2014年~2016年迄継続したブラジルの経済リセッション、昨年3月からのCOVID-19パンデミックの影響による一般家庭の所得減少並びに食料品価格上昇で、ブラジル国内の牛肉消費は、1996年以降で最低レベルに減少している。
2014年~2016年の3年間継続した経済リセッション、2017年~2019年の緩やかな経済回復、昨年3月からのCOVID-19パンデミックの影響で、2014年以降の一般消費者の牛肉、豚肉並びに鶏肉の一般食肉の消費は、減少していると国家配給公社(Conab)は指摘している。
2013年の一人当たりのブラジル国民の年間平均食肉消費は、96.7キログラムと1996年から統計を取り始めてピークに達していたが、2014年から6年連続で前年割れを起しており、今年の食肉消費は、ピーク時よりも5.3%減少を国家配給公社(Conab)は予想している。
今年の食肉消費は、ピーク時よりも5.3%減少予想の要因として、先進諸国を中心としたCOVID-19パンデミック対応ワクチン接種拡大に伴って、欧米やアジアでの食肉需要拡大による食肉の国際コモディティ価格上昇に伴って、食肉生産者は食肉輸出拡大、レアル通貨に対するドル高の為替で、コモディティ商品である食肉の国内価格は、過去12か月間で35.7%上昇が挙げられている。
国家配給公社(Conab)の調査によると、過去5年間のヨーロッパ連合の一人当たりの年間平均食肉消費は89.3キログラム、オーストラリアは101.2キログラム、米国は116.8キログラムを記録している。
過去数年間のブラジル人の食肉の消費傾向として、牛肉消費は減少している一方で、鶏肉並びに牛肉の消費は拡大していると国家配給公社(Conab)農業政策担当のSergio De Zen取締役は指摘している。
過去数年間の経済リセッションやCOVID-19パンデミックで、特にブラジルの低所得層の平均所得が減少しているために、特に価格の高い牛肉を中心に食肉消費が減少、牛肉消費減少に反比例するように価格の安い鶏肉や豚肉消費が拡大傾向を示している。
ブラジル国内消費の食肉消費減少は、特に経済回復が目覚ましい中国の強い牛肉需要で、ブラジル産牛肉の中国向け輸出を牽引している一因として、2018年に中国で発生した豚やイノシシの発熱や全身の出血性病変を特徴とする致死率の高い伝染病であるアフリカ豚熱(PSA)が挙げられる。
中国の食肉消費では豚肉が最も消費されている。また中国は世界最大の豚肉生産国であるにも関わらず、13億人の国民の豚肉消費を満たすためには豚肉輸入は不可欠となっている。
2018年~2019年にかけての中国国内の豚肉生産は、アフリカ豚熱(PSA)による億単位の豚屠殺処分の影響で大幅に減少したために、豚肉以外にも牛肉や鶏肉を大量に輸入している。
ブラジルの牛肉輸出は中国需要が牽引しており、2017年の牛肉輸出量は147万9,000トン、輸出金額は60億3,200万ドルであったが、2020年は201万3,000トン、85億6,000万ドルに上昇している。