新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大して連邦税と収税で納付期日の先送りを求めた企業の訴訟が相次ぐ中、市税に関しても同様の訴訟が増加している。サンパウロ市では、サービス税(ISS)と都市土地家屋税(IPTU)の納付期日の先送りで、少なくとも2件の差し止め命令が出た。
サンパウロ市とブラジリア、リオデジャネイロ市に代表される国内の主要な大都市がパンデミックによる危機という状況下で企業を支援する具体的措置を立ち上げてないことが、訴訟の動きにつながっている。こうした中、ベロ・オリゾンテ市では、主要都市の先陣を切って3月、バールとレストラン、食堂、芝居小屋、映画館、劇場を対象に、4月と5月、7月のIPTUの支払いを2020年下半期(7―12月)に振り替える規定を定めた。
シゴー弁護士事務所のブルーノ・シゴー弁護士は、「このような流れが生じていることから、次に支払期日を迎えるIPTUとISSの支払いを止めようと考えるクライアントの相談が増加している」という。
こうした中、小規模の市役所ではすでに納税者を支援する措置の導入が始まっている。こうした対策は、市税(ISS及びIPTU、手数料)に対する減額支払い期日の延期、裁判所による差し押さえの中断などで構成される。サンパウロ州内でこうした対応に乗り出した地方自治体には、オザスコ市とマイリポラン市がある。リオ・グランデ・ド・スル州では、リベラット・サルザーノ市とエストレーラ市、サンタ・カタリーナ州ではトレーゼ・チリアス市とカピバリ・デ・バイショ市、セーラ・アルタ市、ナベガンテス市などがある。「言い換えると、既に市でそうした動きが始まっている。ただ、それはまだマイナーな状態だ」とシガー弁護士は言う。
小・零細企業はすでに、こうした支援策を獲得している。国家Simples運営委員会(CGSN)は4月3日の会議で、小・零細企業向け税及び賦課金統合納付制度(Simples)で扱う税金、すなわち州税の商品サービス流通税(ICMS)と市税のISS、連邦税の納付期日を3か月から6か月先送りする判断を下した。それぞれの期日(3月分から6月分)が、その対象となる。
サンパウロ市内では、裁判所で下された差し止め命令のひとつは産業医分野のある企業に恩恵を与えるものである。サンパウロ財政裁判所第15法廷のジルサ・エレーナ・リオス裁判官が下したもので、ISSの納付期日を90日先送りする。この企業は、3月22日施行の暫定令第927号(MP 927)の第15条で、国が異常事態を宣言している期間中、解雇時の健康診断を除いて産業医及びクリニック、その他補助的な医療機関による健康診断の義務を凍結したことで売上が75%落ち込むことが予想されると主張した。
判決文において同裁判官は、異常事態及び検疫隔離措置を宣言した州政令(政令第64,862号及び同64,879号、64,881号)の結果として当該企業の事業家いつ同派直接的に影響を受け、「主たる活動の行使が阻害され、収入が落ち込み、賃金と税金の支払いを危うくした」と付け加えた。
この判決では、経済活動の行使に関するパラメーターを規定して勤労の価値を認め、民間の事業活動及び完全雇用を保障した憲法第170条も引用した(訴訟番号1017589-28.2020.8.26.0053)。
差し止め命令が下されたもうひとつの訴訟は、不動産コンサルタント業者に対するものである(訴訟番号1016723-20.2020.8.26.00 53)。この判決は、サンパウロ財政裁判所第8法廷のルイス・エドゥアルド・メデイロス・グリゾリア裁判官が下したもので、当該企業に対して市税の支払いの先送りあるいは分割を認めた。同裁判官はさらに、支払いが先送りあるいは分割された場合において当該企業に財産上、あるいは行政上の処罰が加えられてはならないとした。さらに、本案件に対する判決が確定するまで、滞納税として当該金額を登記することも禁じた。
憲法の原則で示されている上に、連邦税及び州税で納付期日の先送りにこの主張が使用されており、納税者の主張を支持する判例があるとブルーノ・シガー弁護士は言う。法律第14,493号(Lei nº 14.493)では2007年から、洪水/冠水の影響を受けた不動産に関してIPTUの免除/減額が認めている。「2007年以降、公権力によって免税が明確に承認された事実がある中、COVID-19のケースで同様の対策が公示されない理由は何だろうか?」と同弁護士はコメントした。(2020年4月7日付けバロール紙)