COVID-19パンデミックは銀行の収益性悪化要因(2020年11月9日付けエスタード紙)

ブラジルの大手銀行の企業の業績を測定するために使用される指標の1つである自己資本利益率は、COVID-19パンデミックの数ヶ月間で大幅な落ち込みを余儀なくされている。

この1回限りのCOVID-19パンデミックの悪影響にもかかわらず、金融市場では、COVID-19パンデミック以前の約20%の収益率を回復するのは、各銀行によるフィンテック技術の導入や過去最低の政策誘導金利(Selic)が2.00%を継続している状況では難しいと見込まれている。

COVID-19パンデミックは、各銀行のリスクの低い年金・恩給連動型クレジットや不動産クレジット、小零細企業向け融資制度である国家零細・小規模企業支援プログラム(Pronampe)の支援向けクレジット限定で、収益率の低下を余儀なくされている。これらのクレジットの銀行が資金を調達するために支払うレートと貸し出すレートの差であるスプレッド金利も他のクレジットよりも低率で収益率の低下を招いている。

Economática社の調査によると、今年第3四半期の大手銀行の「自己資本利益率」または「株主資本利益率」と言われる平均ROE(Return On Equityの略)は13.58%で過去4番目の低い収益率を記録している。

第3四半期の13.58%のROEは、2017年の第3四半期以降では最低のROEを記録、過去最高のROEは2008年第1四半期の26.98%で現状の約2倍のROEを記録していた。

イタウー・ウニバンコ銀行のCandido Bracher総裁は、今後数四半期にわたって、各銀行は低い収益率を余儀なくされると指摘。要因として、COVID-19パンデミックによるリスクの低いクレジット限定に伴って、収益率の低下を余儀なくされている。その理由の一つは、企業が運営資金向け現金確保で社会的信用確保のためのクレジットやリスクの低い年金・恩給連動型クレジットを優先した。

第3四半期の収益率が低下した要因として、昨年末の中銀による銀行が与信審査なしで自動的に貸してくれる特別小切手税と呼ばれる口座借越残の最高月利を8.0%、最高年利は現在の年利305%の半分以下の150%に制限する措置を導入またより低いスプレッドを持つ中小企業を対象とした連邦政府の緊急クレジット枠の設定をブラデスコのオクタビオ・デ・ラザリ・ジュニア会長は指摘している。

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