中銀は、新型コロナウイルスのパンデミック対策として国内経済に及ぼす影響を緩和、解雇の大量発生を回避する目的で一連の暫定令を発表、連邦政府は非正規雇用者、シングルマザーなどの女性の世帯主、個人・零細企業主、社会保障院(INSS)の審査待ちの勤労不可能な高齢者や障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)申請者の救済目的の緊急補助金(auxílio emergencial)である月額600レアル支給を承認した。
ブラジルでは人口の3分の1に相当する貧困層が銀行口座を所持していないために、600レアルが受給できる半数は銀行口座など持ったことがない貧困層が占めているために、市中の現金不足を未然に防ぐために、中央銀行が今月初めに造幣局(Casa da Moeda)に対して、紙幣の臨時増刷を指示している。
連邦政府による外出自粛令並びに必需品以外の小売販売自粛要請措置発表後の2か月間の中銀による紙幣増刷は520億レアルに達し、今月12日の市中の紙幣流通総額は3,115億レアルに達している。
4月に市中に流通した貨幣は前年比20%以上上回っていた上に、緊急支援で注入された紙幣の大半は、危機感を抱いた個人や企業が先行き不安を回避するために、現金で所持していると中銀では分析している。
貧困家庭むけ補助金政策のボルサファミリアの恩典を受けている70%は銀行口座を擁していないために、家族手当として平均200レアルを現金で受け取っていたにも拘らず、連邦政府による3か月間の600レアルの支給で、更に市中の紙幣流通がタイトになるため紙幣増刷を余儀なくされている。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、3月11日の定例記者会見で「新型コロナウイルスはパンデミック(世界的大流行)」と認めた時点のブラジル国内の紙幣の流通量は2,595億レアルであったが、4月1日は2,615億レアルに留まっていたために、中銀は造幣局(Casa da Moeda)に対して紙幣の臨時増刷を要請した。