今月6日中銀の通貨政策委員会(Copom)は、新型コロナウイルのパンデミック対応として、ブラジル経済の活性化を目的に現在3.75%の政策導入金利(Selic)を全会一致で、一挙に0.75%引下げ、過去最低となる3.00%に決定、今回の切下げは7回連続での切下げとなった。
2016年8月の政策誘導金利(Selic)は14.25%であったが、2018年末は6.5%、昨年末は4.5%、今年2月5日に開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)では、全会一致で現在4.50%の政策誘導金利(Selic)を0.25%引下げて4.25%に決定、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月15日の臨時会議でFF金利を年利0%~0.25%と設定した後、3月18日のCopomは、Selicを年利4.25%から3.75%に切下げ、今回は0.75%切下げて3.00%と1996年6月に開始した通貨政策委員会(Copom)のSelic金利決定では、過去最低のSelic金利となっている。
パンデミック危機でデフレに近いインフレ指数やブラジル国内経済の停滞で、多くのエコノミストが今回の0.75%のSelic金利の切下げを予想していた。また次回の通貨政策委員会(Copom)での更なるSelic金利の引下げが予想されている。
ブロードキャストプロジェクションの調査によると、58金融機関対象のSelic金利予想では、48金融機関は0.50%引下げの3.25%を予想、10金融機関は0.75%引下げの3.00%を予想していた。
国際通貨基金(IMF)では、今年の世界の平均GDP伸び率はマイナス3.0%と1929年の世界大恐慌以来最悪のGDP伸び率を予想。また今年のブラジルのGDP伸び率はマイナス5.0%を予想している一方で、ブラジル国内のエコノミストはマイナス3.7%を予想している。
新型コロナウイルのパンデミックの影響で、今年3月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、0.07%と統計を取り始めた1995年以降では最低記録、今年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、許容最低値2.5%を下回る1.97%が予想されている。
中銀の最終フォーレポートでは、今年の広範囲消費者物価指数(IPCA)を前回予想の3.0%から2.4%に下方修正、2021年も3.6%から3.4%に下方修正している。
今日の中銀の発表によると、レアル通貨に対するドルの為替がR$5.50並びにSelic金利が3.75%と仮定した場合、今年のIPCA指数を前回予想の3.0%から2.3%、2021年は3.6%から3.2%とそれぞれ下方修正している.
MoneYouサイト並びにInfinity Asset社の調査によると、Selic金利が3.00%のブラジルのインフレ指数を差し引いた実質金利は0.26%と過去最低となる。すべての先進国を含む40国対象の金利調査では、ブラジルの金利高は世界8位まで減少している。
インドネシアのインフレ指数を差し引いた実質金利は2.77%で世界最高金利、2位はアルゼンチンの2.07%、3位はロシアの2.04%、メキシコ並びにトルコは1.71%、マレーシア1.14%、シンガポール0.57%、ブラジルは0.28%で8位、タイ0.24%、インドはマイナス0.02%で10位。一方で英国はマイナス2.46%、ポーランドマイナス2.62%、台湾はマイナス3.98%となっている。