新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが続く中、中国の電話通信事業者は2020年1―2月の2か月間だけで約2,100万人の顧客が減少した。ブラジルでは、直近のデータは検疫隔離措置が講じられる以前の2月であるが、2020年は、顧客がプリペイド・プランからポストペイ・プランに移行する流れが中断し、携帯電話回線数も減少すると見られている。
国家通信監督庁(Anatel)が発表した2月のデータをまとめたコンサルティング会社のテレコ(Teleco)によると、国内の移動体通信の回線数は、2015年5月にピークとなる2億8,417万回線に達した後、2月末時点で2億2656万回線となった。2019年の回線数は下降線をたどりつつも、その下落が減速する傾向を見せていた。年間の12か月の内、6か月で回線数が増加したためである。
テレコのエドゥアルド・チュード(Eduardo Tude)理事によると、「2020年は、既に回線数が成長軌道に復帰する傾向にあった」と話す。当初の見通しでは、実利用者数の増加だけでなく、M2M用ポストペイSIMカードも成長が加速すると期待されていた。同理事は、「3月は恐らく、プリペイド式を中心に、既に大きな落ち込みを記録していたことだろう」と、中国国内の回線減がプリペイド式に集中していたことを引き合いに出して言及した。
世界最大のキャリア、中国移動通信(China Mobile)は、1月と2月の2か月で、800万回線の顧客を失った。のみならず、顧客(回線)数は9億4,216万回線となった。ブラジル国内では、キャリアの店舗の営業中止と景気の後退といった要因が、携帯電話端末の販売台数と消費者の4G技術への移行に影響を与えるとコンサルティング会社フロスト&サリバン(Frost & Sullivan)のレナット・パスキーニ(Renato Pasquini)ブラジル担当取締役は指摘する。テレコがまとめたデータによると、2月末時点で4G回線へのアクセスは移動体通信の69%で、6か月前の21019年8月の64.7%を上回っている。
パスキーニ取締役は、「キャリア各社には端末とSIMカードをオンラインで販売する条件を整えているが、それだけではパンデミック発生前の営業活動と販売を維持するには不十分だ」と強調する。
フロスト&サリバンの最新の、パンデミックが発生する前の予測に基づくと、ブラジル国内の移動体通信の回線数は2020年に減少し、2021年にようやく増加傾向を示すとしていた。この回線数の回復の背景には、M2MとIoTが背景にある。「このシナリオでは、総回線数が2024年に2億4,920万回線を記録すると想定していた」とパスキーニ取締役は強調した。
パスキーニ取締役によると、これらの試算はプリペイド式及びモデムの回線数のより減少をベースにしており、見直しの必要はないと受け止める。「プリペイド式がより安価な低額式あるいは家計とバランスをとった別方式に移行するとしても、総回線数は変化しない。というのも、ブロードバンドの移動体通信は、既に生活に必須のものになっているからだ」と話す。
またあるアナリストは匿名を条件に、実際のところブラジル市場は安定に向かって進んでいると指摘する。つまり各キャリアは、わずかしか増加しない同一の顧客の集団というパイをそれぞれに奪い合う状況なのだという。このアナリストは、安定化のプロセスが減速する可能性はあるが、大きく変化する状況にはならないだろうという。「キャリアがより強く意識しているのは、通信料の拡大、彼らのネットワークにおける(サービスの)無制限の利用だ」という。
この人物は、パンデミックを封じ込めるために導入された規制による経済活動の収縮は、法人のプロジェクトに直接的に関係しているM2M通信の進捗を含め、業界に影響する可能性があると指摘した。(2020年4月8日付けバロール紙)