5月の新車販売は4月並みの最悪の繰返し予想(2020年5月25日付けエスタード紙)

4月初め15日間の新車販売結果から予想すると、2020年5月の新車販売台数は4月の5万5,700台並みに留まると予想、過去21年間で最低の販売台数を繰り返しになると予想されている。

また各自動車メーカーは、新型コロナウイルスのパンデミック危機の3月下旬から運転資金不足を訴えているが、連邦政府による低金利の自動車業界向け特別クレジット枠を要請している。各自動車メーカーでは今後3か月間の操業維持のために、サプライヤーへの支払いやディーラーへの支援などで400億レアルの緊急クレジットの必要性を強調している。

自動車メーカーは連邦政府に対して、新型コロナウイルスのパンデミック危機対応策として、社会経済開発銀行(BNDES)並びに低金利で返済期間を考慮した民間銀行の特別クレジット枠を要請している。

一方連邦政府や州政府の税制クレジット債権250億レアルを特別クレジットの担保の一部として提供すると全国自動車工業会(Anfavea)のLuiz Carlos Moraes会長は説明している。

中銀はパンデミック危機対策として1兆2,000億レアルのクレジットを容認したにも拘らず、各銀行が不渡りを警戒して大企業にもクレジットが届いていない。仮にクレジットが開始しても年利20%で支払い開始猶予期間が短いクレジットになるとMoraes会長は指摘している。

今年3月末の自動車業界の銀行システムによるクレジットの負債総額は370億レアル、そのうち70億レアルは今年第1四半期の新規クレジットとなっている。

今までのブラジルの自動車業界の危機時には、本社から借り入れていたが、新型コロナウイルスのパンデミック危機は世界中の自動車産業に影響を及ぼしており、本社への借入要請ができない。今年第1四半期の本社からのブラジル支社への借入は27億ドルに達している。

今年第1四半期のブラジルの自動車業界への直接投資は僅か2億2,300万ドルに留まっているが、2016年の危機時の各四半期の平均直接投資は16億ドルであった。

今回のパンデミック危機はブラジル支社だけでなく本社の経営を直撃しており、各自動車メーカーは本社ともども運転資金不足に陥っており、2年後の新型モデル投入向け投資の中止を余儀なくされているとPrada Assessoria社のLetícia Costaパートナーは、自動車業界の窮地を説明している。

ブラジルの経済と財政の将来的な見通しが悪化、国内の政治状況が混乱、ブラジルが新型コロナウイルス蔓延の悪影響を強く受けていることなどでブラジルの格付けリスクが高まっている。

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