来年のIPOは先行き不透明な大統領選挙を前に様子見か(2021年12月7日付けヴァロール紙)

2022年のブラジル企業の新規株式公開IPOによる資金調達は、来年10月の不透明な大統領選挙を前に、慎重を期する企業が増加すると金融市場関係者は予想している。

ラテンアメリカ最大の経済規模を誇るブラジルは、来年10月の大統領選挙を控えて、既にブラジルの株式市場は前年比10%落ち込んで世界の株式市場でも落込みの激しい市場となっており、今月6日迄の新規株式公開IPOによる資金調達は、650億レアルに達しているものの、国内外の投資家は静観している。

ブラジル中央銀行は、ブラジルは圧力を増してきているインフレをコントロールするために、相次ぐ政策誘導金利Selicの引上げを余儀なくされており、また二極化している来年10月の大統領選挙に慎重になっており、今年9月初め以降のIPOは皆無で、IPOを予定していた企業はキャンセル若しくはIPOの先送りを決定している。

Itaú BBA投資部門担当のdisse Roderick Greenlees氏は、来年の大統領選挙のシナリオや金融ボラティリティの増加で来年のIPOの減少を予想、Bloomberg社は今年のIPO件数を48件と予想するも来年のIPO件数は10件から20件に留まると予想している。

今年の世界の新規株式公開による資金調達総額は、各国の中央銀行による金融緩和政策の導入や企業の収益増加で既に6,000億ドルを突破しているが、世界的なインフレ加速及び南アフリカで検出された新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」の感染拡大の可能性で、新規株式公開を先送りする傾向となってきている。

今年初めのブラジル国内の金融市場は、過去最低の金利、鉱工業部門の早急な回復などの要因で、個人投資家が60%を占めて小売販売部門を中心としたIPOブームが発生していた経緯があった。

インフレ上昇を緩和するための中銀による今年3月から継続しているSelic金利の引上げ、ボルソナロ大統領並びにルイス・イナシオ・ルーラ元大統領が牽引して加熱してきた次期大統領選挙、ばら撒き政策による財政悪化など政治経済の先行きが益々不透明となってきている。

サンパウロ平均株価の低迷及び年内予定されていたブラジル企業の新規株式公開の先送り、IOPしたGetNinjas社の株価は77.0%、Westwing 社の株価は73.0%それぞれ大幅に下落している。

一方今週、ブラジルのデジタル銀行Nubank社は、ニューヨークで新規株式公開を予定、また「ユニコーン」のEbanx社も米国での新規株式公開を予定している。

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