今年第1四半期のペトロブラスの純益は485億レアルの赤字計上(2020年5月14日付けヴァロール紙)

2020年第1四半期のペトロブラス石油公社の純益は、新型コロナウイルスのパンデミック並びにレアル通貨に対するドル為替の大幅な上昇で485億2,000万レアルの赤字を計上、前四半期の40億3,000万レアルの黒字から一転して大幅な赤字に転落している。

今年第1四半期の同社の売上は前年同期の708億7,000万レアルの6.5%増加に相当する754億7,000万レアルを記録。また税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもので総資本に対してどの程度のキャッシュフローを産みだしたかを簡易的に示すEBITDAは2.7%増加の375億レアルを記録している。

ペトロブラスの今年第1四半期の純決算は211億8,000万レアルの赤字で前四半期の3倍に相当、前年同四半期の84億2,000万レアルの赤字の151%に相当する大幅な赤字を計上している。

ペトロブラスの第1四半期の手持ちの運転資金は837億6,000万レアルで前四半期の333億1,000万レアルを151%上回っている。

今年第1四半期の純益は485億レアルの赤字を計上したが、会社の財政や持続的成長を損なうものではない。2014年~2015年にかけての財政危機やラヴァ・ジャット汚職事件によるモラル喪失時とは比較にならないと同社のロベルト・カステロ・ブランコ総裁は説明している。

また今年第1四半期の運転資金残高は155億レアルを記録。「手持ちの現金を保有することは短期的には利益率に悪影響を及ぼすが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で不透明な期間の対応として、非常に重要」とブランコ総裁は説明している。

リーマンブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機の影響を受けた2008年~2009年と比較すると、今回の危機のシナリオは世界経済の非常に遅い景気回復に伴う燃料需要の遅い回復が異なっている。

今回のパンデミック危機は一般家庭、企業や政府のファイナンスに多大なダメージを与え、また2021年迄待たなければならないコロナウイルス対応ワクチン、継続する米中貿易摩擦は更に世界経済の回復を遅らせる要因となる。

新型コロナウイルスのパンデミック対応するための公衆衛生措置である社会的距離保持などは世界経済リセッションに繋がり、世界の石油・ガス産業は過去100年間で最悪の危機に直面しているとブランコ総裁は指摘している。

今年3月末のペトロブラスの負債総額は前四半期比19.6%増加の3,802億レアル、前年同四半期の負債総額3,722億レアルを僅か80億レアル上回っている。

今年3月末のペトロブラスのEbitda有利子負債倍率は2.73倍と前四半期末の2.46倍から上昇したが、2019年3月末の3.19倍から大幅に減少している。また今年3月末のペトロブラスのドル換算の純負債は731億ドルと昨年3月末の955億ドルと比較して200億ドル以上減少、Ebitda有利子負債倍率は昨年12月末の2.41倍から2.15倍に減少、昨年3月末の3.10倍から大幅に減少している。

同社の第1四半期の投資総額は前年同期比6.1%増加の24億ドルを記録した一方で、前四半期比では87.7%と大幅に減少している。2018年~2022年の5か年投資計画の投資総額は745億ドルが見込まれている。

ペトロブラスは負債軽減の一環としてコア事業以外のポートフォーリオ売却を積極的に進めており、Petrobras Oil & Gas B.V. (PO&GBV) 社を売却。またバイア州陸上油田鉱区Polo Tucano Sulを2億7660万ドルでの売却契約を結んでいる。

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