ブラジル大企業のIPOは海外投資家を魅了(2021年6月21日付けエスタード紙)

海外投資家による今年初めからサンパウロ証券取引所(B3)の株式投資による投資金流入から流出を差引いた純投資残高は、440億レアルに達しているが、今年7月にブラジルの大企業の新規株式公開(IPO)が相次ぐために、更なる海外からの資金流入が期待されている。

COVID-19対応のワクチン接種の遅れ、構造改革の遅れによる財政赤字の拡大などの要因で、ブラジルの国内経済は足踏み状況にも拘らず、今年上半期のB3への海外投資家による投資残は、440億レアルと昨年同期の760億レアルの赤字から一転して大幅な黒字を記録している。

今年7月以降に新規株式公開を予定しているブラジルの大企業として、CosanグループのRaízen社、ヴォトランチングループ傘下のCBA社、実業家ベンジャミン・スタインバック氏が率いるCSN 今年7月から9月に掛けてブラジル大企業のIPOによる資金調達総額は、400億レアルが見込まれているが、今年初めからの資金調達総額は800億レアルに達している。Itaú BBA社は、今年1年間のIPOによる資金調達総額は、1,500億レアルから1,700億レアル相当を見込んでいる。

現在は4.25%まで上昇しているが、今年3月迄の政策誘導金利(Selic)は、過去最低の2.00%であったために、確定金利付き投資らリスクの高い株式投資に資金が流れていた。2019年末のB3の個人投資家は60万人であったが、現在は370万人と6倍以上に増加している。

Cosan社並びにShell社のベンチャー企業Raízen社は、7月末に予定している新規株式公開で100億レアル以上の資金調達を目論んでいるが、二酸化炭素排出量の削減する再生可能代替燃料への資金調達を目指している。時価総額は900億レアルに達している。

CSN Cimentos社は、7月第2週にIPOで約25億レアルの資金調達を目指しているが、昨年のセメント販売は400万トン。コンペティターのMoverグループ傘下のInterCement社も7月第2週にIPOで約40億レアルに資金調達を図る。

同社はブラジル以外にもモサンビーク、エジプト、南アフリカ並びにアルゼンチンで事業を展開、昨年は世界の33カ所のセメント工場で3,700万トンのセメントを生産している。

Oncoclínicasグループは、7月末に新規株式公開で60億レアルの資金調達を予定、2010年設立で国内10州で70カ所のクリニックを経営、腫瘍学、放射線療法や骨髄移植などの分野で事業を展開している。

ヴォトランチングループ傘下CBA社は、7月第3週にサンパウロ証券取引所でIPOで20億レアルに資金調達を予定、昨年の売上は54億レアル、アルミ生産は40万8,000トン、ブラジル国内7州でアルミを生産している。フィットネスクラブを展開するSmartfit社は、IPOで20億レアルの資金調達を予定している。

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