異業種交流委員会(吉田伸弘委員長)主催のWEBセミナー「日系人コミュニティが貢献するアマゾンのSDGs~アグロフォレストリー~」は、2021年4月28日午前10時から11時まで約100人が参加して開催、CAMTA(トメアス総合農業協同組合)代表のアルベルト乙幡氏が講演。進行役は江口雅之副委員長が務め、初めに4月に就任した吉田委員長が新組織メンバーを紹介した。
初めに森をつくる農業のアグロフォレストリー紹介ビデオを流し、講演者のアルベルト乙幡氏は、1929年からの日系移民によるパラー州トメアスーへの入植の歴史、黒ダイヤブームで一時繁栄と富をもたらした胡椒栽培は長く続かず、蔓延したフザリウム菌によって犯されて胡椒の全盛期の終わりによる単一農業の悲惨な体験。川岸住民の大自然に溶け込んだ、素朴でしかも豊かな暮らしぶりにヒントを得たアグロフォレストリーの誕生に繋がる熱帯農業の提唱者であった故坂口陞(のぼる)氏の功績を紹介した。
収穫期が異なるコショウやカカオなどの熱帯作物とマホガニーなどの樹木を混植することで、農業と森林の保護・再生の両方を可能になり、アマゾン地域の森林保全、住民の生計向上へ向けて大きく貢献している環境負荷の少ないアグロフォレストリーの特徴、またJICAの技術支援によるトメアスーでのアグロフォレストリーでの混合栽培によるアサイ,タぺレバー,クプアス、マンゴーなどの栽培の30年近い長期栽培サイクルの特徴。カカオやアサイの1ヘクタール当たりの生産、落下時に危険なパラーナッツ栽培停止に替わるアンジローバ栽培。パッションフルーツやパパイヤのサンパウロ市場への出荷。ロジや距離的有利なサンフランシスコ河流域に入植したペトロリーナ・ジュアゼイロ地域の日系農家による同種作物出荷の開始の影響による付加価値の高いドラゴンフルーツへの転作及び出荷。将来を見据えた組合員の生活向上を優先した組合戦略、持続可能な農業の在り方などについて説明した。
質疑応答では、トメアス総合農業協同組合活動での苦労や課題。アグロフォレストの付加価値の高い商品の差別化。アグロフォレストにおける有機肥料・化学肥料の使用時期、栽培作物の選定。中間業者を介さない直接販売方法。広大な土地の管理方法が挙げられた。