繊維工業部門の今年下半期の回復は緩やか(2020年7月6日付けヴァロール紙)

2020年のブラジルの繊維工業部門生産は、3月下旬からのCOVID-19パンデミック危機の影響で、減産や生産中止を余儀なくされていたが、下半期から緩やかな回復曲線での生産増加が見込まれている。

今年の繊維工業部門生産は前年比13.0%~20.0%の減少が見込まれており、経済リセッションの2015年~2016年間の累積17.0%の生産減少を上回る打撃を被るとブラジル繊維工業会(Abit)のフェルナンド・ピメンテル会長は悲観的な予想をしている。

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間鉱工業部門生産調査によると、今年初め5か月間の衣類やアクセサリー生産は前年同期比34.3%下落、繊維製品生産も21.4%と大幅な下落を記録している。

「COVID-19パンデミック危機の影響で、今年上半期の繊維工業部門の設備稼働率は25.0%~30.0%に留まったが、多くの繊維メーカーが医療用キットやマスクなどの不織布製品や医療消耗品などの臨時生産で窮地をしのいだ。COVID-19パンデミック前の手術用マスクの月間需要は3,500万枚であったが、パンデミック後は1億5,000万枚と5倍の特需になった」とピメンテル会長は指摘している。

7月からの小売販売の再開で繊維業界は緩やかな回復に向かうと予想。ブラジル繊維工業会(Abit)では、今年の繊維工業部門の設備稼働率は65%~70%に留まると予想している。繊維業界関係者の68%は、今後12か月間でパンデミック前の水準まで戻ると予想。30%は今後6か月間で正常になると予想している。

ブラジル国内の繊維製品の生産の27.0%を占めるサンパウロ州の繊維工業部門の経営者の54%は、今年初めの繊維生産レベルに戻るのは6ヶ月間と予想、25%は7か月間~12か月間を要すると予想している。

調査対象の企業経営者の67%は、現在の設備稼働率は50%以下と回答、完全に回復するのは来年になるとサンパウロ州繊維工業組合(Sinditêxtil-SP)のLuiz Arthur Pacheco会長は指摘している。

COVID-19パンデミック対応の3か月間限定の勤務時間短縮並びに労働契約の一時停止対応の暫定令936号の終了後の国内経済の動向をPacheco会長は憂慮している。

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