ウクライナ侵攻及び石油価格高騰でSelic金利は14.0%上昇予想(2022年3月9日付けエスタード紙)

2月24日のロシアによるウクライナ侵攻による石油の国際コモディティ価格の高騰や鉄鉱石や農産物などの国際コモディティ価格の高騰、据置されている石油派生品の値上げなどによる予想を大幅に上回るインフレ圧力が増加してきている。

ロシアによるウクライナ侵攻前は、来週に予定されている中銀の通貨政策委員会(Copom) では、政策誘導金利Selicを現在の10.75%から1.00%引上げて11.75%が予想されていた。

7日の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年末の政策誘導金利(Selic)は12.25%に据え置いたが、2023年末のSelic金利は前回予想の8.00%から8.25%、2024年のSelic金利は、7.25%から7.38%それぞれ上方修正している。

また2022年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.60%から5.65%に上方修正して許容上限範囲の5.0%を突破予想、2023年のIPCA指数は3.51%、2024年は3.10%とそれぞれ中央目標値の3.25%、3.00%を上回っている。

ウクライナへの侵攻以降の石油価格は既に32.0%高騰、小麦は65.0%高騰しているが、ブラジルは農業用肥料の多くの供給をロシアやベラルーシ―に依存しているために、今後の肥料不足問題に危機感を抱いている。

石油や農産物などの国際コモディティ価格高騰による今年のインフレ指数の目標達成は不可能に近く、中銀は2023年のインフレターゲットにシフトしてSelic金利の引上げを行うと予想されている。

ウクライナ侵攻以前は、来週のCopom会議によるSelic金利を引上げを1.00%と予想していたにも拘らず、侵攻後はSelic金利の1.25%の引上げにGarde Asset社チーフエコノミストのDaniel Weeks氏は、予想変更している。

ロシアとウクライナとの戦争終結が見えない現在は、1バレル当たりの石油の国際コモディティ価格は120ドル、150ドル若しくは200ドルとどこまで上昇するのか予想がつかないために、Selic金利のピークは13.0%を突破して、限りなく14.0%に近ずくとDaniel Weeks氏は予想している.

今月のCopom会議によるSelic金利は1.00%引上げて11.75%、5月には0.50%引上げて12.25%を予想しているが、中銀は今年のインフレ目標達成には既にリング内にタオルを投入しており、2023年を見据えた金融政策に切り替えているとTendências Consultoria社のsócio Silvio Campos Netoパートナーは指摘している。

7日に今年のIPCA指数を前回予想の6.0%から6.8%に上方修正、2023年は前回同様に4.00%に据え置いた。2023年末のSelic金利は9.5%から10.25%と大幅に上方修正したが、戦争が明日にも終結すれば国際コモディティ価格は減少するにも拘らず、特に農産物の国際コモディティ価格は、戦争以前のレベルには戻らないとArmor Capital社チーフエコノミストのAndrea Damico氏は説明している。

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