(ZOOM)グローバル・フード・バリュー・チェーン中南米部会の開催

2020年度第1回GFVC中南米部会は、2020年11月5日午後9時30分から約230人が参加してオンライン会議を開催。初めに農林水産省の池田道孝政務官は、開催挨拶で日本の食料安定供給では200人万人の日系人を擁するブラジルは重要なウエートを占めている。今後のブラジルからの穀物の安定供給でブラジル北東部地域のファイナンススキームの提案、相互の更なる協力体制構築について説明した。

農林水産省国際部の櫻井健二国際調整官は、GFVC協議会の設立趣旨や組織、中南米地域の各国のポテンシャル、中南米における日本進出企業と日本食普及状況、穀物の安定供給の取組や課題などについて説明した。

前川製作所の福本康文氏は、テーマ「中南米における前川グループと取組の現状と課題、政府への要望」では、会社の概要、主要事業分野、中南米の事業拠点及び納入事例。日本政府への要望として二国間協議の推進、インフラ整備、貿易円滑化の経済特区制度の活用を説明した。

続いてソフトバンク社の5G&IoTソリューション本部e-kakashi課の戸上崇博士は、「中南米農業現場でのDX推進と科学的農業実践による課題解決に向けた取り組み紹介」と題して、会社の概要、Our Vision、農業IoTソリューションのe-kakashi。国内における科学的農業の実践では宗像市の事例。中南米の日系農業者の視察受入れ、海外展開プロジェクト紹介。e-kakashiが考える中南米展開のメリット、科学的農業と最先端技術による持続的食糧生産エコサイクルを核とした経済発展モデル。課題・要望事項では通信・電力インフラ、中南米におけるジャパン・イノベーションハブの創設、支援事業並びに企業マッチング及びマッチング後の事業支援を説明した。

豊田通商の加藤氏は、「ブラジル穀物事業における課題と提言」と題して、会社概要、ブラジルのNova Agri社、世界の穀物輸出状況、ブラジル各地域の穀物生産量、最後の穀物フロンティアのマトピバ地域、ブラジルの穀物集荷拠点のイタキ港、食料安定供給の課題、中国向けの一極集中、日本政府への提言では、マトピバ地域のインフラ整備、物流費低減、緊急事態における安定調達先の確保などを説明した。

Brazil Venture Capital社の中山充代表は、「中南米における民間企業の取組」について、課題意識は将来性の高い中南米での日本企業のプレゼンスの少なさ。フードバリューチェーンでの中南米の重要性、体力のない中小企業・スタートアップにとってはラテンアメリカ進出までのステップを考慮した施策の必要性。Brazil Venture Capital社の実績、日本の中小企業・スタートアップが擁するハイテクは中南米進出の非常に大きな余地。日本の農業関連企業とスタートアップ企業との連携及び資金調達、日本政府への提言では日本政府系の支援は全体的には充実も官民合わせた改善の余地、情報の偏在性、応募のハードル、物つくり企業のハードル、中継ぎ不足。リソースの限られた中南米向けのカギはALL JAPANでの取組、成功事例を3つ作るなどについて説明した。また中山充代表は、商工会議所イノベーション・中小企業委員会副委員長やジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブのコーディネーターを務めている。

農林水産政策研究所の林瑞穂氏は、テーマ「アルゼンチン・ブラジル・メキシコの経済・投資環境」では、COVID-19対策と経済パフォーマンス、アルゼンチン・ブラジル・メキシコのそれぞれの市場動向及び留意点について説明した。

独立行政法人 国際協力機構(JICA)中南米部の吉田憲部長は、テーマ「中南米地域における協力」では、中南米・カリブ地域の特性、マクロ面・事業面。開発課題とこれまでの取組例、中南米はJICAにとって次世代協力モデル、海外投資事業ではAMAGGI社の事例、技術協力プロジェクトではスマートフードチェーンのブラジルにおける取組。JICA筑波センターにおける取組、中南米広域FVC強化のための情報収集・確認調査、中南米日系社会との調査団派遣。2021年2月からの中南米・カリブのスタートアップ連携調査などについて説明した。

日本貿易振興機構(ジェトロ)企画部の中山貴弘氏は、テーマ「農林水産物・食品の輸出促進」では、農林水産物・食品の輸出額の推移、アウトカム達成に向けたロディックモデル、輸出に関するジェトロのサポートでは商談会の提供、国内事業向け情報・スキル支援、海外バイヤー向け日本産農林水産物・食品のプロモーション。COVID-19影響下の食品輸出の新たな取り組み、EC(ジャパンモール)事業、バーチャルツアー及び商談会ジェトロのスタートアップ支援、グローバルアクセラレーションハブのサンパウロ拠点や利用企業などを紹介した。

農林水産省国際部の櫻井健二国際調整官は、「第1回GFVC中南米部会農林水産省の取組」では、中南米でのビジネス展開に向けての提案と要望。主要課題、アンケート調査結果から中南米における関心国、関心分野並びにビジネス。第1回GFVC中南米部会参加者の内訳。今後の取組では国別・テーマ別の取組、ホームページの開設、ウエビナー開催、官民連携の枠組みなどを説明。最後の意見交換会が行われた。

 

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