ブラジル地理統計院(IBGE)の月間鉱工業部門生産調査によると、220年5月の鉱工業部門生産は前月比7.0%と大幅な増加を記録した要因として、4月の鉱工業生産がCOVID-19パンデミックの影響で、外出自粛並びに必需品以外の営業自粛要請で製造業部門の生産が壊滅的な打撃を受けて前月比マイナス18.8%を記録していた経緯があった。今年3月も前月比マイナス9.2%を記録していた。
5月の鉱工業部門生産の前月比7.0%増加は3月並びに4月の鉱工業部門生産のマイナス26.3%をカバーするには至っていない。今年5月の鉱工業生産は前年同月比で7ヶ月連続でマイナスを記録、また統計を取り始めて過去2番目のマイナスを記録している。
ブロードキャストプロジェクションの36社の金融機関並びにコンサルタント会社対象の調査では、5月の鉱工業部門生産の平均伸び率予想はマイナス6.15%、最低予想はマイナス12.20%、最高予想はマイナス1.90%であった。
今年5月の鉱工業部門生産は、前年同月比マイナス21.9%を記録して7か月連続でマイナスを記録、ブロードキャストプロジェクション調査の平均伸び率予想のマイナス22.2%に接近している。5月の過去12か月間では、マイナス5.4%で2016年12月のマイナス6.4%に次ぐ後退を記録、今年5か月間の鉱工業部門生産は、マイナス11.2%と二桁台の減少を記録している。
ブロードキャストプロジェクションの調査によると、2020年の鉱工業部門生産の平均伸び率はマイナス9.8%、最低予想はマイナス14.50%、最高予想はマイナス5.40%となっている。
「COVID-19パンデミックの終焉が不透明で、消費需要回復や増産のための投資が予想よりも大幅に遅れるために、ブラジルの鉱工業部門生産の回復は遅れる。今年のブラジルのGDP伸び率をマイナス7.3%」とReag Investimentos社チーフエコノミストのSimone Pasianotto氏は予想している。
ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)では、今年第2四半期の鉱工業部門生産は、マイナス19.80%と過去最低を予想、今年の鉱工業部門のGDP伸び率はマイナス11.50%、ブラジルのGDP伸び率はマイナス6.40%と予想している。
2020年5月の鉱工業生産は前月比7.0%増加、前年同月比マイナス21.9%、今年初め5か月間ではマイナス11.2%、5月の過去12か月間はマイナス5.40%、3月~5月の四半期平均はマイナス8.0%を記録している。
2020年5月の鉱工業部門のセクター別生産比較では、5月の資本財セクターは前月比28.7%増加、前年同月比マイナス39.4%、今年初め5か月間ではマイナス21.0%、過去12か月間ではマイナス9.6%を記録している。前期同様に中間財セクターは5.2%増加、マイナス14.6%、マイナス6.7%、マイナス4.2%となっている。
消費財セクターは14.5%増加、マイナス31.0%、マイナス17.1%、マイナス6.3%、そのうち耐久消費財セクターは92.5%増加、マイナス69.7%、マイナス37.1%、マイナス14.7%、非耐久消費財セクターは8.4%増加、マイナス19.3%、マイナス11.2%、マイナス4.0%であった。