COVID-19パンデミック危機の影響でブラジルの国内経済縮小による歳入減少の一方で、地方政府や企業や労働者救済のための膨張一方の歳出の影響で、中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支は、過去最悪の赤字を計上している。
2020年5月の中央政府の財政プライマリー収支は、1,266億900万レアルの赤字を計上、統計を取り始めた1997年以降の月間赤字としては過去最悪の赤字計上を記録している。経済省では2020年の中央政府の財政プライマリー収支は、失業者や非正規雇用向け救済政策が延長されれば今年の許容目標赤字1,241億レアルを遥かに上回る8,000億レアルの赤字に達する可能性を余儀なくされている。
今年5月の中央政府の財政プライマリー赤字は、過去最高の赤字を記録していた4月の929億200万レアルを上回ると予想されていた。国庫庁のマンスエット・アラメイダ長官は、COVID-19パンデミック危機対応の緊急救済措置向けの歳出拡大で今年第2四半期の財政プライマリー赤字は過去最高になると予想している。
COVID-19パンデミックによる外出自粛要請や必需品以外の営業自粛などに伴って、3月末から地方政府(州・市)の税収による歳入は減少を続けており、今年5月の地方政府の歳入総額は、国庫庁による税徴収の先送りも一因となって前年同月比36.9%減少している。
また国庫庁の緊急救済措置などの534億レアルに達する臨時歳出で、今年5月の歳出総額は前年同月比68.0%に達している。Austin Rating社チーフエコノミストのAlex Agostini氏は、5月は社会保障院INSSの13か月目サラリーの前払いの要因で、今年の財政プライマリーの最悪の赤字で底を打ったと予想している。
また今後6か月間の財政プライマリーの平均月間赤字は620億レアルになると予想している。今年初め5か月間の財政プライマリー赤字は2,224億6,800万レアルで記録更新したが、公的機関の債務回収、司法上の支払い命令が出されている個人や法人向けなどのプレカルトリオの200億レアルの支払いの先送りをしている。今年初め5か月間の国庫庁の歳入総額は前年同期比14.2%減少、歳出総額は20.8%増加している。
今月28日までの国庫庁の公式な今年の財政プライマリー赤字はGDP比9.5%に相当する6,760億レアルであったが、マンスエット長官は、緊急救済プログラムの延長で、今年の財政プライマリー赤字はGDP比11.5%の修正を余儀なくされている。