新型コロナウイル感染拡大に伴い、各地方政府は外出自粛令並びに不要不急の職種の閉鎖を発令した影響で、多くの企業が営業停止による売上の急落、経費節減目的で従業員の解雇などを余儀なくされた。
それに対して連邦政府は法人企業救済目的のために、「企業救済並びに雇用保護」として、暫定令MP927号で労働法の柔軟化対応、MP936号で勤務時間短縮並びに労働契約の一時停止対応並びにMP944号で人件費の低金利クレジットの対応策を3月20日に発表、今年12月31日迄有効の暫定令を発令した。
しかし暫定令MP944号では、法人向け特別クレジットとして400億レアルのクレジット枠発表していたにも関わらず、クレジット承認は僅か1.0%に相当する4億1,350万レアルに留まっている。
暫定令MP944号のは、昨年の売上が36万レアル~1,000万レアルの零細・小企業向けの低金利クレジットで、総額400億レアルのクレジット枠が設定されたにも関わらず、大半の零細企業は銀行に提示する従業員の給与証明が不透明であるために、僅か4億1,350万レアルのクレジット承認に留まり、殆ど活用されていない。
営業停止による売上の急落で、月末に銀行口座を擁していないコックや給仕に給与として現金払いを行うレストランやバールが大半を占めているために、経営者は暫定令MP944号の低金利クレジットの活用に困難をきたしている。
ブラジリア連邦直轄地の4,000人が加盟する商店経営者協会(CDL)では、加盟企業の95%は、銀行が要請している給与証明書を提示できないために暫定令MP944号の低金利クレジットの承認が得られていないと指摘している。
新型コロナウイルス感染拡大で壊滅的な売上減少を被っている企業主にとって、暫定令MP944号の低金利クレジットの金利3.75%はduplicate割引による平均金利14.5%と比較にならないほど低金利。また政策誘導金利(Selic)が3.00%まで減少しているにも関わらず、金利が天文学的な特別小切手税と呼ばれる口座借越残クレジット金利は312%を維持している。
暫定令MP944号の低金利クレジットは従業員1名に対して2,090レアルを上限にクレジット返済は6か月間の猶予期間後から最長36回の分割払い。最後のクレジットから60日間の解雇は禁止。クレジット申し込みは6月30日迄となっている。
4月初めに中銀では零細・小企業の1,200万人の従業員が恩恵を受けると予想していたが、1ヶ月後の5月4日の時点では1僅か万9,300企業の30万4,000人がクレジット承認を受けている。