スザノ製紙は2030年までに年間1,000万トンのバイオポリマー生産(2020年7月28日付けヴァロール紙)

スザノ製紙は、石油派生品にとって代わる環境にやさしいバイオマスを原料に製造されるバイオポリマーのバイオマスプラスチックを2030年までに年間1,000万トンの生産計画を立てている。

世界最大のユーカリを原料としたパルプ生産メーカーのスザノ製紙は、ユーカリを原料とした再生可能のバイオプラスチック生産の準備を整えて開発を急いでいる。

過去数年間のブラジルの紙・パルプ業界は再編が進んでおり、2018年にはFeffer一族が所有するブラジル製紙業界2位のSuzano Papel社は、業界トップのFibria社を278億レアルの株式交換で吸収合併に成功、時価総額で世界最大の短繊維パルプメーカーが誕生していた。

スザノ製紙のWalter Schalka社長は、ユーカリの短繊維パルプが70%、石油派生品のプラスティックが30%で構成されるバイオポリマー生産の技術を既に擁している。同社ではポリエステルや綿花に代わるナノテクノロジーを用いた繊維の商業化を進めており、多種多様な商品を市場に投入するが、それぞれの新商品のリリース時期は明記していない。

スザノ社は、フィンランド資本のスタートアップ企業Spinnova社に25%の資本参加、バイオマス由来ポリマー素材・製品の事業を手掛ける米国資本Ensyn社同様のパルプ由来の繊維の試験的生産を行っている。

スザノ社のサンパウロ州リメイラ工場では、年間2万トンのリグニンを抽出、7,000万レアルを投資して南米ではパイオニア工場となっている.

スザノ社は2030年までに地球温暖化防止や化石資源への依存度低減にも貢献するために、バイオプラスティック生産を加速。4,000万トンの二酸化炭素排出量の削減と20万人の貧困層の救出を目指している。

またスザノ社は自社工場からの二酸化炭素の15%の排出削減、埋め立て用廃棄物量の70%の削減、15%の水資源の削減を目指している。

スザノ社は環境保全の点から見て適切で、社会的な利益に適い、経済も継続可能な、責任ある管理をされた森林や、林産物の責任ある調達に対して与えられるFSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)の認証を受けている。

消費者は、このFSCのマークが入った製品を買うことで世界の森林保全を応援できる仕組みであり、アマゾンの熱帯雨林保全対策などで批判にさらされているブラジルの環境問題対策のイメージ改善に寄与できるとSchalka社長は説明している。

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=47435