COVID-19の封じ込めで中国が外国人船員の検疫隔離措置を導入(2020年4月14日付けバロール紙)

中国政府が13か国の国籍の船員を対象に14日間の検疫隔離措置を導入した。対象となる国には、アメリカとフランス、日本、ドイツなどが含まれる。感染した船員を通じて新型コロナウイルス(COVID-19)が中国国外から持ち込まれるのを回避するのが目的。

中国運輸局海上安全環境部によると、同国内の港湾には1日平均約500隻の貨物船で7,000人の船員が国外から到着しており、その一部が今回の検疫隔離措置の対象となる。このため現地のコンサルティング会社などは、世界貿易に打撃を与える可能性があると受け止めている。

農務省のオルランド・リベイロ(Orlando Ribeiro)貿易外交局長は今回の措置に関して、ブラジル産農産物の対中輸出には影響しないという見方を示した。「コンテナ不足も発生しておらず、ブラジルは14日間の検疫隔離措置の対象国のリストにも入っていない」という。

同局長によると、これまでのところブラジル政府は、ブラジルの対中輸出あるいはその他の国々への輸出が被害を受けるような相手国の規制を把握していないという。

リベイロ局長はさらに、農務省は他省と協力して中国の状況を見守っており、ブラジルが打撃を受けかねない問題の確認に努めているが、今のところ明確なものはないという。「明確にブラジルにマイナスの影響を与える状況があるかという点で、明確に言い切れるない状態。中国国内にコンテナが滞留してはいるが、ブラジルは被害を受けておらず、ブラジルの競合国の物流コストが上昇している」という。

また同局長は、主な競合国の経済活動が限定的な状況下で、ブラジルの輸出業者の物流コストは今後低下する可能性もあるという認識を示した。

ただし中国国内のブラジル人農事関係者は14日朝、船員を対象にした中国政府の検疫隔離措置が世界の海運ロジスティクスに新たな悪影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしている。

この関係者が発表した文書では、予定されていた船便のキャンセルが波状的に発生する可能性があり、これにより「中国とその他の諸外国がパンデミックによる経済的な打撃から立ち直り始めようする状況下で貨物輸送能力が一時的に減少するかも知れない」としている。

複数のブラジル人農事関係者が言及した中国のコンサルティング会社は、「経済活動が再開すれば自社の船舶に必要なスペースが不足する可能性があるため」、事前に運航計画を策定するよう勧めている。

検疫隔離措置の対象となる船員の国籍はアメリカとオーストラリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、日本、韓国、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス。上海港と寧波舟山港を含む主要な港湾で実施される。(2020年4月14日付けバロール紙)

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