韓国とメルコスールとの自由貿易協定締結でブラジル産業の51部門が悪影響を受ける(2020年5月26日付けエスタード紙)

今年4月にブラジルが加盟しているメルコスールと韓国との自由貿易協定締結は、ブラジル製品に損害を与え、更に貿易収支赤字が70億ドルに拡大するために、全国工業連合会(CNI)は連邦政府に対して協定交渉の中止を要請していた。 

メルコスールと韓国が自由貿易協定を締結すればブラジル国内産業部門の51部門が悪影響を受ける一方で、僅か11部門が恩恵を受けると全国工業連合会(CNI)の調査で判明している。

メルコスールと韓国の自由貿易協定の交渉は進展していたにも関わらず、新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で交渉の進展が遅れがちとなっているが、特定部門の交渉除外や関税の完全な排除などの交渉が残されている。

農畜産部門、鉱業部門、製造業部門並びにサービス業部門の大半は、韓国との自由貿易協定締結による輸入関税撤廃で、GDP伸び率が減少するとCNIのシミュレーションテストで判明している。

韓国との自由貿易協定締結で鉱工業部門の21セクター、サービス部門の18セクター、製造業部門の4セクター、農畜産部門の8セクターで悪影響を受けるが、11セクターは恩恵を受けるとシミュレーションテストで判明している。

韓国とメルコスールとの自由貿易協定締結で韓国側はブラジルの8倍に相当するセクターで恩恵を受ける。「パンデミック危機や経済リセッション時の自由貿易協定締結で大半のセクターが悪影響を受けるのは意味がない。相互利益の望める米国やメキシコとの自由貿易協定締結を優先すべき」とCNI工業開発担当のCarlos Eduardo Abijaodi理事は説明している。

韓国の輸出は中国に次ぐ世界2位の反ダンピング対策の標的になっており、あるセクターでは実質的に価格競争にならないとCarlos Eduardo Abijaodi理事は指摘している。

韓国とメルコスール加盟国との自由貿易協定は、90%の製品の貿易関税の撤廃が織り込まれているが、韓国は既に中国、インド並びにトルコとのFTAを締結している。メルコスールは20%の輸入関税を課しており、一般特恵関税制度は適用していない。2019年の韓国との貿易収支はブラジル側の12億5,600万ドルの赤字を計上していた。

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