ノルウエー政府系ファンドはVale社並びにEletrobrás社を環境破壊疑惑で投資対象除外を決定(2020年5月13日付けエスタード紙)

ノルウェー銀行(ノルウェーの中央銀行に相当するNorges Bank)は管理下にあるノルウェー公的年金基金(GPFG)は、環境破壊や人権侵害との関連を理由に、世界資源大手のヴァーレ社並びにラテンアメリカ最大級の電力エネルギー会社であるブラジル中央電力公社(Eletrobras)を投資対象から除外すると発表した。

世界中に1兆ドルを投資しているノルウエー政府系ファンド(GPFG)を傘下に持つノルウェー銀行経営審議会は、環境破壊や人権侵害のリスクを懸念して、Vale社並びにEletrobras社に投資してきた資金引き揚げを決定した。 

13日にノルウエー銀行は、パラー州アルタミラ市付近のアマゾン川水系シングー川のベロ・モンテ水力発電所開発に絡む労働条件改善の要求ストなどの労働問題、人権や社会保障など容認できないリスクを抱えているEletrobras社を投資対象から除外した。

一方ヴァーレ社の投資除外対象の理由として、270人の犠牲者を出した2019年1月25日に発生したヴァーレ社のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故は、2015年11月にBHP社との共同事業であるサマルコ社のマリアーナ鉱山鉱滓用ダムの決壊事故発生で過去最悪規模の人身事故となり、有毒物質を含んだ濁流によるドーセ川流域一帯の環境破壊、漁業および農業への壊滅的被害が発生、19人が死亡した事故発生から僅か3年しか経っていないにも拘らず、同じミナス州内で同様の事故が発生していた経緯があった。

ヴァーレ社への投資を撤廃したのは、英国資本のChurch of England社並びに米国の年金ファンドのcaliforniano Calpers社はヴァーレ社の4億200万ドルの債券を放出、オランダ資本Robeco社は、ヴァーレ社を投資リストから除外している。 

またノルウエー銀行は、投資対象の除外リストに、国際コモディティ関連のGlencore社並びにAnglo American社、電力エネルギー企業のCenovus Energy社、Suncor Energy社並びにImperial Oil社を加えている。

ノルウエー銀行がヴァーレ社の投資除外を発表した日に、ヴァーレ社は温室効果ガスの二酸化炭素排出量を2030年までに33%減少、2050年には二酸化炭素排出量がゼロとなる総額20億ドルの再生可能エネルギープロジェクトを発表していた。

Eletrobrás社は、2020年までに100%特別社会還元の「事業そのものに直結する内容」を調査・査定する「ビジネスデューデリジェンス」の実現を目指しており、グループ企業のSPE Norte Energia社並びにUHE Belo Monte社でも実施が予定されている。

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