パンデミックによりブラジルで1,500万人が貧困層に転落と世銀が試算(2020年4月20日付バロール紙)

検疫隔離措置が雇用と所得に打撃を与えるために新型コロナウイルス(COVID-19)は、政府が社会プログラムを効率的に拡大させられず雇用を維持するために企業を支援できなければ、570万人以上のブラジル国民を貧困層に転落させる可能性がある。

バロール紙が入手した試算で世界銀行が示したもので、このことは1日の1人当たりの収入が1.90ドル未満という貧困層を60%増加させ、1,500万人に拡大させることを意味する。ただし、この基準はブラジルのような平均的な所得の国々で使用されるものとしては貧困層に相当する。そこでブラジルなりの条件を適用すると、極貧(貧困)層の比重は、2019年の4.4%から2020年には7%に上昇することを意味する。

世界銀行はさらに、1人当たりの1日の所得が5.5ドルという「困窮度がよりソフトな」貧困層が増加する可能性もあると受け止める。激しい所得の落ち込みにより、国内の貧困層の比率は2019年に19.5%だったものが2020年には22.4%に拡大する見込みだ。この所得減で、620万人のブラジル人が貧困層に転落することになる。

世界銀行の貧困及び格差に対する研究プログラムのシニア調査員でコーディネーターのフランシスコ・フェレイラ氏はこの試算について、ブラジルのGDP成長率が2020年に-5%を記録するという現時点での予測を前提にしていると話す。

ワシントンに活動拠点を置くフェレイラ氏は、「直面している課題の大きさは、過小評価していいものではない。生産と所得が明らかに5%も落ち込んだことは、2015年から2016年にかけて記録した損失から回復すらしていない状況下で、甚大な被害というべきだ」と言う。

同氏はさらに、COVID-19による経済的打撃はとりわけ非正規労働者、それもサービス業を中心により大きな影響が出ると指摘する。仕事がなく、失業保険も受け取れないこれらの労働者と家族は、極めて高いリスクにさらされていると同氏は指摘。

その上で、「幸運にも実施に移されているが、公共政策による対応がなければ、さらに多くの人が飢餓を経験する。パンデミックがブラジル国内だけでなく世界で、所得格差を拡大することにみじんも疑う余地はない。問題は、この所得格差の拡大がどれぐらいの期間にわたって継続するのかだ」と付け加えた。

連邦政府は、非正規労働者で構成家族1人当たりの所得が最賃の半額(522.50レアル)の労働者、あるいは家計収入が最賃の3倍(3,135レアル)以下の労働者に対して、600レアルを支払うことを決定した。連邦貯蓄銀行(CEF)は4月29日正午までの時点で、1,790万人に対して総額122億レアルの緊急支援を支払っている。

加えて連邦政府は、正規雇用に対しても最大で70%の労働時間と賃金の削減を認める雇用削減回避策を打ち出している。この場合、失業保険の前倒しの支払いという形で、労働者の収入減の一部を補填する。

フェレイラ氏は、18年前に立ち上げられた家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムと社会政策の単一登録制度を通じて開発された社会政策制度の重要性を強調した。この制度が整備されていなければ、一連の所得支援を最貧層の人たちに迅速に届けることは不可能だったと同氏は話す。

「幸いにも連邦政府は、ボルサファミリアの登記待ちの行列をなくし、月額600レアルのベーシックインカムなど、様々な対処を次々に打ち出した。この支援金が効果的に分配されれば、貧困の増加に対処する上で非常に効果的で、場合によっては貧困層の増加という打撃を中和することすら可能だ」とフェレイラ氏はコメントした。(2020年4月20日付バロール紙)

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