(ZOOM)経済回復に向けた支援策をWebセミナーで語るマルセロ次官

2020年5月26日午後4時30分から6時までKPMG主催のポルトガル語によるテーマ 「経済回復に向けての政府支援策」Webセミナー開催。初めにKPMGのブラジル及び南米管轄マーケットリーダーのアンドレ・コウチーニョ氏(Andre Coutinho)が開催挨拶及びセミナー開催趣旨について説明。

次いで経済省のマルセロ・グアラニース次官(Marcelo Guaranys)は、「経済回復に向けての政府支援策」、新型コロナウイルスのパンデミック危機対応策として、連邦政府による低所得者層5500万人向け緊急補助金(auxílio emergencial)、当初200レアルの支給~600レアルの3か月間の給付。800万人を対象に勤務時間短縮や労働契約の一時停止対応の暫定令MP936号、「企業救済・雇用保護」措置の暫定措置令MP927号及び新型コロナウイルス(COVID-19)による地方政府の税収減少に対する補填の救済政策の3点について述べた。また困難をきたしている地方公務員の1年半の給与調整の先送り問題、COVID-19終焉に向けた医療機器に対する免税、問題の多い銀行クレジット政策について説明した。

さらに新型コロナウイルス問題の終焉後のブラジル経済の持続的成長に向けた政策、昨年の年金改革に続く行政改革や税制改革など一連の構造改革、遅れている公社民営化による連邦政府の負債軽減の他インフラ整備事業のコンセッション入札、競争力強化、教育の底上げ、ホームオフィスの定着による労働やライフスタイルの変化などについて説明した。

KPMG政府関係担当リーダーのマウリシオ・エンドウ氏(Mauricio Endo)が、零細・小規模企業共済のためのクレジット拡大の必要性や規定、暫定令996号、国家零細・小規模企業支援プログラム(Pronampe)の承認についてコメント。同次官はパウロ・ゲーデス経済相やアフィフ・ドミンゴス補佐官との中小企業救済における協議などについて言及した。

質疑応答では、新型コロナウイルスのパンデミック危機対応の救済政策による政府の負担、最も政府の援助を必要としている貧困層への早急な支援金配布、郵便公社や空港などの民営化による連邦政府の負債軽減、自由貿易協定の促進、早急なクレジット問題などを挙げた。

事務局長は講演の直後、Mauricio Endo 氏に、以下2点について率直に意見交換を行った。

1)Marcelo Guaranys次官が「ブラジルは今でも他国に比べ、まだまだ閉鎖的経済が続いている。今後も政府の基本政策、競争力を高めるため市場開放を貫く(14%の関税を4%を目標に引き下げ)」と言及した事に触れ、平田事務局長は「今回のWebセミナーはブラジル政府のパンデミック出口戦略やその方向性を探る上で極めて意義が大きい。特に当所進出会員企業のうち約半分を占める製造業にとっては、今後のサプライチェーンの世界的な枠組み再編成に備え重要な企業戦略の一つだとコメント。

2)また近々起こりうるデフレに備え、政府は現代貨幣理論(MMT:自国通貨建て政府債務を拡大、赤字国債発行)にも共通な臨時的な大型財政出動についてはあまり具体的な言及がなかったがと前置き、日本政府による過去20年間の緊縮財政=プライマリバランス収支黒字化政策(過去20年間のGDPゼロ成長)がパンデミックにより一挙に180度方向転換、大型財政出動に踏み切った事を引き合いに、Mauricio氏とインフレ国ブラジルにおけるその実践功罪について率直に意見交換。しかし、Marcelo Guaranys次官が昨年からの懸案課題であった行政改革や税制改革等について政府は手綱を緩めずに適切な時期にしっかりと実行するとの発言で安堵したと個人的な見解を述べた。

Foto: S. Kusakano / CCIJB

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