ブラジルの4大銀行は、新型コロナウイルスのパンデミック危機対応として、企業倒産に備えて昨年第1四半期を100億レアル上回る280億レアルに達する貸倒引当金を手当てする。
新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響による企業倒産に備えて、ブラジル4大銀行のイタウー銀行並びにブラデスコ銀行、サンタンデール銀行、ブラジル銀行の今年第1四半期の貸倒引当金総額は、純益137億レアルの2倍以上に相当する280億レアルを引き当てている。
中銀によるパンデミック危機に対する銀行システムの能力評価するためのストレステストでは、壊滅的なシナリオでの信用損失に対応するためには、貸倒引当金総額が4,000億レアルに達する可能性がある。
最悪の場合の企業の不渡りは、クレジット総額が8,930億レアルの29%の企業の可能性があり、ラヴァ・ジャット汚職問題発生した2016年の銀行の貸倒引当金814億レアルを上回る可能性がある。
エコノミストは4月中旬まで登記所が閉鎖していたために、破産手続きなどは登記されていないが、今から企業倒産件数が大幅に増加すると指摘。今年第1四半期のクレジット関連の不渡りは僅かな増加に留まったが、1年未満の運転資金関連の不渡りは1.4%増加、クレジットカードは0.4%増加、duplicata割引は0.3%増加している。
サブプライム問題を発端とする世界金融危機の2008年のクレジット関連の不渡りは50%増加、ラヴァ・ジャット汚職問題の2014年~2016年のクレジット関連の不渡りは60%増加していた。
パンデミック当初から400億レアルに達する個人向け並びに法人向けクレジットに対して、60日~180日の支払い延長を実施して不渡り増加を抑制しているとAustin Rating銀行アナリストのLuis Miguel Santacreu氏は説明している。
全ての企業は延命のために従業員の時短やサラリー削減などで最大限のコスト削減で運転資金を最大限に確保しているが、今後は先延ばししていたサプライヤーへの支払い停止に追い込まれるとTrevisan社のVanDyck Silveira社長は指摘している。
企業の支払い遅延のクレジット総額は930億レアル、このうち60%の企業は民事更生法を申請すると予想、残りの40%は企業倒産若しくは倒産引き延ばしを図るプロセスを採用すると企業再編に取り組むコーポレート・コンサルティング社エコノミストのLuis Alberto de Paiva社長は指摘している。