ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、COVID-19パンデミック対応による外出自粛や必需品以外の営業自粛などの影響で、2020年第2四半期の鉱工業部門のGDP伸び率はマイナス15.4%を記録している。
現在のGDPと潜在的なGDPの差、すなわち実際に生産されたものと総生産能力との格差は、調査開始の1998年以降では最大の格差を記録、最後の鉱工業部門の設備稼働率が高かったのは2013年第4四半期であった。
鉱工業部門生産は今年5月から回復基調に突入、今年第3四半期の生産性は、COVID-19パンデミック前のマイナス5.0%~マイナス7.0%の水準まで戻る可能性があるが、2014年~2016年の経済リセッション前の水準には程遠い。
「今年第3四半期の鉱工業部門生産は更に回復するものの国内需要が弱く、インフラ指数が低迷しているため2014年前の水準には戻らない」とジェツリオ・ヴァルガス財団GDPモニタリング担当のClaudio Consideraコーディネーターは指摘している。
COVID-19パンデミックの最悪の時期が過ぎた9月の鉱工業部門の企業経営者の景況感指数(ICI)は8月よりの7.2ポイント上昇の105.9ポイントと2013年1月以降では最も高い指数を記録している。
9月の鉱工業部門の設備稼働率(Nuci) は、8月の75.3ポイントから78.0ポイントと2.7ポイント上昇、2015年3月以降では最高の設備稼働率(Nuci) に達している。
COVID-19パンデミック期間中の鉱工業部門の従業員解雇数は他の部門よりも少なかったために、生産開始プロセスがスムーズに進んだ。今年第2四半期に解雇されたのは1,070万人に達したが、製造業部門の解雇は100万人に留まっていた。
今年第2四半期の民間部門の全部門の雇用総数は前年同期比でマイナス13.4%を記録、そのうち製造業部門は、時短、レイオフや集団休暇制度採用で、極力解雇を避けたためにマイナス11.1%の減少に留まっていた。
COVID-19パンデミックにも拘らず、第2四半期の鉱工業部門の医薬品・医療化学部門の雇用は30.7%、多様な生産部門は10.6%、機械・装置部門1.8%、情報機器部門は0.8%それぞれ雇用増加していた。
今年第2四半期の鉱工業部門の24セクター中20セクターで解雇が増加、衣類セクターの雇用は前年同期比マイナス22.1%、非鉄金ずくセクターはマイナス21.3%、木材セクターはマイナス19.8%、煙草セクターもマイナス19.4%を記録している。