世界的なCOVID-19パンデミック拡大継続や米中摩擦摩擦など海外のボラティリティシナリオにも関わらず、2021年年初から5月上旬迄のサンパウロ証券取引所(B3)での新規株式公開(IP0)並びに追加公募増資(フォローオン)による資金調達総額は、650億レアルに達している。
またCOVID-19パンデミック終焉に備えて、コンペチター買収やマーケットシェア拡大を図るための資金調達のために、新規株式公開を予定しているブラジル企業が数珠つなぎの様相を示している。
COVID-19パンデミックで軒並み売上や収益減少で打撃を受けている部門の企業は、生残りをかけて企業の買収・合併や社債発行を余儀なくされている。また非上場企業は、資金調達のために新規株式公開を狙っている。
小売販売部門では、デジタルトランスフォーメーション化が加速度的に進んでマーケットシェア争いが激化して、今後数年間で業界地図が大きく変わる可能性が指摘されている。
マガジン・ルイザ社は過去1年半で20社の企業買収を行ってポートフォーリオ拡大で筋肉体質を強化、2020年に新規株式を公開したSomaグループはHering社買収でコンペチターのArezzo社に競り勝った。数週間前にはAmericanas社はImaginarium社を買収、Renner社は電子商取引のDafiti社を傘下に収めるために40億レアルに資金調達を行った。
新規株式公開では、公開価格と初値の乖離など価格形成で合意に達しない場合は、価格設定でIPO先送りされる場合があるにも関わらず、IPOキャンセルは殆どないとMorgan Stanley社のEduardo Mendez氏は説明している。
また今年のブラジル企業の新規株式公開や増資による資金調達は、海外証券取引所の取引を含めて、総額1,750億レアルに達するとEduardo Mendez氏は予想している。
XPインベストメント社のPedro Mesquita氏は、2021年中のIPOや増資案件は約100件で2,000億レアルに達すると予想。Itaú BBA社のGreenless氏は、60件~80件で資金調達総額は1,500億レアル~1,800億レアルに達すると予想している。
ブラジル国内のCOVID-19パンデミックの不透明感増加による金融ボラティリティ増加で、海外投資家はサンパウロ証券取引所から離れる傾向を示しているが、COVID-19パンデミック終焉の見通しが立てば、IPOなどに投資が戻ってくるとCiti銀行金融投資担当のMarcelo Millen課長は説明している。