新型コロナウイルスによる影響に対処するため、連邦政府の経済スタッフに支出を拡大する裁量を付与。
大統領府は国会に対し、新型コロナウイルスのパンデミックへの対処を目的とした支出の拡大に向けて異常事態の認定を要請する。ボルソナロ政権は声明を発表し、歳入減少が予想される中、この措置が「ブラジル人の健康と雇用の保護」のための手段を保証すると主張した。国会がこれを承認する場合、この措置は2020年12月31日まで有効となる。
連邦政府の経済スタッフによると、連邦政府は3月17日には現在の1,241億レアルという財政目標で認められた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字額を上回る1,550億レアルの赤字という新たな目標も発表する予定である。ただしこの新しい目標額は、2020年のブラジルのGDP成長率が+2.1%、原油の国際相場が1バレル=52ドルという予測に基づいて設定されたものであり、当然ながらこの見通しが悪化する可能性はある。この予測は既に時代遅れのものであり、経済スタッフは当該文書に記載された以上の規模で年間の赤字額の見通しをアップデートする裁量が与えられる。
現時点でエスタード紙の取材で得られた情報から計算すると、危機対策で求められる歳出拡大への対応には、基礎的財政収支で最大2,000億レアルの赤字になることが求められる。ただし実際のところ、年間を通じて異常事態となれば、連邦政府は、一切の目標を達成する必要がなくなるため、いかなる金額の赤字額であれ計上が可能となる。
連邦政府と州政府、市役所に対する公会計の基本法となる財政責任法(LRF)では、第65条において、異常事態が宣言される場合において、予算の凍結の必要性を含めて財政目標の履行停止を認めている。仮に異常事態の宣言が承認されない場合、連邦政府は、1,241億レアルの赤字という財政目標を達成するため、予算法の条件に基づき状況変化に対処するため約300億レアルの歳出節減が求められる。このため連邦政府としては、国会が異常事態の宣言を承認する必要がある。また州議会と市議会も、州及び市においても同様の宣言を承認する見込み。
新たな対策
連邦政府は、2方面で新たな対策を計画している。ひとつは非正規労働者に対する一時的な所得給付、もうひとつは財務状況の厳しい企業に対する雇用契約の一時的な凍結である。雇用契約が凍結された労働者は、連邦政府から失業保険の給付を受ける。連邦政府は、一連の危機による影響を強く受けるサービス業界を視野に入れている。同様の対応は、2008年の国際金融危機においても採用されており、この対処に連邦政府は約150億レアルの支援を想定する。
ジャイール・ボルソナロ大統領は、非正規雇用の労働者に対する支援プログラムはパウロ・ゲデス経済大臣が準備しているとコメントした。「バウチャーに相当する何か。金額の決定と、その支払いをどのように組織化するのかという部分が定まっていない」という。エスタード紙が取材で入手した情報に基づくと、この給付が施行されれば、そのコストはおよそ200億レアル前後となる。
連邦政府は外にも、原油相場の下落とGDP成長率が下振れすることによる歳入減への対処も求められる。GDP成長率が0.1パーセントポイント低下するごとに、歳入は15億レアルから20億レアル減少する。上院の独立財政院(IFI)はレポートで、石油ロイヤルティーに関連した連邦政府の歳入が170億レアル減少すると指摘している。
エレトロブラスの民営化法案の国会可決も難しくなっており、想定する事業売却益収入から同電力公社の民営化に関連した160億レアルも削減される。
連邦政府はさらに、利益が減少する官営銀行及びペトロブラスの配当減少についても対処することになる。この支払いは、連邦政府の現金預金を強化するとお期待されていたものである。
投資
この外、ロジェリオ・マリーニョ地域開発大臣のスタッフが、工事が中断していた公共工事に100億レアル規模の予算を注入することも検討している。
国会
経済スタッフのメンバーはエスタード紙に対して、異常事態宣言の承認は、歳出上限規定(歳出拡大の上限をインフレ率に制限する規定)を修正することなく連邦政府が公会計を運営する裁量を与えると説明した。(2020年3月18日付けエスタード紙)