検疫隔離による小売店の閉店が履物業界の生産流通チェーン全体に債務不履行となって圧迫(2020年4月17日付けバロール紙)

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大と3月に国内の履物店の95%が一時的に閉店したことで、履物業界の生産流通チェーンに打撃を与えている。業界では、販売の落ち込みに加えて、閉店をさかのぼる数か月前に発注された製品に対する支払いの遅れという問題も抱えている。

ブラジル皮革・履物・工芸品用コンポーネント会社協会(Assintecal)によると履行遅滞など債務不履行の水準は、通常なら平均で6%から7%で推移するところ、70%前後まで急激に上昇したものと推定している。「履物メーカーの生産流通チェーンには、ドミノ効果が存在する。店舗を閉店すれば小売会社はメーカーに対して発注のキャンセルあるいは発送の停止、支払期日の先送りをメーカーに求める。履物メーカーも、コンポーネント業界に同様の対応を取る」と、Assintecalのイルセ・ギマランエス(Ilse Guimarães)執行理事は言う。

リオ・グランデ・ド・スル州ノーヴォ・アンブルゴ(Novo Hamburgo)市に拠点を置く塗料・ステッカー・メーカーのキリング(Killing)のミルトン・キリング(Milton Killing)社長は、「検疫隔離措置によって小売業界では履物メーカーに対する債務不履行が生じ、それと同じことが我々にも波及してきた」と話す。同社長によると、それでも履物メーカーはコンポーネント・メーカーが資金繰りに苦しんでいることは認識しているという。同社は債務不履行以外にも、3月と4月の受注量が60%も急落するという問題にも直面している。「顧客が要求するのは基本的に、掛け売りの決済期日の先送りだ。今のところ当社は、良好な取引をできている」と同社長はコメントした。

リオ・グランデ・ド・スル州ポルトン(Portão)市に拠点を置き皮革処理や履物用の化学品を製造するMKキミカ(MK Quimica)の場合、顧客の履物メーカーのおよそ40%で債務不履行が発生しているという。残りの20%についても、決済期日の先送りを再交渉した。「受注もこの期間に大幅に落ち込み、キャッシュ・フローが大きく減少した」と同社のヴィヴィアーネ・コーグラー(Viviane Kogler)マーケット担当取締役は話す。

MKキミカの場合、履物メーカーからの受注量は3月が30%減、4月は99%減だという。「今週になって一部のメーカーが操業を再開し発注し始めている。だがその発注は中断していた納品の再開であり、新規の受注というわけではない」とヴィヴィアーネ取締役はコメント。また同社によると債務不履行となった支払に関する条件の再交渉は、訴訟を避けるためのものだという。「現在の状況は、誰にとっても平等に厳しいものだ。話し合って、可能なら手を差し伸べる時で、けんかをする時ではない」とヴィヴィアーネ取締役は説明した。

サンパウロ州セルキーリョ(Cerquilho)市に拠点を置く合成ラミネートメーカーのシパテックス(Cipatex)は、3月の初旬から支払いを遅らせて欲しいという要望が「雪崩のように」舞い込んできたという。シパテックスのマルセーロ・ニコラウ(Marcelo Nicolau)社長によると「顧客の大部分が決済期日の先送りを求めており、現状、ほぼすべての顧客と協議を進めている。それだけでなく、すでに債務不履行となり交渉に向け努力しているものもある」という。

ブラジル履物工業協会(Abicalçados)は、業界の債務不履行に関する統計データを把握していない。だが、同協会のアロルド・フェレイラ(Haroldo Ferreira)会長は、事実上すべての小売店が、受領済みの商品に対する支払期日を90日先送りするよう求めていると話す。

また債務不履行以外に、履物メーカーの売上は、3月に49%減、4月には50%を上回る減少に直面している。「3月に業界のメーカーの60%が操業を停止した。一部は操業を再開しているが、その水準は生産能力の25%、あるいは50%、75%だ。業界企業の内部留保は払底しており、銀行から融資を受けることもできない」とフェレイラ会長は付け加えた。

収入が急減したことで、履物メーカーは過去30日間で全体の6.3%に相当する1万7,000人を解雇した。

この状況はコンポーネント業界にも波及している。Assintecalによると、第1四半期におけるコンポーネント販売は前年同期比-20%だった。イルセ執行理事は、「履物の生産・販売チェーンは、店舗の営業再開、それも国内販売、とりわけ最大の消費者を抱えるサンパウロ州の販売回復に強く依存している」という。

2019年の場合、国内で製造された履物の89%がブラジル国内で消費された。しかも国外市場は、国内市場よりもはるかに良好と言える状況にもない。国際履物協会によると、世界の履物販売量は2020年に、パンデミックの影響で前年比-22.5%となる見込みである。(2020年4月17日付けバロール紙)

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