金融機関を対象に中銀が実施している経済動向調査「Focus」で4月27日に発表された最新の調査結果によると、金融アナリストは、2020年のブラジルのGDP成長率を前回(前週)の-2.96%から-3.34%へさらに下方修正した。Focusで2020年のGDP成長率に関する見通しが引き下げられるのは、これで11週連続。
銀行と証券会社、アセットマネージャー、コンサルティング会社などの予想をまとめたものだが、一連の引き下げは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが経済に与える影響への懸念がここ数週間で高まっていることを反映している。一部では、2020年にブラジルのGDP成長率が5%以上のマイナスを記録するという予想も出始めている。
他方、2021年のGDP成長率に対する見通しも、前回の+3.10%から今回は+3.00%へ若干ながら引き下げられた。部分的なものであっても回復に向かうという当初の楽観的な見方が影を潜め始めた形だ。およそ1か月前には、2021年のGDP成長率の見通しは+2.50%で、そこから上昇を続けて楽観的なムードが拡大していた。2021年のGDP成長率に対する予測の集計を中銀は2017年3月に始めており、+2.5%というのは、ほぼその当時からの傾向である。
今回のFocusでは、2020年のインフレ率の見通しにも下方修正が加えられた。政府の公式インフレ指数である広範囲消費者物価指数(IPCA)に関して市場は、前回+2.23%としていた予想を+2.20%に引き下げた。また2021年のIPCAは、前回と同じ+3.40%と予想している。
過去に的中率の高かった金融機関5社の平均であるTop 5は、2020年のIPCAを+1.56%、2021年のIPCAを+3.10%と予想している。
なお、中銀が定めたインフレ目標の中間値は、2020年が+4.00%、2021年が+3.75%、2022年が+3.50%で、いずれもプラスマイナス1.5%を許容誤差としている。
年末時点のブラジル経済基本金利(Selic)の利率は、2020年が年利3.00%、2021年は年利3.88%と予想している。2021年の予想は、金融機関により3.75%とする予想と4.00%とする予想に分かれたことが原因。なおTop 5は2020年末時点におけるSelicの利率を年利2.50%と予想している。
また年末時点の為替相場について今回のFocusは、平均で2020年を1ドル=4.80レアルと予想しており、Top 5に限定すると5.08レアルと予想していた。2021年末時点の為替相場に関してFocusは、平均では前回4.50レアルだったものを今回は4.55レアルに引き上げた。Top 5は、2021年末の為替相場を5.20レアルと予想している。(2020年4月28日付けバロール紙)