ブラジルのスタートアップ調査プラットフォーム「Distrito」のヴェンチャーキャピタルインサイドレポートによると、フィンテック部門への投資が牽引して、今年初め5か月間のスタートアップ企業は、261件の投資案件で、昨年1年間の90%に相当する総額35億4,000万ドルの資金調達に成功している。
ジャイール・ボルソナロ大統領は、スタートアップ企業に対する新基本法案(法的枠組み)にサインしており、またアパート賃貸契約の締結を円滑化するモバイルアプリケーションで急成長しているサンパウロ市を拠点とする不動産サービス(プロップテック)のQuintoAndar 社は3億ドルの資金調達、デジタル卸売りのスタートアップ企業Frubana社は、6,500万レアルの資金調達に成功して、ブラジル国内のスタートアップ企業に追い風が吹いている。
今年1年間のブラジルのスタートアップ企業は、45億ドル~50億ドルに達する資金調達する可能性をDistritoのGustavo Gierun共同創設者は強調している。
2020年1月~5月のブラジルのスタートアップ企業の資金調達総額は、COVID-19パンデミックの影響も加担して8億3,500万ドルに留まっていたが、今年初め5か月間は、前年同期比では4倍以上に増加している。
今年初め5か月間のブラジルのテクノロジー企業は、未公開の企業に投資を行うベンチャーキャピタルファンドから115件の投資で、既に152億レアルで30億ドル相当の資金調達に成功、そのうちNubank社は今年1月の4億ドル、Loft社は、今年3月~4月に掛けて5億2,500万ドルの資金調達に成功している。
世界及びブラジルのマクロ経済の活性化並びに低金利は、ベンチャーキャピタルのスタートアップ企業の大きなリターンが期待できる案件の需要増加に繋がっているとFinted Tech SchoolのFlávio Málaga教授は指摘している。
Distritoレポートによると、今年初め5か月間のフィンテック部門への投資案件は、57件で11億5,800万ドルの資金調達に成功、フィンテック部門に次いで不動産部門は僅か4件にも拘らず、8億2,500万ドルの資金調達に成功している。
フィンテック部門並びに不動産部門に追従する小売販売部門と医療保健分野のスタートアップ企業への投資も着実に増加してきており、フィンテック部門より投資額は少ないが、トップ5を形成している。
今年初め5か月間のリテールテクノロジー部門のスタートアップ企業への投資総額は6億3,200万ドル、ヘルスケア・テクノロジー部門は8,880万ドルの資金調達に成功している。