世界先進諸国のGDP伸び率の減速並びに全世界で拡散している新型コロナウイルス「インド発症のデルタ変異株」が中国でも感染が広がっている影響を受けて、国際コモディティ商品の価格への影響が予想されている。
今年上半期に高止まりしていた石油、鉄鉱石や食料品などの国際コモディティ商品価格は、世界経済の成長ペースの減速に伴って8月に入って失速、また一部の国際コモディティ商品価格は値下がりしており、多くの投資家は国際コモディティ商品価格の高止まり継続を疑問視している。
中国の青島港の1トン当たりの鉄鉱石価格は、僅か先週1週間で6.0%以上下落の162.07ドルに達したが、7月初めの1トン当たりの鉄鉱石の価格は221ドルと高止まりしていた。
また8月上旬の銅鉱石の国際コモディティ商品価格は3.3%減少、今年初めからの累計の価格下落幅は23.0%に達している。前期同様に北海のブレント原油価格の7.50%下落、今年初めからの累計の価格下落幅は36.55%と大幅な下落を記録している。
今年上半期の国際コモディティ商品価格の上昇で、ブラジルの上半期の石油派生品の貿易収支は104億ドルの黒字を計上、1989年に統計を取り始めて過去最高の貿易収支黒字を記録している。
世界最大の国際コモディティ商品を購入している中国政府は、新型コロナウイルスの「デルタ変異株」流行で感染再燃への対応として、マスクに関する新たな指針を発出、屋外の混雑した場所でも着用を義務付け、経済的に重要な地域の空港や港湾の閉鎖実施で、今後の国際コモディティ商品の価格に大きな影響を与えると予想されている。
製造業部門の急激な生産コスト上昇や一般消費者の物価上昇を懸念する中国政府は、鉄鉱石などの一部の国際コモディティ商品の原材料価格への投機を抑制する措置を講じてきている。 また中国政府は、国内経済の過熱や特定の産業のバルブ崩壊を避けるために、財政政策強化を図ってきている。
ゴールドマン銀行のエコノミストは、中国の第3四半期のGDP伸び率を下方修正し、今年通年のGDP伸び率前回予想の8.6%から8.3%に下方修正した条件として、中国政府が約1カ月程度でCovid-19感染拡大を収束させることを前提としている。
今後の見通しとして、主な国際コモディティ商品の急激な価格減少は発生しない。過去12か月間継続していた国際コモディティ商品は短期的には多少の変動の可能性はあるが、安定的に推移すると予想されている。
一方、コモディティ商品価格の安定性や増加率の高さは、理論的にはブラジルのインフレを緩和するのに役立つ可能性があるが、レアル通貨に対するドルの実質価値の修正が必要となるにも拘らず、ブラジルの政治と経済の特異性を含む他の多くの要因に依存している。