2020年のインフラ部門投資はコロナ禍の影響で2000年以降で最低(2021年7月1日付けエスタード紙)

リーマン財団などによって2017年8月から作成されている世界競争力の柱となるインフラ部門の進捗状況をモニタリングするインフレ2038年レポートによると、2020年のインフラ部門への投資はGDP比1.55%まで減少、2000年以降では最低の投資比率を記録している。

昨年のインフラ部門投資のGDP比1.55%に留まった要因として、コロナ禍対応による連邦政府の緊急給付金(auxílio emergencial)の膨大な支出で、インフラ部門などの財政支出の削減を余儀なくされていた。

連邦政府によるインフラ部門に対する投資の減少は、2013年から始まっており、ペトロブラス石油公社をめぐるラヴァ・ジャット汚職事件の連邦警察による捜査が2014年3月に開始、ゼネコン最大手のOdebrecht社(オデブレヒト社)が長年にわたって常習的に取引先企業との契約で水増し請求をさせ,捻出した裏金を政党や有力政治家に繰り返し渡していた事件の発覚で、同社をはじめブラジル国内の大手ゼネコンの多くは企業閉鎖を余儀なくされ、また2014年からのブラジル国内の経済リセッションなどインフラ部門への投資が年々縮小を示していた。

2020年のブラジルのインフラ部門への投資は、GDP比1.55%に相当する1158億レアルに留まって2019年比では5.4%減少、2019年のブラジルの競争力は78位まで後退している。2022年のインフラ部門への投資は、公社民営化入札の活性化でGDP比1.99%まで増加すると予想されている。

ブラジルの競争力が2038年に世界ランク20位まで上昇するためには、インフラ整備部門に年間平均3,390億レアルの投資を継続しなければならない。2038年迄毎年3,390億レアルの投資を継続すれば920万人の雇用創出に結びつく。

今年4月末に実施されたリオ州上下水道公社(Cedae)の株式譲渡による民営化入札では、契約期間の35年間で総額250億レアルの上下水道関連のインフラ部門への投資が見込まれている。

社会経済開発銀行(BNDES)によると、2022年上半期までに5件の上下水道関連公社の民営化プロジェクト入札が予定されており、投資総額は170億レアルに達し、1,040万人の雇用創出に繋がると予想されている。

2021年のインフラ部門への投資は、電力エネルギー部門や輸送部門などが牽引して前年比18.0%前後の増加が見込まれているが、南北鉄道や東西鉄道、再生可能エネルギー部門への投資が見込まれている。
.
2019年の上下水道部門へのインフラ投資は160億レアルであったが、2020年はコロナ禍の影響で137億レアルに縮小、今年は175億レアルの投資が見込まれている。

前期同様に電力エネルギー部門への投資は、454億レアル、420億レアルに縮小、今年は470億レアルに回復。通信部門は330億レアル、311億レアルに縮小、今年は365億レアルに回復。輸送部門は280億レアル、290億レアルに微増、今年は360億レアルが見込まれている。

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=27021