、スペースには逼迫感が見られました。
次にブラジルの主要貨物である自動車の輸送ですが、ブラジル国内の新車販売台数は279万台と前年を8.6%上回る好調でしたが、2019年の輸出台数は前年比マイナス32.1%。輸入は同マイナス4.1%と微減となりました。この輸出の激しい落ち込みは、自動車輸出の約7割を占めるアルゼンチンの経済危機によって新車の販売が急減しているためです。
続いてドライバルク輸送です。2019年のブラジルからの輸出量は5億9156万トンと、前年比マイナス6.5%でした。特に1月に発生したVale社の鉱山ダム決壊事故による鉄鉱石輸出の急減、中国における豚コレラの大流行で飼料輸入が減少するなどの影響が顕著でした。3クォーター以降は鉄鉱石輸出も回復基調にありましたが、上期の減少をカバーするにはいたりませんでした。
続いて20年の展望です。コンテナ輸送ですが、ブラジル経済は緩慢ながらも成長が続くことが予想され、貨物量も増大を見込んでいます。
次に自動車輸送ですが、完成車輸送は、南米各国の経済成長の不確実性、鋼材価格の引き上げ圧力など課題はあるものの、慎重ながら楽観的な見方を示しています。
次にドライバルク輸送については、Vale社の鉱山ダム決壊によって閉鎖していた鉱山の操業を順次再開してきており、前年超え輸出量が見込まれています。穀物に関しては前年並みに推移すると見られています。砂糖は国際価格低迷などの影響を受けて、他作物へ転作する動きが一部で見られますが、順調に育成している事から、サトウキビ生産量はわずかに増加するものと見込まれます。しかし製糖業者がエタノール生産を強化する動きがあり、砂糖の生産量、輸出量はともに前年比横ばいで推移すると見込まれます。
次に、国連の船舶による大気汚染防止規則の改訂で、2020年1月1日より船舶からの硫黄酸化物排出規制が全世界的に強化されました。同基準を遵守するため、船舶燃料を高価な低硫黄燃料へ切り替える準備を周到に進めていましたが、十分な検討期間を設けたこともあり、懸念されていた供給不足による大きな混乱もなく乗り越えることができました。割高な低硫黄燃料を使うことによるコスト増についても、概ね理解をいただいており、この場を借りてあらためて御礼申し上げます。
最後に新型コロナウィルスの影響について、現時点では限定的ながら、中国での工場の操業停止が長引けばブラジルでの生産業にも波及し、貨物輸送量に影響が出てくるものと思われます。次のスライドをお願いします。
次のスライドのグラフもちょっと字が小さいので。左の青いグラフ、輸出取扱数量推移。右の赤いグラフが輸入取扱量推移。下が原油・ジェット燃料価格推移となっています。
次に航空貨物業界です。2019年の回顧ですが、まず世界動向は米中貿易摩擦の影響を大きく受け、貨物重量は2009年のリーマンショック以来の低い水準となりました。また成長率では2012年以来のマイナス成長に転じました。航空貨物業界の2019年は非常に困難な年になりました。米中貿易摩擦の影響はアジア発着路線の貨物減少が34.6%と、非常に大きなインパクトを残しています。
南米の動向もマイナス成長。ブラジルの主要空港はグアルーリョス、ビラコッポスの輸出入取扱数量を見ますと、輸出入ともに2017年、2018年の実績を下回りました。
燃油費の動向は、2019年下半期、原油とジェット燃料の価格は全体的に低調に推移しました。これは世界的な需要の低迷と供給のバランスがとれているためです。
次に2020年の展望について、まずIATA、国際航空輸送業協会が年初に航空会社CFO、貨物責任者を対象にしたアンケートを実施し、その結果、対前年増加するが減少を上回る結果となりました。これは米中貿易摩擦の融和による貨物数量復調の明るい兆しに起因しているのですが、その後発生した新型コロナウィルス拡散により、状況は一変したと考えます。
中国ではまだ操業再開を見合わせている企業も多く、また1月末より欧米各国航空会社が中国発着便のキャンセル、その他地域の減便も予定されており、結果的に貨物供給スペースの激減によるスペースの取り合いで、一部運賃高騰が顕著になっています。
サプライチェーンが崩れ、部品、製品の供給に遅れが生じ、世界経済に大きな影響を与える可能性がある一方で、納期遅延の代替輸送として航空貨物輸送が飛躍的に伸びる可能性も想定されます。
燃油費の動向ですが、2020年、航空会社の燃油費は低減すると予想されています。理由として、ジェット燃料価格は今年の原油価格とともに下落しているためです。
最後に、航空貨物業界にもデジタルトランスフォーメーションの波が押し寄せています。これはeコマース市場への対応、ビジネス機会拡大や効率化を求め、航空業界でデジタル関連の投資が次々と行われているからです。オンライン予約の提供のプラットフォーマーの代表として、アメリカのFlexport社やドイツのcargo oneは徐々にパートナーとなる航空会社数を拡大。一方、本来航空貨物フォワーダー、国内輸送業者の範疇まで航空会社が取り組み始めてきています。各社生き残りをかけデジタルトランスフォーメーションを推進した新たな事業モデルにより、航空業界のビジネス生態系が変わっていく節目の年になると考えます。次のスライドをお願いします。
その他貨物業界です。2019年の回顧ですが、まずボルソナロ政権の下、インフラ関係は大きな飛躍が見られました。27案件、94億レアルの投資、54億レアルの助成金の創出は、インフラ省が実施したコンセッションプログラムの初年度の成果です。トラック運転手の待遇改善は進まないものの、懸念された目立ったストライキは発生せず、物流面への影響はありませんでした。
一方、陸上輸送トラック業界全体としては堅調に推移していると思われます。例えばメルセデスベンツのトラック販売は2021年まで予約が埋まっている状況で、業界が投資に転じていると考えられます。
次に、パラグアイからの輸入で、メルコスール免税が反故にされ、輸出入ともに申告が約1週間停止となった事例がありました。その後、審査が厳格になり、関税コードの審査、場合によっては罰金が発生しました。背景は不明ではありますが、密輸事件が摘発があったのではないかと推測いたします。
さて、2020年の展望です。新型コロナウィルスによる経済活動停滞が長期化すると、部材調達、他国への生産シフトといったサプライチェーンの変更等が発生し、貨物の集中、スペースのひっ迫、新規の物流ルート構築等により、物流コスト増が懸念されます。
連邦政府はインフラ省主導の下、2019年の実績を上回る44案件の民間へのインフラオプションを計画、投資額は90億レアルを目標としています。
輸入税関申告システムが導入されるのは2020年と言われておりますが、実際に導入されると想定できない事態が発生する可能性があり、輸入者は通関業者と密にコミュニケーションをとることが肝要です。
最後、ブラジルの通販やeコマースは拡大基調にあり、倉庫需要増、バイク便を含めた小口配送網のインフラ整備が課題となります。新聞記事、O Estado de Sao Pauloによると、サンパウロ市内から30キロに位置するカジャマール市は計130万平方メートルの倉庫群ですが、倉庫市場が激化して価格が上昇し、最も価値がある地域の倉庫として、高級オフィス外にちなんで「倉庫エリアのファリア・リマ」との呼び名がつきました。ちなみに2019年の第4市半期のリース料は1平方メートルあたり21.87レアル。これは前年同期比13%上昇しています。一大消費地であるサンパウロ市の至近であることに加え、主要高速道路へのアクセスが良いなど、戦略的なロケーションであることが要因で、国際企業の関心を集めている理由となっています。アマゾン配送センターがここに設立したのもカジャマールです。そしてこの傾向は今後さらに拡大すると思われます。
次のスライドに参りまして、航空会社です。2019年回顧として、まずIATA、国際航空輸送業協会が公表する航空需要をまとめてあります。指標は、旅客需要を表すRPK、有償旅客キロ、生産量を示すASK、有効座席キロ、その他、座席利用率、座席利用前年対比の4つの指標を横に並べています。
さて、伸び率の上位から順に、アフリカ、アジア大洋州、欧州、米州、ラテンアメリカ、中東の順になっています。現象として、RPKの上位、需要の高い上位ですね、アフリカ、アジア大洋州は逆にロードファクターが低いところが目立ち、需要が旺盛で規模を急拡大した割にはお客さんの入りがついていっていないことがうかがえます。一方で各国の国内線の状況、下の方にありますが、見ますと、好調なブラジル、日本がそれぞれプラス1.6%、プラス1.8%に対し、ロシア、中国はその上を行き、プラス3%、プラス3.7%。アメリカにいたっては何とプラス10.5%と、好調経済による内需が活発であることが読み取れます。
次に2019年の総括において、まあ今まで不況不況と言ってきてはいたものの、今の状況となっては非常にこれでも健全だったなと回顧しています。ではなぜそう思うのかといいますと、次に2020年の展望にいきますけれども、これはもう様相が一変しております。がっくりしております。現在発生している新型コロナウィルスの影響を、実はもろに受ける業界の一つと我々言えます。
ということで、真ん中に新型コロナウィルス発生と。まずIATA、国際航空輸送業協会は現地時間の2月20日、ついこの前ですね、新型コロナウィルスの影響による2020年損失額の推計という恐ろしいものを出しています。世界の航空会社全体の合計は、損失の合計ですね、約293億米ドル、約3兆2807億円になると予想。面白いのは主力のアジア大洋州ですね。この病気が始まった発祥に近い。この損害額が287億ドル、約3兆1136億円。全体の数字とあまり変わっていないという、恐ろしい。驚くべきは中国国内の損失ですけれども、中国国内のみで128億ドル、約1兆4336億円。全体の3分の1ぐらいの数字になっています。
また、影響の大きいアジア太平洋のRPKですが、発表によると、ウィルスの影響により13%減少すると。2020年ですね。今年、元々の予測値はプラス4.8というふうになっていましたので、行って来いでマイナス8.2%減ということをIATAは報告しています。IATAのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック事務総長、CEOは、今年は2008年のリーマンショック以来の需要低下を引き起こす可能性があるということも発表しています。
これはですね、この数字を見るとまだまだちょっと甘いというような感じが、私は感想を持っておりまして、これはともかく全航空会社の集計データではあるんですけども、平均の数字はまあこんなものかという損害額になっているという印象を持っています。ということは、我々は実感としては今、とりわけアジアの航空会社においてはより一層被害が大きいというふうに実感を始めています。
日本の各航空会社、個別では、全日空が3月28日まで中国線週間165あったのを81に減便、日本航空も同期間で中国、韓国、台湾、週112便あったものを41便まで減便しています。
また、アジアの主要な航空会社として、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空、キャセイドラゴン、このへんは中国、発生源に近い所ですが、これは国内線もあわせると30から50%の減便になっています。これ、昨日発表があったばかりですが、ついにデルタ、UAも日本行きの便を4月30日まで減便という発表を昨日しております。アメリカンは飛んでいます。ただUA、デルタはそういうふうになっています。ついに日本も汚染国のような扱いになっています。
日本の国内どこも悲惨です。中部国際空港では1月と比較し、便数が6割以上落ち込んでおり、関西空港にいたっては週間計画便数の80%にあたる495便が欠航しています。さらに、旅客便キャンセルは実はその、機体下部のベリーと呼ばれるところに積まれる貨物の物流の停滞にもつながる懸念があります。
いま、JALの話で恐縮ですが、日本から中国向けの貨物が急増しておりまして、なぜか、特需になっております。ただ、飛んでいないもので、スペースが何週間も積めていない、搭載できない状態で、空港への搬入制限をかけております。こういう状況になっております。ではどうしているかといいますと、他社貨物便への振り替え、それと他社貨物便チャーターを買い取っている、スペース確保に奔走している。損害は計り知れない数字となりそうです。
最後に、ブラジルの市況に戻りまして、今のトピックスとして新航空会社の参入ですが、3月29日よりバージンがロンドンへデイリーを飛ばします。6月からはAzulがビラコッポス=JFKを開設。他にもヨーロッパ系の会社が5社ほど国内線に参入しています。若干明るい材料ではありますが、ちょっとタイミングがどうかなというところがありまして、いずれにせよシェアが若干少ないために全体の価格等に与える影響はかなり少ないだろうと。いずれにせよ、2020年は現時点まったく見通しが立ちませんが、一つ明確なのは厳しい年になるということです。
では次のスライド。最後のスライドですが、旅行業界になります。2019年の回顧として、まず国内航空券の発券枚数は前年対比プラス1.7%、売上額がプラス14%でした。発券枚数に対し売上額が顕著な伸びを示した原因としては、国内線単価の高騰が寄与したものと思われます。一方、国際航空券は発券枚数がマイナス8%、売上額がマイナス0.9%と、やはり出張減の影響で発券枚数は大幅に減少。ただ売上額はドル高レアル安の進行もあってレアル換算後の前年対比では微減程度にとどまりました。これデータはABRACORP、ブラジルビジネス旅行代理店協会の集計です。
次にホテル業界。ホテル業界の使用率は前年対比プラス4.1%。販売可能客室数あたりの客室売上、RevParはプラス10.9%と好調でした。これデータはInFOHB、ブラジルホテル業界フォーラムのデータです。
次にインバウンドとアウトバウンド。イベントを含む旅行業界の多岐にわたる業務のうち、今年はどの分野をとっても低迷しました。特に主力のブラジルから日本へのアウトバウンドや、その逆、インバウンドですね、が著しく減少しております。非常に苦しい状況となっております。なお、国内航空券は先程、プラスで良いという数字になっていますが、最近はウェブなど直手配ですので、旅行会社の単価には含まれておりません。
次に2020年の展望です。全体的な見通しとしては、ボルソナロ政権の経済政策が成果を発し始め、ブラジル国内の経済が好転すれば、レジャーや出張の需要も増えますので、今年はぜひそうなってほしいと願っておりましたが、ところが次の2020年の展望は、コロナウィルスです。やはりコロナウィルスで早速アジアおよび日本行きを取り消されるお客様が発生しています。また、日本国内の数々のイベントも軒並み中止や延期が余儀なくされており、今後感染が日本国内でさらに拡大していけば、日系旅行代理店にとっては大きな脅威となることは間違いありません。
インバウンドは今年、ブラジルでは際立った大規模イベントがないため、引き続き低迷。アウトバウンドは当初はオリンピック・パラリンピックということで期待されていたわけですけども、ただでさえ料金が、日本の旅行、ホテル代等々高いのに、もしこのコロナウィルス拡大のタイミングにぶち当たった場合は、ほぼブラジルからの個人客の伸びは見込めないと考えています。
ブラジルの航空市場でありますが、100%外資の航空会社の参入が最近認められましたので、既にノルウェーのnorwegianやチリのスカイエアラインやジェットスマート、アルゼンチンのフライボンデイがブラジルに参入し、今年はさらにスペインのグロバリアも参入ということです。これらの航空会社のシェアは極めて小さいので、先ほど申し上げたように、すぐには運賃引き下げにつながるということはありません。
最後、2020年の上期のトピックスです。ブラジル保健省が警戒感度を高めるため、新型コロナウィルスの感染の疑いのあるものの定義を発表しました。対象は発熱および呼吸器系の異常(咳や呼吸困難等)があり、それら症状の発症から14日以内に、16カ国とありますけども、主要なところだけ、中国、日本、韓国、イラン、イタリア他、16カ国・地域への渡航歴がある人と指定しました。長期滞在者については、ブラジル入国時には搭乗便や乗り継ぎ経路、空港滞在時間を聞かれるというふうになっておりますけども、ただこの確認は今のところブラジルでは入国制限等を表すものではなくて、疑い症例の早期発見や迅速な対応を容易にする意味で行いますとなっています。決して入国制限は意味していないということですね。
最後、LATAM航空とDelta航空グループが戦略的パートナーシップの提携を発表しましたということで、今年たぶん、AlianceからLATAMが出ちゃうと思うんですが、ではどうなるのか、今までと何が変わるのか、この情報はマーケットにはほとんどないので、旅行業界から、何かあったら説明補足してほしいと。しかたないので、JALとの関係についてだけ少し補足しますと、本社からの最新情報ですが、LATAM航空グループは4月30日付けでワンワールドを脱退しますと。ただ、スカイチームにはいかず、引き続きワンワールド航空会社との個別の提携を継続するということです。5月1日以降のJALとのコードシェア路線、便名ともに現行通り。便名も変わりません。マイル積算も利用可能。LATAM運航でもJALコードシェア便名さえついていればフライオンポイントもつきますというふうになっています。つまりワンワールドの特典以外は5月1日以降従来通り提携を続けるとしています。まだLATAM側の正式な発表待ちではありますけども、発表次第旅行会社を経由して皆様に周知して参ります。
以上、これで運輸サービス部会の発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。
司会
ありがとうございました。それでは会場の皆様から、今出てきました運輸サービス部会の説明につきましてご質問を受けたいと思います。いかがでございましょうか。新型コロナウィルスの影響を非常に受ける厳しい状態だという情報共有をいただきまして誠にありがとうございます。それでは時間の都合もございますので、運輸サービス部会の発表を終了させていただきたいと思います。あらためましてありがとうございました。
司会
これが最後の部会となります。前半から通じて10番目の生活産業部会となりますが、今川部会長よりご説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
生活産業部会
今川尚彦 部会長
生活産業部会の部会長の今川です。本日はよろしくお願いします。非常に長時間の参加で皆さんお疲れでしょうから、ささっとご報告したいと思いますので、最後までがんばってお聞きください。
それでは、まず始めにですね、当部会は旧建設不動産部会と旧繊維部会が一緒になりましたので、若干ちょっと内容にですね、ばらつきがありますけども、例年通り、まずは各部会員のアンケートの結果を基にした各部会企業の現状についてと、次に業界の傾向としての建設業界と不動産業界についてのお話しをします。最後に繊維業界より、これも毎年同じような内容になりますけども、リビング関係の国際展示会の様子を報告させていただきます。
まずご覧のグラフですけども、これは部会員6社の2017年をベースとした2018年、2019年の受注実績、それと2020年の予測になります。業績が最も伸びているのが、前回のシンポジウムでもご紹介させていただきましたけれども、エネルギー関係のD社です。D社がこの2年間の売上、非常に、約15倍ということで、大きな成長をされています。今年も非常に大きな大型案件の受注を見込んでおられるということです。
次に左側のA社、B社。こちらは建設関係になりますけども、昨年の実績では多少の開きがあるんですけども、今年の予測としてはほぼ同じぐらいの伸びということになっております。ただ、案件としては増加が見うけられるんですけども、工事案件がいまだに小型、小工事、さらに厳しい価格競争の中ということが近辺の大きな課題となっております。
続いて賃貸住宅およびオフィス斡旋業のC社になります。こちらも一昨年、昨年ともに増、今年はさらにもう少し伸びるという予測になっております。
続いて、先ほどD社の説明をしましたので、その横のE社になりますけども、こちらはエンジニアリングプラスチック事業、あとバイオ事業を主体にしておりますけども、昨年は約10%の伸びで、今年もほぼ同率を見込んでおります。
最後に医療、身の回り品のF社は、昨年は5%の伸びでしたけども、今年もほぼ同じぐらいの予測ということになっております。
総じて言いますと、各社2020年は業績が改善に向かっていくということを予測をしております。
それでは次に業界ごとの傾向について説明いたします。まず建設、不動産の順で述べさせていただきます。
まず建設業界です。ご覧のグラフは2018年まででございますけども、建設部門のGDP、それと全体のGDPを比べたものです。緑色がこれが全体のGDP、紫色が建設業界のGDPを表しておりますけども、実に5期連続でマイナスということが続いておりました。2018年は全体が1.1%、最終的には1.3%という成長率になりましたけれども、建設に置いてはマイナス2.5%、さらにマイナス3.8%ということで、2018年までは非常に厳しい建設業の時代でした。
それに対しまして、昨年、これは第3クォーターまでの数字しか出ておりませんけども、全体のGDPが1.1に対して1.7%。通年予測、近々最終が出ると思いますけれども、全体が約1.2%に対して、建設が2%ということで、実に6期ぶりにですね、昨年はプラスに転じたということになっております。
大きな要因としては、住宅の需要が非常に高まっております。2020年、今年はさらに3%という予測も出ております。
一方ですね、民間企業の設備投資、まあ建設投資ですね、これは非常に残念なんですけど、日系企業を除きですね、昨年後半より徐々に建設投資というのは増えてきております。ただ、大幅に落ち込んだ工事需要の回復、5年連続低下しておりますので、まだ工事需要の回復には至っていません。非常に厳しい受注競争も続いているんですけれども、これが続けばですね、まあ業界自身の復活が見えてくるかなと。まあ来年、来年というか下期の次回の報告の時はさらに良い報告ができることを期待しています。
続きまして、建設就業者数についてです。これも2013年から18年まで約120万人の雇用者が減っております。この状況は、昨年やや増えまして、緩和されております。2019年上期の雇用者数は6万5000人増えております。通期としましては14万5000ということで、全体が60万人、昨年雇用者数が増えておりますけども、その4分の1が建設従事者ということで、建設業が雇用者数増の牽引をしたということが言えると思います。
雇用者数が増えたことで、2019年末の建設就業者数は205万人を超えて、これでもまだ全体就業者数の5%という状況です。雇用者数の増加は、数字としてですね、まあようやく建設業の回復が始まったのかなということが思われます。
続いて不動産部門についてです。先程建設部門の今年のGDP予測が3%ということでお伝えしましたけれども、公共工事や民間投資の伸びに比べまして、住宅不動産部門が非常に大きく影響をしております。ご覧のグラフは2017年の1月から2019年の9月までの全国のマンション販売戸数と成約戸数の累計になっています。販売が青線、成約が緑の線となっていますけども、ともに右肩上がりに伸びているのが分かります。
サンパウロ住宅組合によれば、昨年のサンパウロ市の新築マンション市場は、販売で5万5000戸、成約で4万4700戸。2018年と比べてそれぞれ約50%伸びております。最近は特に目立つのが、低所得者層のマンションと、それと一戸あたりの面積が45平米、非常に小さな物件が増えているということです。
続きまして、住宅不動産の好況の背景には、これも今まで皆さんの発表からでもあったと思いますけども、金利の低下があります。以前は二桁だったSelicの金利ですけども、2017年以降切り下げが続いてですね、昨年末には4.5%、今年2月には過去最低の4.25%まで落ちております。これによって、ブラジル不動産開発協会によれば、住宅ローンの決済額が1年前に比べて25%から30%ぐらい下がっていると。安く借りれるということですね。このためローン申し込みが非常に増えています。基本金利が1%下がるごとに、ローンの申し込みが280万件増えるというふうに言われています。特に中古物件のローン申し込みが殺到しているということです。
それと、あとジェトゥリオ・バルガス大学の調査では、今後5年間の住宅ニーズは全国で1400万戸。景気が本格的に回復するまで住宅価格は抑制気味で推移すると見られており、住宅不動産市場はしばらく好況が続きそうです。
市場の好況は不動産ファンドにも支えられています。銀行金利の低下で、利回りに不動産ファンドが人気を集め、2017年までは700億レアル程度だったのが、2018年には860億レアル、2019年の10月までで1000億レアルを超えているという、過去最高の記録を今更新しております。
続きましてマンションの賃料についてお話しします。ご覧のグラフはサンパウロの市内のマンション賃料の推移で、青が賃料、上のグレーの方が総合物価指数です。昨年の第1四半期ぐらいまでは横ばいだったのが、第2四半期に入って徐々に賃料が上がっていっているとおいう状況が続いております。やはり、全体景気が昨年中期、後期にかけてですね、復調をしてきているというのがここに表れてきているのかなと。あと、部会企業様によれば、皆さんがよく住んでおられるパライゾとかジャルジン・パウリスタの辺りというのはですね、非常にニーズが高くて、今さらに家賃が上昇を続けているということをお聞きしております。
建設不動産部門の報告は以上となります。
最後に、旧繊維部会からは、これも毎度同じようなタイトルでありますけども、ドイツ・フランクフルトで開催されたリビング関係の国際的な展示会であるheimtextilの最新情報をお伝えいたします。ご覧頂いているのがメインテーマのコーナーになります。
今年のカーテンやソファーのカラー傾向は、ブルーとアースカラーという自然色になっております。ちなみに昨年のカラー傾向はグリーンとピンクということでした。
今年は、自然色がカラー傾向ということと因果関係があるかどうか確認していませんけども、この会場で目立ったことと言えば、やはり環境への配慮ということが大きく打ち出されておりました。SDGs、持続可能性という言葉が会場を席巻していたそうです。
ペットボトルをリサイクルしたポリエステルの使用はブラジルでも増えてきております。SDGsはこの先、全産業、全業界、全世界の共通言語、トレンドとなると思います。ブルーや自然なカラーでリサイクル素材や天然系の素材を使用することがリビングの製品にも広がってきています。
ちょっと内容的に建設と繊維ではまったくつながりがなかったんですけども、それぞれの発表をさせていただきました。以上で生活産業部会の発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。
司会
今川様、まことにありがとうございました。それでは生活産業部会の今のご説明に対してご質問、コメント等ございましたら挙手していただきたいと思います。特にないようですので、こちらで生活産業部会の説明を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。