新型コロナウイルスのパンデミック危機で先行き不透明のシナリオにも拘らず、ペトロブラス石油公社は、海外市場での社債発行で32億5,000万ドルのキャッシュフロー調達に成功した。海外投資家のペトロブラスの社債購入の需要総額は、社債発行総額の5倍に相当する160億ドルに達していた。
ペトロブラスの社債発行の幹事会社は、Petrobras Global Finance社をリーダーに2種類の社債を販売、償還期間が10年で利回り(yield)が5.60%の社債を15億ドル、もう一つは償還期間が30年で利回りが6.90%の社債を17億5,000万ドル発行している。
同社の社債発行の主幹事会社は、償還期間が10年で利回り6.0%で当初設定していたが、利回りは0.40%引き下げて5.60%に変更していた。また償還期間が30年で利回りが7.30%で初期設定していたが、利回りを0.40%引き下げて6.90%に変更した。
「新型コロナウイルス発生後で、ブラジル企業では海外での社債発行による資金調達は初めてとなったペトロブラスは海外投資家の間では知名度が高く支持を得ていたために成功した」とBNP Paribas社ラテンアメリカ担当のAndré Silva取締役は説明している。BNP Paribas社はBank of America社、Itaú BBA社、 J.P. Morgan社, Scotia Capital社並びにSMBC Nikko社と共同で、ペトロブラスの社債発行を担当した。
新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響を受けているにも関わらず、今回のペトロブラスの海外での社債発行による資金調達の成功は、ブラジル資本の他の大企業の礎になるとAndré Silva取締役は説明している。
ブラジル国内では償還期間が短期の社債発行による資金調達需要はあるが、10年から30年の長期社債発行の需要はない。海外でのブラジルの10社や20社単位の大企業向け長期社債発行の需要はないが、数社であればキャッシュフロー調達は、可能とItaú BBA社投資担当のFelipe Wilberg取締役は指摘している。
新型コロナウイルスのパンデミック危機の影響で、海外での資金調達は閉鎖されていたが、石油の国際コモディティ価格の回復並びに米連邦準備理事会(FRB)による新型コロナウイルスへの対応として無制限の量的緩和(QE)のタイミングで、ペトロブラスは海外市場での資金調達を行った。