当初は売上で前年比約+11%、数量ベースで+8%と2020年の業績を予想していたサンゴバン・グループが、下方修正した。3月中旬まで、同グループの業績はこの当初の見通しを上回る状況だったが、3月20日以降に景気の後退と新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに伴う様々な制限により販売が急落した。同社でブラジルとアルゼンチン、チリをまとめるティエリー・フルニエ社長によると、「需要は急激に落ち込んだ」という。
パンデミックによって生じた影響をすべて把握するのは現時点では不可能だとした上で同社長は、サンゴバン・グループがすでに2019年と比較して少なくとも10%から15%の業績悪化を予想していることを明らかにした。「状況は非常に不透明だ。経済の歯車がいつ動き出すのかも分からない」とフルニエ社長は言う。2019年にはグループの国内売上は+6.5%、販売量は3%から4%程度の成長を記録。全体では、2019年に81億ドルの売上を計上した。
2020年に予定した4億レアルの投資は、資金流動性を維持するために半額に削減した。サンゴバンは今後3か月から4か月で2020年の投資を従来規模に復活させるかどうかの判断を下す。
同グループがブラジル国内に保有する57か所の工場の内、7か所の工場で生産を一時的に停止している。操業停止の理由は、5か所が需要の不足、残り2か所は地方自治体が定めた法律に従うために操業を停止した。パンデミック危機の影響は、サンゴバンが展開する様々な事業に異なる影響を生じさせている。
例えば自動車用ガラスは、自動車メーカーが製造ラインを一時的に停止したことを受け、生産を停止した。反対に医療業界向けのPVCとシリコーン、ポリウレタンチューブの製造は、すでに想定を100%上回って推移している。
建築資材分野では、サンゴバンは4月に想定の70%に相当する水準で製造を維持している。同社長によると、建築業界の企業は調達ルートに支障が生じた場合に建築作業を中断せざるを得ないことを懸念して、むしろ発注を継続している。
サンゴバンが建築資材店のテーリャノルテ(Telhanorte)を通じて展開している建築資材の小売チェーンは、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事がCOVID-19の感染拡大阻止を目的とした規制に従い、およそ10日間、営業を停止した。テーリャノルテの営業を再開後、自宅で待機する人が急増したことで日曜大工用の建設資材に対する需要が高まったとフルニエ社長は受け止めている。
4月の連結の業績について同社は、当初の予想の半分程度にとどまると予想している。フルニエ社長によると、「当社は、検疫隔離措置が経営に与える打撃という観点からは、4月が最悪だと確信している」話す。サンパウロ市内の検疫隔離措置が5月11日から緩和されれば、5月は当初の見通しの65%程度に収まる可能性がある。フルニエ社長はさらに、6月に当初の予想の80%、7月には85%に達し、8月は80%から85%の間に収まると予想している。
また同グループが優先的な取り組みとして、次の4点を定めたことを明らかにした。すなわち、「従業員とサプライヤー、パートナー、顧客の健康」と、「資産の保全」、「ビジネスに対する配慮」、「流動性の確保」である。またサンゴバンのビジネスパートナー(顧客及びサプライヤー)らがパンデミック危機をどう乗り越えるかについても懸念していると同社長は付け加えた。
同グループは今のところ、ワークシェアリングに加えて集団休暇と有給休暇を実施することで、レイオフを回避している。今後は必要が生じれば、暫定令第936号(MP 936)で承認された賃金と労働時間を削減する制度の活用を労働組合と協議する。国内で同グループの直接雇用者数は1万3,000人で、この内8,144人を対象に集団休暇中を実施している。またフルニエ社長は、「3週間前に私を含めた当社役員は、パンデミック危機という戦いに挑むため、自発的な給与の削減に取り組み始めた」ことを明らかにした。
サンゴバン・グループは、2020年にブラジルのGDP成長率が-5.3%を記録すると想定して事業に取り組んでいる。パンデミックによって生じた危機への政府の対応について個人的な意見を求めたところ同社長は、「サンゴバンは政治に関してコメントすることは一切ない」と応じた。「政府の対策チームは非常に優秀だ。我々は、我々の業界において存分に働くこととし、彼らの面倒は他人に任せることにする」と結んだ。
フルニエ社長によるとサンゴバンは、サンパウロ州とブラジリア、リオデジャネイロ州などで、建設資材の寄付を通じて野外病院の建設に参加した。このグループは外にも、マスクやその他の個人防護具(PPE)を病院と診療所、非政府組織(NGO)に提供、従業員に対しても寄付に参加するよう奨励している。「困難な時期に、ブラジル人は結束する方法を知っている」同社長はコメントした。(2020年4月27日付けバロール紙)