ブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)の発表によると、2020年のサンパウロ証券取引所(B3)でのブラジル企業の新規株式公開(IP0)並びに追加公募増資(フォローオン)による資金調達総額は1,193億レアルに達している。
昨年のブラジル企業のIP0並びにfollow-onsによる資金調達1,193億レアルは、2019年1年間のIPOやフォローオンによる資金調達総額を32.6%と大幅に上回っている。
しかし過去最高のIPO並びにフォローオンによる資金調達は、ペトロブラス石油公社による岩塩層下プレソルト原油開発向けのフォローオンで1,204億レアルを調達した2010年に記録した1,492億レアルであったが、ペトロブラスを除いた資金調達総額は僅かに290億レアルであった。
昨年の新規株式公開による資金調達は、前年比344.2%と大幅増加の453億レアルを記録、昨年のIPO成立件数は前年の5件から27件と大幅増加、しかしfollow-onsによる資金調達は、前年比7.3%の740億レアルに留まっている。
昨年のブラジル企業による確定金利付き債券発行による資金調達は、前年の3,426億レアルよりも約900億レアル少ない2,505億レアルに留まっていた。
昨年のブラジル企業による確定金利付き債券発行のなかでも社債発行による資金調達は、2019年の1,874億レアルよりも34.0%の大幅減少の1,221億レアルに留まっていたとブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)では発表している。
しかし昨年第4四半期の社債発行による資金調達は360億レアルに達して、前年同四半期比で増加に転じ、回復サイクルに突入しているとブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)のJosé Eduardo Laloni会長は指摘している。
自己資本の維持・増強を求められている金融機関や企業が発行する株式と債券の特徴を合わせ持つハイブリッド証券セグメントでは、不動産債権及びアグリビジネス証明書(CRIs e CRAs)、信用権の投資ファンド(FII), 約束手形及び不動産ファンド(FII)による資金調達は前年比マイナス13.8%の1,275億レアルに留まった。
しかし昨年の約束手形及び不動産ファンド(FII)による資金調達は、前年の414億レアルから441億レアルと27億レアル増加を記録していた。昨年のブラジル国内の金融市場における資金調達は、COVID-19パンデミックの悪影響にも拘らず、前年比15.0%減少の3,698億レアルに留まったとLaloni会長は指摘している。
また昨年のブラジル企業による海外での資金調達は258億ドルとレアル通貨換算では1,365億レアル、国内外の資金調達総額は5,060億レアルに達している。
2020年5月までに新規株式公開による資金調達を予定している企業は既に40社以上に達しており、また昨年最後の四半期は海外投資家による資金流入増加が目立ったとLaloni会長は指摘している。
政策誘導金利Selicが依然として過去最低の2.00%を維持している現状およびCOVID-19対応の各国のワクチン接種開始などの要因で、ブラジルのマクロ経済に対して追い風になっているとLaloni会長は指摘している。